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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第五章 救世主編

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第276話 新技の試し斬りを披露

 小田原に入り、ミシェルとミオが地図とにらめっこしながら製薬工場を探している。オオモリのゾンビ停止のシステムは正常に稼働しているらしく、動くゾンビは今の所見当たらない。だが近場の静岡に試験体が上陸していることから、小田原も安全とはいいがたい場所になって来た。 


 ヤマザキが言う。


「いまのところ、ファーマ―社はこちらには来ていないようだな」


 それを聞いたミシェルが地図から目を放して言った。


「おそらく襲われたのは、静岡の生存者にスパイが混ざっていたからだと思う」


「なるほど、宮田先生とミシェルさんの事を、敵に伝えた奴がいるという事ですか。だがそうなってくると、ミシェルさんと高島先生は今後も狙われるでしょうな」


 ユリナが言う。


「敵の弱点を研究しているのだから、それは当然の事だわ」


 そう考えると、俺は自分の浅はかさに肩を落とす。


「すまん。ミヤタとミシェルをあそこに置いていったのは俺のミスだった」


「ミスターヒカル。それは違うわ、誰もわかるはずがない。航空機も船舶も見当たらないのに、試験体だけが上陸して来たのよ。誰がそんなことを予測できるでしょうか」


「そうだわヒカル。誰のせいでもない、強いて言えばファーマ―社が悪いというだけよ」


 ミシェルとユリナが俺をフォローするが、市民の保護の難しさを痛感してしまう。


「ああ…そうだな」


「ヒカルが自分を責める必要はないのよ。でもミシェルさんと高島先生は生存者に接触しない方がいいわね。何処にスパイが紛れ込んでいるか分からない状況で、無防備に位置をバラせばそこも攻撃対象になりそうですし」


 それを聞いたタカシマが眉間にしわを寄せて言う。


「京都の天文台に置いて来た生徒達は大丈夫だろうか?」


「それは問題ないと思いますよ。こんな事になる前からの生徒さんですし、救出した女性達は長い間被害を被って来た人達です」


 そしてクキが言う。


「教授さんよ。あそこは隔離された場所だし通信の手段も無いようだったから、外部の人と接触するのは困難だよ。それに京都はゾンビ停止システムを稼働させてないから、容易に人が入り込んでは来れない」


「そうか…」


「動きが無い所は探しようがないって事さ」


「わかった」


 するとようやく、ミオが目的の製薬工場を見つけたようだ。


「ここだ! 夜だから分かりずらかったけど、ここから遠くはないわ」


「でかした」


 そしてミオの誘導のもと、トラックは製薬工場に到着した。だが製薬工場内のゾンビは処理されていないようで、少なくない数が居るのが分かる。


「館内にゾンビがいるな」


「うへぇ、片付けからやんのか」


 タケルの頭をポンポンと叩いてユミが言う。


「はいはい、いつもの事じゃない、皆でやればすぐに終わるわよ」


「なんつうか、夜だから不気味じゃね?」


「まあ、それはそうね」


 すると途中で助けた爺さんらが言ってきた。


「あのー。わしらはどうすればいいかの? ゾンビとは戦えんが」


 タケルが笑って言う。


「ここのゾンビは動かないから大丈夫。俺達の後ろに付いて来ればいいさ」


「大丈夫かい?」


「問題ない。それか外で待ってるかい?」


 老人達は相談し合って、俺達について来ることにしたようだ。トラックを降りて、製薬工場のドアの鍵を斬り内部に侵入する。皆が持った懐中電灯が暗い室内を照らすと、ボウ! と立ち尽くすゾンビが浮かび上がった。正常に電波が届いているようでびくともしない。


 しかし老人達が軽く悲鳴を上げた。


「ひっ!」「ぞんびじゃないかい!」「本当に大丈夫かねぇ?」「あたしゃ怖いよ」


「動かねえから問題はねえけど、めっちゃ気色悪いよな」


 老人達は声の大きいタケルの後をついて行く。皆が武器を持ち、それでボコボコとゾンビの頭を潰した処理していくのを見て老人達が引きつっている。


「いやだねえ」

「恐ろしや恐ろしや」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」


 老人達が手を合わせながらも、暗がりをついて来る。そして俺がみんなに言った。


「どうやら試験体の反応もない。俺がまとめてやっていくから、取り残した奴を頼む」


「わかったわ」

「へいへい」

「了解だ」

「はーい」


 俺に電灯は必要がない。気配感知でゾンビの位置は正確に分かった。だがそれよりも俺は、新たに取得した技を試す必要がある。生きて活動を停止しているゾンビは試し斬りにもってこいだ。奥に進んだ俺は最初の一体を見つける。


「よし」


 俺はその一体に向かい試し斬りをすることにした。


「屍人斬」


 シュッ! と剣を降ろす。すると目の前のゾンビに亀裂が入り、形を崩しながら落ちた。


「なるほど」


 これは恐らく、超再生試験体に使用して見なければ分からない剣技だ。ゾンビを斬る限りはほとんど変わりないように見える。若干組織が崩れ原型を保てないくらいだ。


 そして俺はまた、すぐそばにいるゾンビに近づく。


「蘇生斬」


 ズンッ! と少し手ごたえを残し、目の前のゾンビが斬れた。するとみるみる肌の感じが変化していき、どさりと倒れ込んだ。俺がしゃがんでゾンビを確認してみると、それはゾンビの残骸ではなく人間の死体に戻っていた。


「ただの死体に戻ったか…」


 だがこれも試験体に使わないと、本当の効果が分からないだろう。そして俺は更に先にいるゾンビに向かって走った。


「さてどうか」


 俺が目の前の直立しているゾンビに向かって構える。


「原子断裂」

 

 ゾンビに剣を降ろすと、抵抗なくスッパリ切れた。だが次の瞬間、ゾンビが若干膨張したかと思ったら、ボフンという音をたて破裂するように粉になって飛び散った。当たりには白い粉が舞っている。


「ゾンビ因子を殺した時のようだな。だがこれは運び出す手間が省けそうだ」


 だがそれも試験体に使って見てどうか、と言うところだ。更に体得した魔気を使いたいところだが、室内で使用して施設を破壊してしまうかもしれない。とりあえずはここでは試し斬りで止めるとしよう。前世の魔獣用の剣技ではなく、完全にこの世界でファーマ―社が開発したゾンビに対抗する剣技だ。


 そこに仲間達が入って来て、ミナミが俺に言う。


「ヒカル、もしかして、試し斬りしてたでしょ?」


「ああ。皆に被害が出ないかを確認していた」


「どうだった?」


「新しい魔気を纏わねば、威力の調節は出来そうだ」


「見てみたいんだけど」


 ミナミの言葉に皆も言う。


「新技を披露してくれよ」

「不思議な力はいつ見ても飽きないわ」

「爺さん! 婆さん! これから魔法を見せてやるぜ」


 皆が俺をはやし立てる。老人達も興味津々の顔をして、若干興奮気味だった。仕方がない。


「こっちに来てくれ」


 そして次の部屋には三体のゾンビが立っていた。


「やるぞ」


 するとタケルがもっと大袈裟にはやし立てる。


「さあ、お立合い! 不思議や不思議、ヒカルのゾンビ解体ショーの始まりだ!」


 その掛け声と共に、俺は仲間達に新技を披露するのだった。

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