表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

229/661

第228話 希望の町と破壊された町

 かなり広範囲となったセーフティーゾーンで、生存者達は食品の確保を急いでいた。畑を復活させてタネをまき、自給自足が出来るような動きも取り始める。またゾンビは三割が片付いており、並行して室内にいるゾンビ達を処分していく事になっていた。とはいえかなりのビルや住宅がある為、完全に全てを終わらせるまでは数年かかるかもしれない。だがその途方もない作業を前にしながらも人々は希望に満ちており、自分達の力で復興させる事が出来ると喜んでいた。薬品の研究も継続して行われ人々は未来に向けて動いていたのだった。


 そのような中、街からゾンビを運び出して行くトラックに連なり俺達の装甲バスが走っている。また俺達の装甲バスの後にも、数台の装甲バスがついてきていた。鉄鋼の仕事をしている人が施設を確保し、リコの指導のもとで装甲バスを作り上げたのだ。ゾンビの処理場に曲がってゆく道でトラックの車列が止まり、人々が俺達の装甲バスの前に降りて来た。


 そこにはこの地域の代表者が立っていた。


「じゃあここでお別れだ。大地震の被災地から日本の復興が始まるなんて、何かの因果なのかもしれんな」


 そして俺が答えた。


「ここからの道のりは長いぞ。辛いことだらけだがくじけるんじゃない」


「なあに。震災の時も頑張れたんだ。我々はまだまだやれるさ」


「そうか。じゃあ俺達は行く、またいつかこの地を訪れる事もあるだろう。それまで皆無事でいてくれるように祈っている」


「待ってるよ。そして日本を頼む」


「わかっている」


 お互いが車に乗り込み、クラクションを鳴らして別れを告げた。装甲バスの車列がセーフティエリアを抜けると、ポツリポツリとゾンビが歩いているのが見えて来る。俺達の後ろについてきている装甲バス群は、日本の復興を願って編成された生存者のチームだ。ここから向かった最初の都市で、俺達は彼らにセーフティーゾーンの作り方を教える事になっている。


 そして俺達の車列は最初のエリアの白石市に入る。まずは局舎を動かすための発電所を復活させるため地図をもとに、太陽光発電所に向かった。ミオが後列の車両にトランシーバーで連絡をする。


「ここには普通にゾンビがいます。私達が駆除しますのでバスを降りないようにお願いします。銃は使わないようにお願いします」


 そう言うと、それぞれの車から返事が来た。俺達はバスを降りて、周辺のゾンビを排除していく。気配が無くなったところで合図を送ると、それぞれのバスから人々が降りて来た。皆が俺達の所に集まったところで、太陽光発電所へと入って行く。


 そしてヤマザキが説明をし始める。


「蓄電装置が無事であれば問題ありません。まずはそれを確認しに行きます」


 そして一行はぞろぞろと俺達の後をついて来た。各装置の説明を終えて、ヤマザキが通電させるとどうやらそこの機械は全て無事に動くようだった。


 それを見ながらメモを取る人や動画を取る人がいる。皆が生きるために必死だった。


 一つの電源の確保が出来たので、次はホームセンターを周る事を教える。そこで発電機を入手し、ガソリンスタンドに持って行って燃料を入手する事を教えた。数軒のホームセンターで発電機を入手し、ガソリンスタンドで燃料を確保した俺達は、次に電話局の局舎の場所を探し始める。


 まずは中央の局舎に行って通電し稼働させ、そこにオオモリのプログラムをコピーしたものをインストールする方法を教えた。中央局から電波を発信させた後で、各地の局舎を周っていく。俺達はすでに手慣れているから、一日で全ての作業が終わらせられているが、最初の頃は俺達でもかなり手こづっていた。


 そして俺達は白石市で一夜を過ごす事にする。まずはホテルの中にいる固まったゾンビを片付けた。


 俺達に救出隊の代表者が聞いて来る。


「物凄く手慣れていましたね」


 ヤマザキが答えた。


「かなりの数をこなしてきましたからね」


「伝授してくれたおかげで、安全に処理できそうです」


「ええ。ただ最初は危険ですので、とにかく銃でゾンビを倒しつつ頑張ってみてください」


「これだけの人数がいれば何とかなると思います」


 救出隊の人たちも、今日一日でかなり疲労していると思うが寝ずに話をしていた。


 そして今度は、ユリナが手に持った薬を見ながら言う。


「あとはこれが予定通り効いて来るといいですね」


 それは仙台で薬品に精通する研究員が作った、血清が入ったカプセルだった。


「まだ気休めだと言っておりましたけどね。少しでもゾンビ因子の進行を遅らせる事が出来るのであれば、それに縋りたいです」


「あとは薬学や生物学、ロボット工学に精通している人を見つけて託すしかないです。データを惜しまずに提供して、全ての情報を伝える事です」


「わかりました。あなた方のおかげで本当に助かった」


「一カ月ほどはこのあたりで頑張ってみてください。恐らく生存者は必ずいると思います」


「はい」


 その日は街で確保した食料で別れの酒を飲んだ。一夜すごして次の日、俺達は生存者達に別れを告げる。


 救出隊の代表者が言う。


「本当にありがとうございました」


 俺が答える。


「みんなも頑張ってくれ。きっと道は開ける」


「はい!」


 俺達は彼らに送り出されてその地を後にした。


 彼らは白石市に始まり、福島県内陸部の解放に向けて頑張るとの事だ。福島が解放された暁には栃木に向かうと言っている。ただ一つ、俺達が危険地帯と判定した福島の海沿いに関しては、俺達がひとつひとつ確認していくことになっていた。


「ヒカル。ファーマー社はまだいるかな?」


「それは分からんが、逃げていれば火力発電所が使えるかもしれん。無事ならかなり有効に使えるぞ。またファーマー社がいたとしても、俺が全てケリをつける」


「そうね」


 しかし俺達が到着した時、火力発電所は完全に破壊されていた。破壊は発電所だけでは無く都市内部にまで及んだようで、完膚なきまでに爆撃で潰されていた。


「ひでえな…」


「恐らくは俺達に追い打ちをかけたつもりだったんだろう」


「これじゃあ、人が生きている可能性が低いわよ」


 更に俺達が相馬市の都市周辺を周ると、通信関係の局舎も全て爆撃によって破壊されている。恐らく敵は、この地域の通信網が復活できないように仕向けたらしい。これではオオモリのシステムを稼働する事が出来なかった。


 そして俺が言う。


「行こう。ここでやれることはない」


「ああ…」

「そうね」

「全くムカつくぜ! ファーマー社のやろう!」

「最低だね」


 俺達は煮え湯を飲まされたような気持ちで、更に南に向けて進み始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ