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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第五章 救世主編

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第265話 有名人との邂逅

 仲間達のもとへ帰る途中で、俺はふと良い事を思いつく。どうせ朝にならないとヘリコプターは飛べない、それならばその時間を使ってやれる事がある。せっかくタカシマを見つけたのだから、彼の命に危険が及ぶ事は排除しなければならない。


 俺はそのまま森を進み、森に迷い込んだゾンビを気配感知で探し処分する事にした。西側の山肌にはちらほらゾンビがおり、俺はそれをしらみつぶしに討伐していく。それから山をぐるりと回って行き、ゾンビを感知しては消して行った。


 山を下りた住宅街にも、たくさんのゾンビがいたのでまとめて斬り飛ばし、どんどんゾンビを削っていく。そのままタカシマ達がいる場所を中心に、山の周囲をぐるりと周って行った。この都市も名古屋に負けず劣らずゾンビがいたが、かなりの範囲まで綺麗に除去していく。


 このような事をしても、そのうちゾンビ達が入ってくると思うが、後はオオモリ達が何とかしてくれるはずだ。


「これくらいでいいか」


 俺は山を登り、展望台側から皆の居る場所に出た。俺は気配を消していたので、誰も気が付いていない。見張りに立っているクキとヤマザキも、俺には気が付いていないようだ。


「おい」


「うおっ!」

「わあ!」


「俺だ」


 クキが銃を構えて俺に向けており、ヤマザキもバットを振りかぶっている。


「なんだ。お前か、遅かったな」


「この周辺のゾンビを削っていた。それより、タカシマを見つけたぞ!」


「おお!」

「運がいいな! 何処にいた?」


「山の上の、変な建物が建っている所だ」


「変な建物?」


「丸くて円筒状になっていた」


「丸くて円筒状? それは恐らく天文台だろう」


「テンモンダイ?」


「宇宙や星の観測をする場所だよ」


「なるほど」


 そしてクキが言う。


「それで? どうなった?」


「朝に皆を連れて行くと言ってある。ヘリコプターを追ってゾンビが来ないように、この周辺数キロのゾンビを討伐して来た」


「上出来だ。視界が取れるようになったらすぐに飛ばそう」


「ああ」


 俺達はチヌークヘリに戻り、少しすると空が青くなってきた。視界はまだそれほど明るくないが、今がチャンスだとクキが言う。すぐにチヌークヘリが飛び立ち、俺が指示する方向へと向かった。それをチヌークヘリの窓から見てヤマザキが言う。


「やはり天文台だ」


 そして操縦しながらクキが言った。


「森に囲まれているのか? 隠れ家としては理想的だな」


 そして天文台の少し下に開けた場所を見つけたクキが、ヘリコプターを降下させていく。ヘリの大きさからしたら、それほど広い場所ではないが器用に着陸させた。そして俺が皆に言った。


「ここから少し上に登るんだ。みんな準備をしてくれ」


「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」


「あとは、クキも皆も武器を置いていけ。もしかしたら取り上げられるかもしれん。周辺のゾンビは俺が狩り尽しているから大丈夫だ」


「へいへい」

「わかったぜ」

「わかったわ」


 俺達がチヌークヘリを降りて、道路を登っていく頃には空が明るくなって来た。薄っすらと赤紫に色づく空を見てミオが言う。


「清々しいわね」


「良い空気だわ」


 それを聞きながら、俺は背中に背負った女に言う。


「もう少しの辛抱だ」


「ごめんなさい。歩こうと思えば歩けるんだけど」


「無理はするな」


 そうして俺達がゲートの前に集まると、櫓の上から男が手を振ってきた。俺がそれに手を振り返すと、ぞろぞろと人が出て来る。皆が銃を持っているが、こちらに向けている者はいない。きちんと警戒を解かないように指導されているかのようだ。


「こんなに居たんですね」


 若い男が俺に聞いて来る。


「そうだ。仲間と助けた人達だ」


「とにかく入ってください」


 ゲートが開かれて俺達が入ると、ゲートは閉められた。そのまま俺達は建屋まで連れていかれる。敷地の奥を見たミナミが言う。


「あれは天体観測所ですか?」


「そうです。今は研究所として使われています」


「そうですか」


 会話を交わしながら、手前の建物の玄関を潜って中に入った。するとそこには広い部屋があり、若い男が言う。


「ここが食堂です。先生達を連れてきます」


「わかった」


 数名の見張りを立てて、若い男がタカシマを呼びに行った。しばらくすると、タカシマと眼鏡の中年が連れられてきた。タカシマは開口一番、驚いた顔で言った。


「これはこれは、結構な人数が生き残られているんですね」


 そしてヤマザキが答える。


「これまでに助けた生存者と仲間達です。私はリーダーの山崎と言います」


「高島です」

「斎藤です」


 そしてその二人を見たユリナが言う。


「私! 知ってます! 私は吉岡友理奈と申します」


「君は医学でも目指していたのかい?」


「しがない看護師でした。ですが、先生達はインターネットで見た事が御座います!」


「おお、そうかそうか」


 タカシマが目を細めてユリナを見る。


「ファーマ―社が提供する食品添加物と薬剤は危険だと、誰も注目していないころから言われてましたよね! 不審死された人を研究したりしてた事を知っています」


 するとタカシマは、切なげな表情で笑みを浮かべ言う。


「そうだね。あの頃から私がもっと警鐘を鳴らしていれば、こんな世界にはならなかったと思う。本当に力不足で申し訳なかったね」


「いえ! 高島先生! そして斎藤先生! 今となっては誰が正しかったかはっきりわかります。でもあの頃の先生達の記事は、あがってもすぐに消えていました。いずれ見れなくなってしまい、私も情報を取る事が出来なくなってしまったのです」


 タカシマが眼鏡を外して、布で拭き再びユリナを見た。


「君は信じてくれていたかい?」


「最初は半信半疑でしたが、ずっと胸にひっかかってました」


「私の発言はね、故意に捻じ曲げられて隠されたんだ。頭がおかしくなったとか、ボケたとか言われてね。結局は大学を追われる羽目になってしまった」


「そうなのですね。あれ? でもお二人は違う大学ですよね? なぜ一緒におられるのです?」


 すると斎藤が言う。


「私も干されてしまってね、暇だった私は高名な高島先生の話が聞きたくて連絡したんだ。すると高島先生は二つ返事で、お会いして下さると言った。そしてどうせ会うなら、学生たちを集めて講習会をしようと言う事になったんだよ。だがそこで、例のゾンビパンデミックが起きてしまったんだ」


「そうだったのですね…」


 すると話を切り替えるように、明るい声でタカシマがユリナに聞いた。


「宮田君はどうしてたかね?」


「元気にしてました。そして彼の研究結果を今日は持って来てます」


「おお! それを見たかったんだ! せっかく集まったのだしね。では、先に私達の研究の説明をしようじゃないか」


「いいのですか?」


「みんな! プロジェクターの準備をしてくれ!」


「「「「「「はい!」」」」」」」


 するとタカシマはニッコリ笑って俺達に言った。


「いい子達だろう? 彼らに嘘を教えた教授もいるが、本当の事を見分ける力を持った子もいるんだよ。彼らが私をここまで生きながらえさせてくれた」


「素晴らしいです」


「では、講堂に移ろう」


 そう言って俺達は講堂に移された。そこにはパソコンが置いてあり発電機が回っている。すると前面の壁にある白い布に映像が映し出された。俺達は興味深くタカシマの話を聞くのだった。

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