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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第233話 海洋ゲーブル陸揚局

 俺達めざす目的の場所はゾンビ停止プログラムの電波が届かないらしく、あちらこちらにゾンビがウロウロしている。このあたりの局舎を動かせば、ゾンビも止まるだろうがその前にやる事があった。


 峠道を下っているところで、ミオが大声を上げた。


「止まって!」


 バスが停まると右手に金網に囲まれた建築物が見える。入り口に小さく書いてある文字をミオが読み上げた。


「海底ケーブル陸揚げ局! ここだわ! 見つけた!」


「横にバスが止められそうな道があるな」


 そう言ってヤマザキが装甲バスをわき道に入れる。


「じゃあ、周辺のゾンビをかたずけっか!」


 タケルが言うとヤマザキがドアを開け、皆が武器を持って降り立つ。既にこのあたりの一連の行動は、これまで何度も何度も繰り返したので皆手慣れたものだった。


「民家が少ない分そう多くはない。手分けして処理しよう」


 俺の言葉に皆が散っていった。三十分もかからずに周辺のゾンビを片付けて皆が戻って来る。全員が戻ったのを確認し、海底ケーブル陸揚げ局の敷地を見た。


 ミナミが柵の上を見て言う。


「有刺鉄線が張り巡らされてるわね」


 それに俺が答える。


「ゾンビに進入されても面倒だ。中から扉を開けよう」


 俺は三メートル程度の金網を飛び越えて、中に飛び内側から留め金を外した。全員が入ったので留め金を止め、ゾンビが来ても進入できないようにしておく。


「行くぞ」


 建物は二階建てになっていて、どうやら屋上がありそうだった。俺がタケルに言う。


「タケル! 先に屋上に上がって皆を受け取ってくれ」


「あいよ」

  

 俺がタケルを掴んで屋上に放り投げると、屋上に立ったタケルがこちらに手を振ってきた。最初にアオイを放り投げてタケルが受け止める。次々に屋上に投げ、全員が上に上がったのを確認して俺が最後に飛んだ。すぐに気配感知で陸揚局の内部を探る。


「ゾンビが数体」


「了解」


 そうして屋上のガラス戸を割り、俺達は内部に侵入した。速攻でゾンビの居る場所にせまって斬り落とす。


 施設を見ながらオオモリが言う。


「下に降りましょう」


 俺達が施設の下に降りていくと、関係者以外立ち入り禁止と書いた扉があった。その鍵を斬って内部に入ると、黒いパイプが何百と取りつけてある場所に出た。それを見てマナが言う。


「奥に行って見ましょう」


 その部屋に隣接した部屋に入ると、いろんな機器を管理するパネルがあった。いろいろ触っていたマナが言う。


「電源がつかないわ。たぶん恐らく中継局までも電源を送らないと繋がらない」


 それに俺が答えた。


「これまでの状況と同じと言う事か」


「それはそうだけど、どれだけ電力がいるのか分からない」


「まずは太陽光発電所を片っ端から探してみるしかないな」


「それで足りるか分からないけど、まずやって見ない事にはね」


「ああ」


 俺達はそれから陸揚局を出て、区域内の太陽光パネルを探し始める。俺達が周辺を探しまくった結果、なんと十数カ所以上の太陽光発電所を発見したのだった。どうやらこの地は、太陽光発電所を積極的に取り入れた地域らしい。片っ端から稼働させているうちに、あっという間に夜になってしまった。


 俺が言う。


「陽が落ちてしまった」


「思いの外、太陽光発電所が多かったですからね。でもこれだけあれば何とかなるかもしれません」


「なんとか稼働させられるんじゃない?」


「やってみましょう」


 俺達は再び海底ケーブル陸揚げ局へ戻る。内部は既に真っ暗になっていたので、懐中電灯で照らしながら蛍光灯のスイッチをつけてみた。すると問題なく建物の中が明るく灯される。


「電気は来てるわ」


「あとは機械が動くかどうかです」


「そうね」


 俺達は再び黒いパイプが集まった部屋に入り、そこの電気もつけてみる。問題なく電気は点き、室内が明るく照らされた。内部のパネルにも電気が通っており、それを見たオオモリとマナが言った。


「流石に専門家じゃないからわかりませんね」


「そうね。今までとは勝手が違うわ」


 それを聞いて俺が言った。


「マナ、動かせそうか?」


「どうかな? ここから電気が送られて中継局も動けばいけるかもね」


「そうですね。まずはこの状態でも繋がるか、上の事務室でネットを繋いでみましょうよ」


 オオモリが言うので、俺達は事務所に戻りパソコンをつけてみる。しばらく使っていなかったため、パソコンは埃をかぶっていた。


「汚いけど。つくかな…」


 マナがスイッチを押すと、パソコンに通電されて画面が光って来た。


「立ち上がりますかね?」


 しばらくすると、画面に文字が映り出しパスワードを要求して来る。


「ちょっと待ってください」


 オオモリがリュックからパスワード解除の為のメディアを取り出し、それをパソコンに差し込んでパチパチと打ち込み始める。しばらくしてオオモリが言う。


「立ち上がります」


 すると画面の上にアイコンが並びパソコンが立ち上がった。


「大森君は天才よね」


 マナが言うとオオモリは顔を真っ赤にして頭をかく。


「いや、天才とか…そんなんじゃないですって。誰でも出来る事ですから」


 するとタケルがオオモリの肩をパン! と叩いて言う。


「天才だってさ! 愛菜ちゃんが言うんだからよ! お前は天才なんだよ!」


「は、はは。ありがとうございます」


「で、ネットはきてんのか?」


「まってください」


 オオモリがパソコンをいじり始めブラウザをひらいた。だがなかなか画面が開かない。


「どうだ?」


「そうですね。繋がっていないかもしれません。電波が通ってないか? どこかで断線しているか? もしくは相手先の国で遮断しているか。いろいろと試してみないと分かりません」


 そしてマナが言う。


「もしかしたら、中継局のバッテリーが溜まっていないのかも。いずれしろ時間がかかりそうだわ」


 それを聞いた俺が言う。


「と言う事は、しばらくここで試さないといけないって事か?」


「はい」

「ええ」


 俺はタケルを見て言った。


「タケル! 回収に行くぞ!」


「了解」


 そして俺とタケルは海底ケーブル陸揚げ局を出る。もうあたりは暗く、後ろの海底ケーブル陸揚げ局から光が漏れるだけ。金網を乗り越えたところで俺はタケルに言った。


「タケル。今日一日この都市周辺を周ってたが…気づいたか?」


「ああ、あちこちにあったな」


「そうだろ? なら、あの大きな店に行こう」


「ヒカルも、だいぶ気に入ったようだな」


 周辺を探しエンジンがかかる車を確保して目当ての場所に向かう。俺達が向かったのは国道六号線沿いにある大きなバイク屋だった。そこには、ガラスの外から見てもびっしりと新しいバイクが見えた。


「タケル! いっぱいあるぞ!」


「ああ! より取り見取りだな!」


「お前の手が治ったからな。早く欲しかったんだ」


「ヒカル…おまえ、俺の為にそんな事を考えてたのか?」


「むしろ、それしか考えていなかったさ」


「はははっ」


 そう言ってタケルが目のあたりを拭った。


「なんだタケル? 泣いてるのか?」


「馬鹿言え。泣くわけ無いだろ! でもよう…真っすぐここに来るなんて、嬉しすぎんだろ!」


「さあ。早く選ぼうぜ! タケルに先に選ばせてやる」


「いいのか?」


「当たり前だ」


 海底ケーブル陸揚げ局の事は全て彼らに任せ、俺達は背徳感に襲われながらもバイクをチョイスし始めるのだった。俺はタケルの手が治ったら絶対に、バイク屋に来ようと決めていた。


 それから一時間後、夜の六号線を二台のバイクが猛スピードで走り去って行くのだった。

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