表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

247/661

第246話 超回復する化物

 ビルから落ちてくる試験体を剣技で斬り落としながら、俺達のバスは明治神宮に向かってひた走る。試験体の攻撃が途絶えた瞬間を見計って、俺は装甲バスの中に入った。


「あとどのくらいだ?」


「いま、高円寺だからあと五分もすれば着くと思う」


「わかった」

 

 すると運転しているヤマザキが言った。


「ゾンビがいる」


「速度を緩めるな。必要ならひき潰せ」


 俺が屋根に上がり、進行方向にうろついているゾンビを剣技で斬った。転がるゾンビを踏み潰しながら、装甲バスは街道を走り続ける。


 東京の街は俺達がいた頃とは全く違っていた。ビルが倒壊し骨組みがむき出しとなり、街路樹は燃え尽きてなくなってしまっている。路上に捨てられた車も全て燃え尽きており、核攻撃の凄まじさを物語っていた。地面に染みついている影は恐らく、ここらをうろついていたゾンビのものだろう。


 窓から顔を出してミオが俺に言った。


「ヒカル! もう少しよ!」


 するとクキが叫ぶ。


「おっさん! あのビル群の道を右だ! 曲がったらそのまま直進しろ!」


 ヤマザキが指示されたとおりに道を曲がる。進んだ先でクキが言った。


「この先に明治神宮が見えて来る、その先に代々木公園の入り口がある!」


 バスが明治神宮の塀の脇を突き進み、ある所でクキが叫んだ。


「そこが入り口だ! ツッコめ!」


 公園の溶けた鉄製の格子を突き破り、装甲バスは公園内に侵入する。


「手榴弾を投げろ!」


 クキの指示でミナミが、バッグから手榴弾を取り出して外に放り投げた。


 ズドン!


 俺はその音を聞き、更にヤマザキにクラクションを鳴らすように言う。


 プッーーーーーーーーー!


 公園内を見たミオが言う。


「木々が燃えて更地になってる!」


「そうだよ! 核で燃えたんだ!」


 装甲バスが公園の中心に差し掛かった時、俺が言った。


「ヤマザキ! バスを停めろ。クラクションを鳴らし続けるんだ」


 バスが停まりクラクションが鳴り続けると、一気に周辺から気配がこちらに向かってやって来た。どうやらかなりの数の試験体がいるらしい。


 俺はドアの外からヤマザキに言った。


「ドアを閉めろ」


 それを聞いたクキが俺に言った。


「金髪! 誘導はしたぞ! 本当に大丈夫なんだろうな!」


「ああ」


 ヤマザキがドアを閉め、その装甲バスめがけて試験体が押し寄せて来る。俺は腰だめに剣を構えて剣技を繰り出した。


「飛空円斬!」


 突撃してくる試験体が将棋倒しのように倒れるが、その後から次々と突進して来るのがみえた。ゾンビの勢いとは桁が違い、試験体には蜘蛛ゾンビの形態だけではなくキマイラゾンビも混ざっていた。


 俺は気を集中させ、更に深く腰を落として剣技を繰り出した。


「大龍深淵斬」


 更に大規模な剣撃が発生し、試験体達が切り刻まれていく。それによって突撃の勢いが死んだ。俺はもう一度反対側に大龍深淵斬を放つ。


 試験体達が山盛りになって行き、次第に勢いが衰えて来る。更に何発かの剣技を繰り出して、完全に勢いを止めた。


 しかし俺は異変を感じ取っていた。周りの試験体が大人しくなったのを見て、ミオ達がバスを降りてこようとする。だが俺はそれを制した。


「来るな!」


「えっ?」


「なにか、おかしい!」


 俺が見ている先で、試験体の残骸がそばにある残骸に癒着して集まっている。次々に固まっていき、全く違う個体が出来上がってしまった。そいつらが俺を恨めしそうに睨み、俺が剣を構えると再び怒涛の如く押し寄せて来る。


 タケルが叫んだ。


「復活しやがった!」


「早く、ドアを閉めろ!」


 装甲バスのドアが閉められ、俺は復活したゾンビに向かって構える。


 剣技がダメなら魔剣を使ってみるしかないか。


「テンペストソード!」


 大量の試験体が空中に打ち上げられ、竜巻の中で細切れにされていった。


 ドチャ! グチャ!


 試験体の残骸が落ちてくる。俺はもう一度日本刀に魔力を込めて魔剣を発動させた。


「テンペストソード!」


 再び竜巻が起こり、試験体達が細切れにされていく。だがそれでも俺の違和感は終わらなかった。俺は咄嗟に装甲バスに近寄りミナミに言った。


「日本刀をダメにした。二本ほど新しいのを頼む!」


「はい!」


 俺はミナミから新しい日本刀を受け取り、集まって回復しつつある試験体に対峙する。細かく切り刻まれた試験体は数を減らしたものの、個体が更に大きくなり既に人の形の面影すら残っていない。


 なんてものを作り出したんだ…


 こんな物が日本中にばら撒かれたら、人間などひとたまりもないだろう。完全に消滅させる必要がある。


 一本の日本刀を鞘から引き抜き、俺は魔力をどんどん注ぎ込んでいく。神器ならば何発放っても問題はないが、日本刀の限界まで魔力を注ぎ込んだ。恐らく日本刀で出せる魔剣の限界の一太刀となる。


 俺の日本刀から黒い爆炎が立ち上り、その黒い爆炎が刃のように薄く研ぎ澄まされていく。その刃の周りを地獄の炎蛇がのたうち回り、俺の腕まで伸びて来た。


「ヘルフレイムスラッシュ!」


 ゴオオオ! と地獄の炎がうなりを上げて、復活した巨大試験体に向かって振り下ろされた。


 ジュッ!


 数体が一瞬にして消滅する。振り下ろされた地面がマグマのように赤く燃えて沸騰していた。次の瞬間、魔剣を放った日本刀はボロボロに崩れ去る。


 そしてもう一本、鞘から抜き取り同じ魔法を付与していった。


「ヘルフレイムスラッシュ!」


 黒い爆炎があっという間に試験体を飲みこみ、次々に消滅させていった。装甲バスを中心にして、数百メートルの周囲がボコボコと沸騰し、全ての試験体を飲みこんでいく。その瞬間二本目の日本刀がぐずぐずに崩れ去ってしまった。


「一発が限界か…」


 気配探知でも反応は消えた。全ての試験体を消滅させ、次第にあたりは静まり返っていく。俺は壊れた日本刀を持って装甲バスに戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ