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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第五章 救世主編

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第260話 重機関銃が設置された建物

 時間が過ぎれば過ぎるほど、生存者の救出率が低下してきている。さらに名古屋はゾンビの数が多く、かなりの時間を必要としていた。ここまでもかなりの時間を要して来たが、どれだけ効率よくやっても進みは遅い。到底日本海側までは手が回らず、名古屋より西は更に遅れてしまうだろう。


 俺達の装甲バスは動植物園とやらに侵入し、そこで次に何をすべきかを話し合っていた。周囲のゾンビは俺が処分したので、今の所ゾンビは近くにいない。周りは雑木林に囲まれており、都市の中でもゾンビが少ない場所のようだった。


 日本国土の大部分は、まだゾンビが支配する世界となっており、仲間達にも手遅れかという空気が流れ始めている。だが装甲バスの中でクキが俺達に言った。


「このままじゃ太陽光発電の復興にもかなりの時間を要するし、それから基地局を復活させて稼働、さらに生存者を集めて救出となるとかなり厳しいぞ。しらみつぶしに救出していくのは、やはり限界があると思うがな」


 ヤマザキが答える。


「だがこれ以上どうするべきか、方法が見つからない」


「富士山の宮田が言っていただろう? 高島教授とやらを探しに京都に飛んだ方が良くないか?」


「なるほど、更に西に進むか。だが、この周辺を放棄するという事かな?」


 それには皆が難色を示した。


「違う。京都で助けを求めるんだよ。こちらが持っている情報を伝えれば、他の可能性が出てくるかもわからん。静岡から浜松、そして名古屋に至るまでにもう夏が終わったぞ。生存者の救出率も低下しているし、ここは作戦の変更が必要だ」


 俺がクキに聞いてみる。


「何か考えがありそうだな」


「ああ。とにかく俺達の機動力を上げる必要がある。東京から数ヵ月、ファーマ―社や航空機の影を見る事は無かっただろう? 軍用機が飛ぶ空ならば危険だが、外敵がいないのならば空を使うのは有効だろうな」


「空を使う?」


「愛知の小牧というところに空自の基地がある。そこに向かおう」


「クウジ?」


「航空自衛隊だよ。そこにいけばヘリがあるはずだ」


 それを聞いたヤマザキが尋ねる。


「九鬼は、ヘリコプターを操縦できるのか?」


「ああ」


「ここまでは危険性を考慮して使わなかったと?」


「そういうことだ。まあまだ敵に見つかる危険性はあるがな、このままじり貧で大勢が死ぬのを待つよりはいい。今は決断が必要だ」


 その意見を聞き俺も正しいと判断した。そこから俺達が話し合った結果、小牧に行くことが決定する


「どう行けばいい?」


「ここからなら三十分もかからんはずだ」


 それを聞いてミオが地図を広げて赤ペンで丸を付けた。


 俺達の装甲バスが出発し、クキが言っていた航空基地まではすぐに到着する。宮城でも見たが、金網の向こうにだだっ広い空間が広がりそこに飛行機などが見えた。その風景を見たクキが言う。


「こっちは民間の空港だな。空港内を突っ切って行こう」


「わかった」


 ヤマザキが装甲バスを進めた時、俺は人の気配を感じて装甲バスを停めるように言った。


「まて」


 すると俺にクキが聞いてくる。


「どうした?」


「反対側の建物に人がいる。それも一人二人じゃない」


「なに! 本当か?」


「本当だ」


 空港内に乗り入れたバスの中で、俺達は静まり返る。そしてヤマザキが言った。


「軍隊だろうか?」


 それにはクキが首を振った。


「それにしては無防備過ぎる。空港にこれほど簡単に進入出来るわけがない」


「確かに…」


「まずは相手を観察した方が良い」


「きっと生存者よ。そのまま向かって救出したらいいんじゃない?」


「ダメだ。相手が友好的かどうか分からん。俺が一人で彷徨っていた時には、何度も攻撃してこようとしたやつらがいたからな」


「その人達はどうしたの?」


「申し訳ないが返り討ちさせてもらった」


「そう…」


 俺もクキの言葉を肯定するように言う。


「俺達も各地で抵抗にあっただろう? そうすんなり行くとは限らない」


「そして俺達は急を要している。だが俺はあんたらのやり方に従うぜ?」


 クキの言葉を受けて俺達が話し合った。その結果、対象とする建物に潜入し、相手の情報を入手する事が先決だと決まる。


「潜入する」


「なら車を迂回させるべきだ。一度空港の外に出て回ったほうがいい」


「わかった」


 空港周辺は建物も少なく低い建物しかないようだった。俺達の装甲バスはゾンビを踏み潰しつつ空港の反対側に周る。基地そばの建物に装甲バスを入れ、俺達はバスを降りた。俺達にとって既にゾンビは脅威ではないので、全員で基地に潜入する事となる。


 街道沿いには金網があり、その向こうに街路樹が植えてある。その向こう側が空港となっているが、中を見渡す事は出来ない。俺達は素早く金網に取りつき、剣技で金網と有刺鉄線を切断した。


「行くぞ」


 俺が金網を踏み倒し、皆が後ろをついて入って来る。


「百メートル先の建物に人の気配がある」


 俺が言うとクキがさっさと先行して、木の後ろにぴたりと寄り添い先を見た。そして俺達に止まるような仕草をしたので足を止める。すぐに手招きをしたので、俺達は足早にクキの所に来た。やはりコイツは凄い。気配を断つことが出来ており、殺気も怯えも無いようだ。


「二階に人影を見た。恐らくは監視しているのだと思うが、それにあれを見ろ」


 建物の前に車が置いてあり、その荷台には恐らく銃と思われるものが設置してある。


「12.7mm重機関銃だ。ゾンビの襲撃に備えているのか、人間を相手にする為に置いてあるの分からん。恐らくは基地に置いてあったものを設置しているんだろう」


「ここのやつらは武装していると言う訳か」


「ああ、だからと言って敵とは言えんがな、どうする?」


「無力化すればいい」


「殺すのか?」


「いや。武器を全て破壊もしくは奪取してくる」


「ははは…、そういやお前そんな芸当が出来るんだったな」


「待っていろ」


 俺が言うと皆が頷いた。そしてクキが言う。


「万が一の為に俺が援護射撃の体制をとる。まあお前が危なくなることは万が一にもないだろうがな」


「分かってるじゃないか。それより皆はゾンビの襲撃に気を付けろ、周辺にはそれほど数はいないが不意をつかれれば危ない」


 するとタケルとミナミが言う。


「問題ねえよ」


「たかがゾンビだわ」


「わかった」


 そして俺は縮地で一気に、12.7mmとクキが呼んだ武器が乗せられた車の前に現れるのだった。

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