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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第235話 孤立した日本

 仲間達は表示されたホームページを読み、しばらくは何も言わずに呆然と立ち尽くす。平和そうなセレモニーの様子が写真で映し出されており、各国大統領が揃って握手を交わしていた。俺にとってみればその様子に違和感はないが、日本人の皆に言わせれば異常極まりない光景らしい。


 ヤマザキが呟く。


「これは、どういう事だ…理解できん」


「ヤマザキ。何がおかしいんだ?」

 

「まず大前提として、世界には政府が機能している国があるらしい」


「なるほど」


「問題は、過去ならばありえない出来事が起きている事だ」


「なんだ?」


 ヤマザキは少し沈黙してから自分で納得するように頷いた。


「この写真で握手を交わしている大統領達は、正常な世界だった時の敵国同士のリーダーだ」


「なに?」


 そう言うとヤマザキが表題を読み上げる。


「人類史上初の米中露における日本包囲網と隔離政策の締結…とある」


「それは本来ありえない事なのか?」


「ありえない」


 ゾンビの世界となり世界から隔離されているうちに、日本が孤立していたらしい。問題はそこに記されている内容だった。


 ヤマザキがゆっくりと読み上げる。


 米国、中国、ロシア、英国、EU、カナダ、オーストラリア、インド、朝鮮半島、のG8による合意。史上初の八ヵ国間同盟の締結、わずか 1年前には不可能だと思われた同盟。


 俺としてはその国々の同盟が、どれほど凄い事か分からずにもう一度ヤマザキに聞く。


「それがあり得ないと?」


「そうだ。しかも韓国、北朝鮮となっておらずに朝鮮半島となっている」


「続けてくれ」


「敵対していた大国、小国同士の敵対関係が解消されているという事になる。日本が知らないうちにな。そしてその後が問題だ」


 ヤマザキが読み上げていく。


 日本周辺海域安全対策委員会が発足。デッドウォーカー症候群の漏洩及び拡大の防止に関する日本周辺地域の安全保障条約締結。


「そして条項が次の通りだ」


 策定されたデッドウォーカーガイドラインと国際法順守による平和秩序の維持

 デッドウォーカー発症時の人道支援とパンデミック阻止救援の軍事協力

 デッドウォーカー進化による脅威の排除と操作プログラム開発の協力


 それを聞いていた皆が沈黙している。そしてオオモリが動画のリンクをクリックした。するとその演説内容が動画で流れ、大統領達が握手を交わしていた。


 そしてユリナが言う。


「いったいどういう事よ…米中露における日本包囲網と隔離政策って…」


「日本が隔離されている、という事よね」


「そう。恐らくゾンビ被害が蔓延した日本から、ゾンビを出さずに隔離して他の国を守ろうという事ね」


「日本以外には、安全な地域があるという事か?」


「そうでしょうね…。ねえ、大森君。他の情報は見れる?」


「そうですね。SNSとか見てみますか?」


 そうして他のサイトを開くと、そこには一般人達が公開した写真や言葉が掲載されていた。


「嘘…」


「いろんなSNSが動いているじゃない」


「本当だ」


「まともに生活しているのかな?」


「日本に関して話している事は無いかしら?」


 そう言って次々にページをひらいて行くが、日本の事を話している動画もページも見当たらない。ほとんどが八か国間同盟のニュースについて話し合っているようだ。


「ちょっと待ってください」


 オオモリが検索サイトに打ち込む。


 ゾンビ 日本 隔離


 するとすぐに各国の政府の情報が出て来る。一般人が話しているような情報は無く、どれも公式発表のようなものが載っていた。


「普通に生活している人もいる?」


「各国でゾンビの被害は拡大してないのかしら?」


「と言う事は、平和に暮らせている地域があるって事よね?」


「ゾンビについてのテキストが見当たらないわね」


 皆が目くじらを立てて次々にサイトを開いて行く。するとオオモリが言った。


「えっと、じゃあ。こう言うのはどうでしょうね?」


 そう言って英語で打ち込んだ。


 Dead Walker Pharma Company Medicine (デッドウォーカー ファーマ―社 薬)


 入力してエンターを押した時だった。突如画面に×の記しが出て来て、次々に文字が大量に書かれたサイトが開いて来る。


「あれ? あれ!」


「どうした?」


「暴走してます!」


 どうやらパソコンがおかしくなったようで、オオモリがパソコンの裏側の線を引っこ抜く。そしてパソコンに機械を差し込み、カチャカチャと文字を打ち込んだ。少ししてから機械を引っこ抜いて、パソコンの電源を落とす。


「ふう」


「どうなったんだ?」


「ウイルスですね。パソコン内のデーターを壊しにかかってましたよ」


「なんだと」


 静かになった部屋で皆が沈黙した。


 そこでヤマザキがオオモリに聞く。


「大森君。じゃあ、もうネットは見れないのか?」


「この施設のアドレスじゃダメだと思います。そもそも日本国内から見れるかどうか…」


「そんなばかな」


「でもさっき見たサイトと、動画のバックアップは引っこ抜きましたよ。ネットワークに繋がないパソコンで見てみますか?」


 そう言ってオオモリは他のパソコンの線を抜き、電源を入れてパスワードを解除する。そして先ほどのページと動画データを開いて見せた。それを見たマナが言う。


「あの状態から取れるなんてね。大森君は本当に凄いわ」


「必死でしたけど間に合いました」


 だが皆は一様に静かになっていた。そしてマナが言う。


「恐らく、ファーマ―社がやった事や日本で起きている事を書くと攻撃されるようね」


「そうだと思います。完全にワードで検出されてやられてますからね」


「あとはIPアドレスが日本だからかもしれない」


 それを聞いたミナミが言う。


「日本はシャットアウトされている?」


「その可能性はあるわ。それか世界中でこれに関して調べたら同じことが起きるかもしれないし、さっきSNSでその情報が一切なかったのも、検閲がかかってる恐れがあるわ」


「ファーマー社のやってる事や日本の事を話してはイケナイって事?」


「ええ」


 それを聞いていたヤマザキが言った。


「さっきの、デッドウォーカー症候群の漏洩及び拡大の防止に関する日本周辺地域の安全保障条約、に抵触する事はダメなんじゃないか? 国家単位で情報統制がとられているのかもしれない」


 するとユミが言う。


「そういえばロシアのタンカーで、衛星通信を繋いだ時も途中で切れた」


「そうだ…」


 するとタケルが怒った顔で言う。


「おいおい! それじゃ、日本は世界から見放されたって事じゃねえのか!」


「そういう事になるだろうな」


「つーかよ! もしかしたらファーマー社が大金をつぎ込んで証拠を消してるんじゃねえのか?」


「武の言う通りかもしれん。もしかしたら国家をも動かす金が動いているかもしれない」


 その話を聞いていた女達が全員すすり泣き始める。そしてユリナが言った。


「ゾンビが蔓延して壊滅した日本は世界から見捨てられた? 国家を動かしてまで隠蔽したって言う事?」


 更に女達の泣く声が大きくなる。ヤマザキが目頭を押さえながら言った。


「島国だからな。完全隔離してしまえば、日本から外国にゾンビは出なくなる。また日本から情報を発信できなくすれば、日本は完全に世界から消えるだろう」


 ミオが泣きながら言った。


「でもゾンビ発症の時に、世界でも暴動は起きたって見たわ!」


 だがそれにはユリナが首を振っていう。


「恐らくファーマ―社は、薬を高く買ってくれる日本に重点的にゾンビ因子をばら撒いたんだわ。もしかすると、そのころ海外にいた日本人が発症して、海外でも局地的にゾンビ騒ぎが起きたのかも。もしくは日本の食品や薬品が実験的に配られたか」


「どういう事?」


「日本の加工食品はね海外で販売される際に、この食品には危険な物質が含まれています、って表示する義務があったりするの。あとは世界で使用禁止になっている添加物が、日本では問題なしとされていたりね。恐らくはファーマー社のゾンビ因子に繋がる添加物は、世界では禁止していたんだと思う」


「そんな…」


 誰も次に話す言葉が見つからないようで、言葉を発さずに途方に暮れているようだった。そしてユリナがポツリと、本当に小さい声で言った。


「もしかすると…日本は国家規模でゾンビの実験場にされたのかもしれない」

 

 それを聞いた皆は顔を伏せ、絶望感に包まれてしまうのだった。

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