表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第五章 救世主編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

284/661

第283話 試験体のサンプル回収と大規模な掃除

 タカシマとミシェル達の努力の甲斐があり、東北地方の各セーフティーゾーンにゾンビ破壊薬が届けられた。やはりユリナが言うように、日本海側にスパイはいない。そして仙台から青森にかけての湾岸沿いを探してみたが、そこにもファーマ―社のスパイはいなかった。


 だが俺達は最大限に警戒していた。クキが言う。


「一度スパイを排除しても、また入り込んで来る可能性はあるぞ」


「九鬼さんの言う通りだぜヒカル。ずっとスパイ探しを続けるわけにもいかねえぞ」


「確かにそうだな」


「まあ、ヒカルが大勢居ればいいと思うけどよ、いかんせん一人しかいねえ」


「ああ」


 そこにタカシマがやってきた。


「ヒカル君。ちょっといいかい?」


「ああ」


「二人も来てくれ」


 そして俺とタケルとクキが研究室に連れていかれる。タカシマの研究室に入ると、パソコンの前にオオモリが座っていた。そこでパソコンに映されたデータを見せられる。


「このデータはあくまでも仮説なんだが、大森君に試験体の細胞CGを作ってもらったんだ」


「試験体の何を?」


「まあ言って見れば試験体の性能評価みたいなもんかね。大森君映してくれ」


「はい」


 画面に映っているのは、どうやら試験体の擬似細胞らしい。画面の中の細胞が、破壊されすぐに復活して繋がっていく様が映っていた。


「恐らくはこういう仕組みだと推測されるんだ。それに対して新たにヒカル君の血液から精製された、新薬を打ち込んだ場合がこれだ」


 次の動画に移ると、動く細胞に何かが注入され細胞が動きを止める様が映し出される。すると他の細胞も次々に止まって行き、最終的には全部が止まる。


「凄いじゃないか、タカシマ。これが出来たのか?」


「いや…これはCGで作られた架空のものだよ。本格的に作るならばサンプルがいるんだ」


「サンプル?」


「試験体が必要だ」


「……」


「獲っては来れないかな?」


 それを聞いたクキが言う。


「いや。先生よ、そいつはいささか無理がねえか? 試験体を運ぶ? よしんば運べたとしても、あっという間に新型が広まっちまうだろ?」


「いや、試験体を丸々一体、連れて来てと言っている訳じゃない。その体組織を殺さずに特別な容器に詰めてきてほしいんだ」


「たく、簡単に言ってくれる」


 俺はクキを制してタカシマに言った。


「特別な容器とは?」


「これだよ」


 タカシマは床に置いてある、縦一メートル直径三十センチほどの大きな缶を指さす。


「それに入れて凍結させて運んで来てほしい」


「試験体の肉片を詰めてくればいいという事か?」


「そんなにはいらない。本当に少しだ」


「わかった」


 俺が言うとタケルとクキがどよめく。


「マジかヒカル?」

「新細胞を持って来れば広がるんじゃないか?」


 それにはタカシマが答える。


「病原菌保管室で厳重に管理をさせてもらうよ。絶対に広がらない」


「そう言うなら行って来る。それは何かに必要なんだろう?」


「ゾンビ破壊薬さ。試験体用のね」


「わかった」


 するとクキが言った。


「おいおい。ホントか?」


「本当だ」


「…しかたねえ。なら俺がヘリを飛ばす」


「頼む」


「行先は静岡だろ?」


「そうだ。ついでに掃除してくるさ」


「掃除? とにかく分かった。ヘリを調達するぞ」


 そして俺はタケルに言った。


「留守のあいだはみんなを頼む」


「任せとけ。だがくれぐれも注意しろよ」


「もちろんだ」


 そして俺はクキと出発する事になった。まずはヘリコプターを入手するところからだが、それはすぐに解決する。生存者の情報だと、自衛隊の松島基地に動きそうなヘリコプターがあるそうだ。以前も一度行っているので場所は分かった。俺とクキはバイクにまたがり松島方面に向かう。仙台から約一時間ほど行くと、松島航空自衛隊基地が見えて来る。


「よし! ヒカル。二人しかいないから、ちっさいのでいいだろう」


「わかった」


 クキに言われて格納庫に入ると、チヌークよりも小さなヘリコプターがあった。それを見てクキが言う。


「ブラックホークだ。コイツで飛ぶ」


 俺達二人はヘリコプターに乗り込み、クキがエンジンに火をいれた。


「燃料は満タン。問題ない。低空で西へ飛ぶぞ」


「そうしてくれ」


 そして俺とクキが乗るヘリコプターは、西へ向かって飛び立つ。それから山岳地帯を迂回し静岡方面へと向かった。


「ヒカル。山を越えれば静岡が見えて来るぞ」


「よし。すぐに終わらせる、ついでに掃除をしてくるからヘリコプターはしばらく降ろすな」


「いいのか?」


「邪魔になる」


「言っている事が分からんが、お前が言うならそうなんだろうな」


 クキがヘリコプターを降下させ、俺がハッチの所に立つ。


「終わるまで来るな。終わったら火を灯すからそれが降りる合図だ」


「へいへい」


 そして俺は上空から静岡の山岳地帯に飛び降りた。山に着陸し、すぐさま高速移動で市街地へと走っていく。市街地へ入ると奴らの気配がし始めた。


「いた」


 そして俺はタカシマから渡された、小瓶を握りしめ日本刀をかまえる。新しい剣技を使えば、試験体を殺してしまうので純粋な剣技で仕留める必要がある。バッと飛びビルの屋上に立って下を見ると、蠢く虫のような試験体達を見つけた。


 俺は無造作にその試験体の中に飛び降り、すぐ近くの一体の首筋を切り取った。素早く持っている小瓶にその組織を入れる。すると俺に気が付いた試験体達が、一斉に俺に飛びついて来た。すぐさまその場所を縮地で離れ、俺は再びビルの屋上に向かって走る。


「よし」


 そして俺は日本刀の鞘で、鉄の手すりをカーン! カーン! と叩き始める。試験体はその音につられて、どんどんこちらに集まってきた。まるで甘い砂糖に群がる蟻のように、ビルの周辺にわさわさと山になって来た。反対側を見ても同じように試験体がよじ登って来ている。


 屋上の手摺を乗り越え始める試験体を見て、俺は魔気を纏い始める。


 魔気を纏っての大規模殲滅技は初めてだな。


 俺はそのまま屋上を走りぬけてジャンプし、かなり離れたビルの屋上へと降り立った。振り向けば俺がいたビルは試験体で真っ黒になっている。


「次元断裂」


 俺が剣を振り下ろすと、そのビルはおろか周辺地域を町ごと飲み込む次元の境目が出来た。試験体の山は一気にそれに吸い込まれ、次の瞬間バグンと閉じる。元々町があったところには、巨大な穴が空いた。


 そして俺はすぐさま新しい試験体の気配がする方を向き、屋上を走り抜けそちらのビルまで飛んだ。再び先ほどと同じように、屋上の手摺を鞘でカーンカーンと叩く。馬鹿な試験体は砂糖に群がる蟻のように寄って来るのだった。そしてまた離れたビルに飛び移る。


「次元断裂」


 新たに空いた次元の穴は、試験体を大量に吸い込み閉じた。それから俺は同じ事を二十回ほど繰り返す。静岡の街は巨大な穴だらけとなり、試験体の気配は静まり返っていくのだった。


「終わった」


 俺はクキを呼ぶために、空に向かってフレイムソードを放った。少し待っていると、遠方からクキが操縦するヘリコプターがやってくるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そして異世界に大量の試験体が……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ