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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第251話 殺人ロボット

 皆を上の事務室に置いて、俺はクキを連れて下層に下りて行く。クキはかなり慎重に周囲を警戒しているが、俺は気配感知で分かっているのでさっさと降りた。俺が足早におりていくと、クキが俺に聞いて来る。


「おいおい、見えてんのか?」


「ああ」


「懐中電灯も無しでか?」


「ああ」


「俺は暗視ゴーグルをつけているから見えるが、完全に真っ暗闇だぞ」


「いや。昼間と変わらず、物を確認する事が出来ている」


「それは超能力かなにかか?」


「チョウノウリョク? ただのスキルだが?」


 俺の言葉にクキは黙った。俺の仲間達も最初は見えなかったらしいので、この世界の人間には信じられない事なのだろう。だが更にクキが聞いて来た。


「途中の階層は確認しなくていいのか?」


「必要ない」


「試験体とやらはいないのか?」


「試験体はもっと下の階層だ」


「わかるんだな」


「はっきりな。だが何かがおかしいところもある」


「なんだ?」


「試験体は活動をしていない」


「どういうことだ?」


「わからん」


 俺達が階段を降りて行くと最下層に着いたらしかった。そこにあった入り口のドアを見たクキが言う。


「随分厳重なドアだ。さながら巨大バンクの地下金庫と言ったところだな。これはC4プラスチック爆弾でも壊せそうにない、ロケットランチャーでどうかと言ったところだ。ガスバーナーが必要だと思うぞ」


「必要ない」


「暗証番号がわかるっていうのかよ? 電源だって通ってないんだぞ」


「これだ」


 俺は日本刀を鞘から抜いて、そのドアに向かって構える。


「冥王斬」


 ガギン! とその扉の重厚な鍵が切れる。日本刀を鞘に納めて、そのドアに手を当てて奥へとゆっくり押し込んでいく。まあまあ抵抗があるが、問題なくその扉は中へと開いて行った。


「ちょ、ちょっと!」


 クキが驚いている。


「なんだ?」


「そのドアは引きドアだぞ!」


「なるほど。若干の抵抗があるからおかしいと思った」


「…つうか…。こんな分厚い合金がひしゃげている。お前とんでもないパワーだな」


「鍛えているからな」


「きっ、きたえ…まあ、いいや。ツッコむだけ無駄だ」


「分かってくれてありがとう」


 俺とクキがそのドアを入ると、もう一枚の鉄のドアが見えて来た。再び鍵を斬り俺はそのドアを引く。すると今度はスムーズにひらいた。


「ほらな」


「そのようだ」


 そこは閉鎖的な空間だった。周りを見渡してクキが言う。


「こりゃ、除菌システムだな。風を当てて更に紫外線や熱線で菌を内部に入れないようにしてるんだ。もしくは内部の菌を外に出さないようにしているかだな」


「恐らく後者だろう」


「そうか…そうだろうな」


 その部屋に入るとゾンビはおらず、机の上にビーカーなどが置かれている。いろんなコードが張り巡らされており、何か他の階層とは違う雰囲気だった。


 クキが言う。


「ここは実験室だな。上階の実験室とはかなり雰囲気が違っているようだが」


「そのようだ」


 クキがそこら辺を物色しているが、俺はクキに言う。


「そこの自動ドアの向こうに試験体はいる。お前はここに残るか?」


「いや。ここまで来たら、ファーマ―社の所業を見届けてやるさ。少しは頑張らねえと、皆が俺と一緒に行動しようとは思わねえだろ」


「なら、俺から離れるな。何かがおかしい」


「そりゃ、俺も感じてるよ。俺の第六感が、この部屋には入るなと警告を鳴らしているからな」


 どうやらクキは本能的に危機を感知しているらしい。これはこれでスキルの一種だと思う。そして俺は自動ドアを日本刀で切り裂き、開いた穴から内部に侵入した。するとそこには直径にして三メートル程の、ガラスの円筒がいくつも並んでいた。その光景を見て、俺もクキも若干の驚きを隠せなかった。


「なんだ…」


「筒の中にバケモンが居るなあ…」


「そのようだ」


 なんとその筒ひとつひとつに試験体らしき物体が入っていたのだ。その筒がだだっ広い部屋の奥まで何本も立っている。するとクキが言った。


「こいつは動くんだろうか?」


「どうかな」


 俺達がそのガラスの円筒が建ち並ぶ部屋を、回り込むように進んでいく。そしてクキが何かに気が付いた。


「こいつら…ただのバケモンじゃねえぞ。みろよ」


 俺が暗い円筒のガラスをじっと見ると、確かに今までの試験体とは違っていた。その体には金属で出来た何かが取り付けてある。よく見れば目の部分に、クキがつけている暗視ゴーグルと似たものが取り付けてあり、また体全体が鉄の板のようなもので覆われていた。それらの隙間や付け根から生体部分が見え隠れしている。


「ゾンビが武装しているのか?」


「どうやらそうらしいな。いよいよ兵器としての実用段階にはいるところだったんだろう」


 俺達が円筒を見ていると、唐突に何かがこちらに向かっているのを感じた。だがそれは気配ではなく、音と動きで俺にそれを知らせてくれる。


「何かが来る」


「こいつらのお仲間か?」


「違う。感覚が全く異なっている」


「なに?」


 俺の言葉にクキが銃底を肩につけて、スコープを見て構える。俺はそのクキに言った。


「撃てばこのガラスの円筒が壊れるかもしれん。銃を下げろ」


「あてなきゃ良い訳だろ? 絶対あてねえよ」


「わかった」


 すると突如、円筒の向こうに何かが現れた。それはゾンビや試験体ではなく、全身が金属で出来た機械のようなものだった。重機のようなキャタピラがついており、上半身に筒状の何かがついている。


 するとクキが叫んだ。


「飛べ!」


 俺はクキに言われるまま、円筒の陰に飛び込んだ。


 ガガガガガガガガガガ!


 すると俺達が立っていたところに、火閃が凄い勢いで降り注いだ。


「ミニガンだ!」


「ミニガン?」


「ガトリングだよ! 毎分六千発のバケモン銃だ! それがロボットに取り付けてある」


「ロボット?」


「そうだロボットだ。ここを守るために配備されてたんだろ」


「わかった。あれは、どうやれば壊れる?」


「ロケットランチャーがあればな。いや…お前の技で壊れるかもしれん」


「よし」


 ロボットが俺達に近づいて来るのが分かる。円筒を過ぎ去りその全体が現れた時、俺は縮地でそのロボットの後ろに現れた。


 キュゥゥゥゥゥゥ!


 またミニガンが回り出したので、俺はすぐに剣技を繰り出す。


「断鋼裂斬」


 ジュキン! とロボットの体が切れて斜めにずり落ちた。だがまだミニガンが回転しており、俺はそのまま刀を返してもう一撃喰らわせた。


「断鋼裂斬」


 するとようやくその回転が止まる。だがその時クキが叫んだ。


「また来た! 二機いるぞ!」


 俺が音がする方に走るのと、クキの銃声がなったのは同時だった。


 ズドン! ガキン!


「ライフルが効かない!」


「隠れろ!」


 既にロボットはミニガンを撃ち続けていて、俺はそれをすり抜けながら剣技を繰り出した。


「断鋼裂斬」


 今度は一発でミニガンごと停止させることに成功した。しかし次の瞬間、俺の横からロボットが出て来てミニガンを撃ち込んで来る。


「結界! 金剛!」


 ミニガンの数発を受けたが、結界と金剛で防いだ。俺はそのままロボットに体を向け、日本刀で銃弾を切りつけていく。確かにクキが言うように、かなりの弾丸の数だった。


「思考加速、敏捷性上昇!」


 ガガガガガガガガガガ! ミニガンから降り注ぐ全ての弾丸を、切りつけながらそのまま前進していく。ロボットの数メートル前に到達した時。


「断鋼裂斬」


 俺が断鋼裂斬を数階繰り出すと、キューン! と最後に音がして、ミニガンが止まりロボットがバラバラに崩れ落ちた。するとそこにクキが走り寄ってきて声をかけて来る。


「おい! 大丈夫か? 弾を喰らっていただろ!」


「問題ない」


「お前の体、どうなってんだよ!」


 だが俺はクキの後を見て叫ぶ。


「逃げろ!」


 クキはすぐに動き、俺もそこから飛び去る。するとミニガンが撃ち込まれた後ろの、円筒の筒にヒビが入り中から液体が漏れ始める。次第にヒビ割れが広がっていき、自らの重圧に耐えかねて割れた。円筒の中から試験体が流れだして来てしまう。


 ギギッ! ギッ! と鳴き声のような音を発して、鉄に包まれた試験体がムクリと起き上がった。それに対し、クキが銃を構えて撃ちこむ。


 ズドン! ズドン!


 一発は眉間の鉄の部分に弾かれ、もう一発が首元の生体の部分に命中する。俺達がその様子を眺めると、その穴はあっという間に塞がってしまった。

 

「やっぱり効かねえか」


「一気に始末するしかない。あれを倒すための剣技は周りの円筒を全て壊してしまう。部屋の端まで走れ!」


「わかった!」


 俺とクキは試験体から逃げるように部屋の端に来た。試験体がこちらに向かって来ているようで、俺はそいつが現れるタイミングを見定めるのだった。

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