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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第五章 救世主編

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第277話 ゾンビ駆除薬散布ドローン

 製薬工場の一部の機能を稼働させ、ミシェルとタカシマが薬品の製造を始めた。人手が足りないと思っていたが、途中で拾った老人達がやたらと働く。なんでも自分の体が動くようになった事が嬉しいのだとか、そのおかげで作業は想定より大きくはかどっている。


 薬品の原料は、俺がゾンビ因子を除去した人達の血液だった。血を集める為、俺達は献血車を出動させ、小田原の生存者から血液を募った。生存者が快く了承してくれたおかげで、かなりの量の血液を入手する事が出来ている。


さらにタカシマが俺の血液の再分析を始める。この施設の機器のおかげで、かなりの事が判明したそうだ。難しい話だったので、俺にはよくわからないが薬品にかなりの改良が加わるらしい。


 未だファーマ―社が襲撃してくる様子は無いが、静岡で広がった新ゾンビがいつこちらに渡って来るか分からない。ミシェルとタカシマの薬品製造は時間との勝負だった。毎日二十四時間休みなく工場を動かし、もう数日が経過していた。


 そしていよいよタカシマが言った。


「山崎さん。ヒカル君。ある程度のストックが出来たんだが、折り入ってお願いがあるんだ」


「なんです?」


「何処かゾンビが繁殖している場所で、この薬品を散布したいと思っている」


 クキが俺を見て来る。


「いいだろう。だがヘリコプターを飛ばすのは、かなりのリスクが伴うぞ」


 だがタカシマが首を横に振った。


「ヘリは使わん。出来ればどこかで、農薬散布用のドローンを入手して来てもらいたい」


「ノウヤク散布用のドローン?」


「ヒカル君は分からんか?」


 するとヤマザキが言った。


「それならば私が分かる。こう見えて元市役所の農林水産部に属した事もあるのでね」


「それは頼もしい。それではお願いできるかね?」


「もちろんです」


 そして俺とヤマザキは薬品工場をみんなに任せ、近場で見つけたバイクで走り出すのだった。ヤマザキの指示のもとで、小田原市の市役所に向かう。そこで農薬散布ドローンのありかが分かるという。


 そして俺達は市役所に潜入した。


「えーと、農林水産部。あ、農政課か、こっちだ」


 ヤマザキに連れられて行くと、市役所内にもちらほらゾンビの姿があった。オオモリのシステムで直立したゾンビだが、俺が全て率先して斬り落として行く。そして所定の場所に着くと、ヤマザキがそこにある机をあさり出した。


「あったあった! 農薬散布ドローンの申請書!」


「ほう」


 それを見てヤマザキが言う。


「最新の日時はこれだ」


 一枚の紙を見て言った。


「そこにあるのか?」


「返却はされていないようだからな。無事だと良いが」


「行って見よう」


 俺達は地図を広げて、その住所の場所を探した。


「ここだ」


 するとその敷地内にある、軽トラックの荷台にそれはあった。これから使う予定だったのか、動かした形跡は無い。


「軽トラックに乗り換えよう」


「わかった」


 その建屋に入るとゾンビが突っ立っていた。


「可哀想に。農家さんだよ」


「やむを得ない」


 俺が農家だったゾンビを全て斬り落とし、軽トラックの鍵を見つける。そして俺達は製薬工場に戻るのだった。


「見つけましたよ」


「おお! すばらしい! 出来たら動くゾンビの居る場所に行きたいのだが」


 それを聞いたクキが言った。


「それはいいけどよ。この爺さん達はどうする? 危ないだろ?」


 だが老人達が首を振る。


「いんや! 年寄り扱いするな。わしらはやれる!」


「おいおい。工場で働いたからか随分元気になったな」


「自衛隊の人。あたしゃこんなに動けるようになったんじゃ! ゾンビなど蹴っ飛ばしたやるわい」


「ほら! タケさん無理しなさんな」


「あたしゃ貴子だよ!」


 それを聞いたクキが笑って言う。


「んじゃ。行くか」


 そしてミオが言った。


「それじゃあ、おじいちゃん達が居た箱根がいいんじゃない?」


 皆が賛成し、ゾンビ停止システムが届いていない箱根に向かう。そこから箱根まではニ十分もかからなかった。まばらではあるがあちこちにゾンビが動いており、それを見たタカシマがにんまりと笑って言った。


「丁度良い塩梅だ」


「よし早速取り掛かろう」


 俺達が軽トラックの荷台から、農薬散布用のドローンを降ろす。そしてそれに、タカシマが持っていた瓶から溶液を移し替えていく。どうやらこれが新型の薬らしい。


 クキがコントローラーを持った。


「俺が飛ばす。高島さんが指示をくれ」


「わかった」


 タケルがドローンのエンジンに手をかけ、ワイヤーを引っ張るとエンジンに火が入る。


「飛ばすぞ」


 農薬散布用のドローンが飛び立った。視界に入っているゾンビ達は、その音につられ空を見て手を伸ばしている。


「しばらく留まってゾンビを集めてくれ」


「ああ」


 クキが空中でドローンを止めていると、ぞろぞろとゾンビが集まって来た。


「いまだ! 散布を開始してくれ」


「わかった」


 すると俺達が見ている先で、驚く事が起きた。ドローンの下に集まっていたゾンビ達が、何もしていないのに倒れだしたのだ。それを見たタカシマが言う。


「成功だ!」


 それを見たタケルが大笑いする。


「まるで害虫駆除じゃねえか!」


「凄いわ!」


「ミシェル君。宮田君が開発したデータを守ってくれてありがとう。おかげで薬が完成したよ」


「いえ。先生、私の方こそ礼を言うべきです。私達の最終目標の一つが達成されたのですから」


 その会話を聞いたクキが言う。


「で、これはどうすんだい?」


「薬剤が無くなるまで、この周辺地域に散布し続けよう」


「了解だ」


 ドローンが通った後に、バタバタとゾンビが倒れていく様を見て爺さん達が言った。


「凄いのじゃ! わしらの町が! わしらの町が戻って来る!」

「本当ですねえ…」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」


 俺達の目には、この国の未来が映っていた。そしてヤマザキが言う。


「これで日本は変わるぞ…」


 日本復興が大きく進む予感に、皆が感動し涙し始める者もいるのだった。

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