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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第212話 警戒する市民

 俺がこの世界に来て初めて、ゾンビがいない町の風景を見る事が出来た。皆で力を合わせてゾンビを処分していった結果、残骸も無い美しい町並みが現れたのだ。不思議なもので、空にかかった白い雲がいつもよりきれいに見える。


 外だけを見れば何もない平凡な街に見えて来る。しかし建物の中に入れば、動きを止めたゾンビ達が銅像のように立ち尽くしていた。まず俺達は町にある巨大ショッピングセンター内のゾンビを片付け、生存者が逃げ込める環境を作り出す。そしてそのショッピングセンターの屋上駐車場で、双眼鏡を持ち周りを監視していた。屋上から見渡した限り生存者は確認できていないが、そのうち出て来るかもしれない。


 そしてヤマザキが言う。


「ヒカルとミオの気配感知で、しらみつぶしに探すしかないんじゃないか?」


 ミオが答える。


「気長にやっていくしかないかしらね。他にもソーラー発電や風力発電の施設を探さないといけないし、とにかく生存者を探さないと進まないわよね」


「やる事は山積みだ」


 そして俺達は。もう一つある事を始めた。


 ユリナが言う。


「ネットが発達していなかったときは、こうしてイベントのあり無しを知らせてもらったなあ」


 するとリコが答える。


「わかる。SNSが無かったときはそうだったよね!」


 そしてタケルが言った。


「じゃやるぜ!」


 タケルが手元に持った花火に火を点け、それを円筒に放り込む。するとそれが空中に飛び出して、空でポンッポンポン! と大きな音をたてて爆発音が響いた。


「これが聞こえると良いがな」


「何発目だっけ?」


「一時間ごとやって、五回目かな?」


「地道だよね」


 俺達は昨日からここを訪れて、ショッピングセンター内を片付けた。そして朝から定期的に花火を上げ始め、既に五時間が経過している。


「駐車場で焚いてる焚火の煙が見えればいいんだけど」


「どうかね」


 しばらくは動きが無く、場所を移してやってみようかという話になった時だった。


「ヒカルお兄ちゃん!」


「動いたか?」


 俺がアオイのもとに行って指さす先を見る。するとそちら側から車が走って来る音が聞こえて来る。どうやら市街地の外からこちらに走ってきているようで、数台の車の音が聞こえた。建物の隙間からちらちらとトラックが見え隠れする。


「タケル! もう一度花火を上げろ」


「あいよ!」


 花火がポンポンと空中で炸裂し白い煙を上げる。するとツバサも気が付いたようだ。


「何台もいるわ」


 そしてヤマザキが言った。


「一応警戒しておこう。ファーマー社ではないと思うが、味方になる人達だとも限らない」


 皆が頷く。地上で焚火をしていたミナミとユンとマナも呼び寄せ、皆が屋上の駐車場に登って来た。


「どうしたの?」


「人がこちらに向かっている」


「えっ! 本当?」


「ああ、恐らく郊外から来た奴らだ」


 俺達が屋上の縁からそちらの方角を見ていると車列が見え始めた。台数にして五台、どうやらトラックの荷台に乗っている奴らは銃を構えている。俺はその事を皆に伝えた。


「銃を持っている、警戒が必要だ」


「わかった!」


 皆が警戒しながら見ていると、その車は駐車場の前の道に停まった。だが人が降りて来る様子は無く、トラックの荷台のやつらは焚火を指さして何かを話しているようだ。


「どうか?」

 

 すると五台の車が、ゆっくりと入り口から入って来た。中央で燃えている焚火の所に向かい、車を停めずに焚火の周りをまわっている。しばらくして車が停まり、トラックの荷台から四人が降りて焚火を確認し始める。相当警戒しているようだが、その行動は間違ってはいない。


 ヤマザキが言った。


「声をかけてみよう。拡声器をくれ」


 ユミがヤマザキに拡声器を渡した。そしてスイッチを入れてヤマザキが声をかける。


「良く来てくれた!」


 だがその声を聞いた人らは、慌ててトラックに乗り込む。重ねてヤマザキが声をかけた。


「怪しいものじゃない! 我々は一般市民だ!」


 だが話を聞かないうちに、車列は出発し始めた。


「敵じゃない! まってくれ!」


 しかし車は止まらずに駐車場を出て行ってしまった。


「行ってしまった…」


「驚かしちゃったかしら?」


「俺の声がけがまずかったか?」


「ううん。取り付く島もない感じだった」


 俺達は集まって相談を始める。


「ゾンビの世界になってしばらく経つのだろうから、警戒して当然だ」


「そうね。でも、どうしたらいいかしら?」


「恐らく彼らは、ゾンビだけを警戒しているのではない」


「まあそうだよね」


「ああ、物資の奪い合いや殺し合いがあってもおかしくはないからな」


 それにオオモリが答えた。


「我々も物資を探していた時に争いはありました」


「声がけしても簡単に人が出てこないのは、そう言った理由があるからなのね。ゾンビがいなくなったらすんなり出てくると思ったけど、一筋縄ではいかないのかな?」


 するとヤマザキが言う。


「不用意に刺激して争いになっても仕方がない。何か敵意が無い事を知らせる方法はないか?」


「山崎さん。私、思いついた事があるの!」


 アオイが言う。


「なんだい?」


「このショッピングセンターにペンキスプレーがあったわ! それで駐車場に何か書いたらいいんじゃないかな?」


「名案だな」


 俺達はすぐにショッピングセンターに降りて、アオイが言っていたペンキスプレーを集める。それを持って皆で駐車場に出た。


「じゃあ、書こう」


 そして駐車場にスプレーで大きな文字を書き始めた。


 私達は敵ではないし敵対する意思もない。ただ平和に人間が住む世界を取り戻したい。交流する意思があるなら明日の朝ここに来てほしい。


「こんなもんか?」


「いいんじゃない?」


「じゃ、行こうか。ここに居たら一般市民に撃たれてしまうかもしれんからな」


 俺達は装甲バスに乗り込み、一度そのショッピングセンターを離れる事にした。拠点まで戻ると何かあった時にすぐに駆け付けられない為、上杉神社に来る。境内に入る道は四カ所あるが閉鎖してしまえば、いきなり襲撃を受ける事はない。四カ所の入り口には俺が車でバリケードを作っており、容易に入り込むことは出来ないはずだ。一カ所はトラックで封鎖しており、俺達はそのトラックを動かして装甲バスで乗り入れた。非常に手間がかかる手法ではあるが、皆の安全を考えたらこうする事が一番だった。


「彼ら戻って来るよね?」


「間違いなくそうするだろう、ショッピングセンターには物資もある。好きなだけ取ってもらっていいんだ」


「そうね。計画通りに進むと良いけど」


「俺達も焦らん事だな」


 そうして俺達は上杉神社で一晩をすごす事になるのだった。

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