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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第248話 異世界の戦い

 代々木公園を出た装甲バスが走り出す。だが周辺の変わり果てた光景を見て改めて愕然とした。何処が何処だかわからないほどに破壊され尽くしているのだ。焦土と化した大地に立つビルは倒壊し、瓦礫の山と骨組みすら残っていない場所が多数ある。


 その光景を見てヤマザキが言った。


「九鬼さんとやら、よくここが明治神宮の跡地だと分かったな。指示通り走ったから来れたものの、この風景じゃあ何処が明治神宮だったのか分からないぞ」


「全て焼けてしまったようだしな。恐らくここは爆心地に近い」


 ミオも地図を眺めているが首を振って言った。


「これじゃあ、ここがどこなのか分からないわ。必死にここまで来たけど、もう私達が知っている東京の風景じゃない」


 するとクキが答える。


「戦場なんざあ、どこもこんなもんだ。慣れない奴は土地勘が狂うだろうよ」


「それならここに居るみんながそうよ。目印になるものや標識すら焼け落ちて、何を目印に進んだらいいのか全く分からない」


 話の途中でクキがヤマザキに指示を出した。


「おっと、そこを右だ」


 装甲バスが右に曲がろうとすると、瓦礫が山積みになっていてバスが通り抜ける幅が無い。バイクならば通り抜けられるだろうが、装甲バスの幅では無理だった。


「すまん。戻ってくれ」


 クキの言葉を遮って俺が言う。


「ヤマザキ! そのまま進んでいいぞ!」


「わかった!」


 クキが何の事を言っているのか分からないような表情をするが、装甲バスはかまわず進んだ。俺は車を飛び降りて、装甲バスの前方に走り抜け剣技を出す。


「推撃」


 ごおっ! と音がなって、瓦礫の山が吹き飛び装甲バスが通り抜けられる隙間が空いた。装甲バスはそこをゆっくりと通り抜け、俺は外から声をかける。


「クキ! ヤマザキに方向を指示しろ! 邪魔な物は俺が飛ばす」


「あんた一体何なんだ? まだ何が起きているのか分からねえ。皆は慣れているようだが、さっきからずっと鳥肌が立ってるよ」


「私達だって最初は目を見開いたわ」


「いったい彼は何者なんだ?」


 それを言われたタケルが笑ながら言う。


「ただのバイク好きの兄ちゃんだよ」


「普通の人間ではあるわけだな? まさかAI搭載アンドロイドってんじゃないな?」


「あたりまえだろ」


 そんな話を耳にしながらも、また前方に倒壊したビルが横たわっているのが見えてきた。


「推撃!」


 俺が次々に瓦礫を吹き飛ばして行くと、更地のような場所が見えて来る。ヤマザキが装甲バスを止め、その更地の端から前方を見渡した。そこを見たクキが言う。


「たぶん、このあたりなんだがな? ファーマ―社の連中はどうやら、ファーマ―社日本支部に核を落としたようだ。蒸発して何も残ってい無いな」


 ミナミが答える。


「クレーターのように何もないわね。一体どこにファーマ―社本部があったのかしら?」


「すまんがそれは分からない。地域的なもので言えばここがそう、としか言いようがない」


「消滅したのなら、何も調べようがないんじゃない?」


 だが俺には分かった。


「恐らくこの先だ」


「ヒカル? どうしてわかるの?」


「気配感知だ。恐らく何かがいる」


「見た感じは何もないみたいだけど?」


「地下だ」


 するとクキが俺に聞いて来る。


「ヒカルさんよ。なんでそんな事が分かるんだ」


「俺の能力だ。お前だって危機察知能力に長けているだろう? 気配も消せるようだし、それと似たようなものだよ」


「俺にゃあそんな便利な機能はねえよ」


「まあいい」


 そして俺はバスの前に立って、ヤマザキに言った。


「ヤマザキ! とにかくここは何かがおかしい!」


「どういうことだ?」


「さっきから全くゾンビを見ない。そしてこの更地にもゾンビが歩いていない」


「…確かにな。何故だ?」


「行けば答えが分かる。お前達はここで待機してくれ」


「わかった」


 俺は更地に足を踏みいれる。すると俺が感知していた気配が一斉に動き出した。間違いなくここには何かがいる。


「面白い。こんな感覚は久しぶりだ」


 あれは前世の砂漠を旅した時の事、地下に蠢く何かが俺達を待ち受けていた。あの時はエルヴィンの究極魔法、グレーターアースイレースマジックにより大地ごと無に変えた。だがこの先には手掛かりになる情報があるかもしれない為、俺の次元断裂も使えない。


 俺は後ろを振り向いて、ヤマザキに言った。


「皆は入って来るなよ! そこで見ていろ」


 カチカチと装甲バスのランプを光らせてヤマザキが返事をする。俺はくるりと振り向きクレーターの中心に向かって進んだ。


 来たな。


 俺が歩を進めていると地下が騒がしくなる。それでもかまわず先に進むと、俺の足元が盛り上がり、俺はあっという間に三十メートルほど上空に弾き飛ばされていた。いや、むしろ食われる前に飛んだと言った方が正しい。


 飛び上がりながら下を見ると、蛇の頭が鎌首をもたげるように何かの尻尾が俺をはじき出していた。


 いい感じだ。


 本当に冒険をしていた頃を思い出す。これは魔の砂漠に生息していた、エレメンタルワームにそっくりだ。ただ違うのは、尻尾の先に何か斧のようなものが数本突き出ている事だ。


「錐揉龍閃」


 俺はその蛇に沿って、螺旋のように回り降りながら斬りぬけた。バラバラになった尻尾は、周辺に血液をまき散らしてはじける。着地してすぐに切りつけた胴体に日本刀を突き入れた。すると穴が塞がるように日本刀を取り込もうとしたので、俺は素早く手を引いて後方に十メートルほど飛び去る。


「どうだ? ゾンビより手ごたえがあるだろう?」


 俺は見えない化物に語り掛ける。


 恐らくこいつは、何らかの情報を守る為に設置されたバケモンだ。この中心部分には、誰も近づいて欲しくないと言っているようなもの。そしてバケモノは地面に深く潜っていき気配を消した。だが俺相手に気配を完全に消せる生体はいない。レベル千とはそう言う事だ。


 恐らく基地の方向は中心部分だな。基地を破壊するわけにはいかない。


 俺はクレーターの中心を避けて剣技を繰り出した。


「大地裂斬!」


 クレーターの大地が大きく裂け、ガバッと口を開ける。そして俺は反対側を向いて同じ剣技を繰り出した。同じように反対側の大地も裂けた。


「さて、どこに逃げるかな?」


 俺は地中に集中させ狙いを定める。


「閃光孔鱗突」


 これは日光でのヘリコプター撃墜にも使った、遠くにじっとしている獲物に放つ技だ。俺の日本刀から閃光が放たれて地中に消えていく。すると地中の化物にあたったらしく、地下で激しく身をくねらせている。だが仕留めるまでにはいかず、俺は縮地でバスに戻りクキに言った。


「手榴弾とやらをくれ」


「わかった」


「使い方は?」


「ピンを抜いて六秒ほどすれば爆発する」


「よし」


 すぐにクレーターに戻り俺はその中を走り始めた。すると地下の気配も同じように俺について来る。俺が立ち止まると再び地面が盛り上がり、俺を大きく空中に吹き飛ばした。


「知能は無いようだな」


 俺は空中で剣技を繰り出す。


「大龍深淵斬」


 伸びあがって来た尻尾は根元の奥までスッパリと切れた。俺は手榴弾のピンを抜いて、上空高くから思いっきり手榴弾を化物の裂傷に投げつけた。手榴弾は思いっきり体内深くに入り込み、数秒ほどで爆発を起こす。


 だがそれでも死なないようで、さっき戦った試験体のように超回復しているのだろう。俺は着地と同時に、閃光孔鱗突を繰り返して地中に放つ。するとたまらず、地下の化物が逃げるように移動を開始した。俺が追い立てるように閃光孔鱗突を繰り返していると、俺が先ほど大地裂斬で斬った割れ目に向かって行く。


 ボゴッ! 


 そいつはその割れ目から体を現わした。それは丸い球体のような肉球だったが、全面にびっしりと人の顔が浮き出ていた。あちこちに触覚のようなものが生えており、この世のものとは思えぬおぞましさを感じさせる。


「ヘルフレイムフラッシュ!」


 俺の日本刀から、黒く燃え盛る炎と巻きつく炎の蛇が発射される。それが顔面だらけの球体に直撃すると、一気に黒炎が広がり燃やし尽くしてしまった。


「また日本刀をダメにしたな…」


 俺は周辺に気配感知を巡らせるが、もう同じような個体は確認できなかった。すぐに装甲バスに戻り皆に伝える。


「化物は潰した」


 すると突然バスの中に拍手喝采が起きる。


「すげえぞ! マジで異世界の勇者じゃねえか!」

「ハリウッド映画でも見ているみたいだったわ!」

「なんていう華麗な剣技かしら! 勉強になったわ!」

「お兄ちゃん凄い!」


 突然の賛辞に俺は戸惑う。そしてぽつりとクキが言った。


「マジでアンドロイドとかじゃないんだよな?」


 だが皆の喝采にかき消されて、それは俺にしか聞こえなかった。俺は皆に言う。


「恐らくこのクレーターの中心あたりに、ファーマ―社の本社があったのだろう。さっきのは恐らく、入り口を守護する為の試験体だ。今の所一体しか感知してないが、処理したから先に進めるぞ」

 

 するとクキがみんなに聞いて来た。


「俺は武装をしてもいいのか?」


 皆が俺を見る。俺はクキに言った。


「好きにしろ」


 俺の言葉に皆は装備を整え、バスを降りてクレーターの中心に向かって進みだすのだった。

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