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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編

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第211話 ゾンビ処理作業

 米沢市のゾンビを機能停止させた俺達は、車にスピーカーをつけて早朝から大音量で呼びかけ始めた。本来こんな事をすれば、ゾンビが集まってくるはずだが全く集まってこない。電源が続いているうちはゾンビが止まっている為、人が生存していれば外を自由に動く事が出来るだろう。

 

 都市に食料がどれだけ残っているかは分からないが、自由に動けるようになれば探す事もできる。それ以上にゾンビを駆除する為の人手も足りない。


 やる事は山積みでも、これが日本を再生する第一歩となるはずだ。


「隠れている人がいたとしても、すぐには動かないだろうな」


 車を運転しながらヤマザキが言う。それにユリナが答えた。


「そうね。止まってるとはいえゾンビを見れば恐怖だわ、あと電波が届かない場所に入るのも危険よね」


「もし生きていると仮定して、ゾンビを掻い潜って食料を確保せねばならなかっただろうし、その状況でどれほどの生存者がいるかは分からん」


「そうよね。あと…せっかくこうしても、ファーマー社の軍隊が壊しに来るかもしれない」


「そうだな」


 念のため軍隊は警戒しているが、今のところ軍が出没する気配は無かった。ヘリコプターや航空機も飛ばないため、こうして自由に活動する事が出来ている。


 そしてタケルが言う。


「ヒカル、そろそろ始めっか」


「そうだな。皆も準備は良いか?」


「「「「「「はい」」」」」」


 するとオオモリがいった。


「電源が途切れるか電波が不安定になる可能性もあります。危険ですのでいきなり大軍に突っ込まないで駆除したほうがいいですし、退路を必ず確保するようにした方が良いと思います」


「わかった。じゃあ三組に分かれるぞ」


 俺達は止まっているゾンビを掃除しに来た。この都市を綺麗にして、人が歩き回れるようにしようと考えたのだ。呼びかけて出てきた人らにも協力してもらおうと思ったのだが、未だに生存者には出会えていない。


「タケルのパーティーは、ミオ、マナ、ユミで」


「うっす」


「ミナミのパーティーは、ツバサ、ヤマザキ、ユリナで」


「わかったわ」


「俺と一緒に行くのは、アオイとユンとリコ。そしてオオモリだ」


「「「「はい」」」」


「ゾンビ討伐の訓練も兼ねるからな。体の使い方や注意すべき事を伝えていく」


「「「「はい」」」」


 そして俺達は米沢市の市街地に三方に別れて進む。いっきに進むことなく、止まっているゾンビを見かけたらしらみつぶしに駆除していくのだ。俺だけは剣技が使えるので、視界の良い場所ではいっきにつぶしをかける。それでも、かなりの時間がかかるだろう。


 一時間ほど討伐をしたら、バスに戻り移動して休憩をはさむ。皆が動けるようになったら、再び三組に分かれてゾンビを駆除していく。とにかくゾンビが停止しているため駆除の速度は速いが、思いがけないところに潜んでいるのが厄介だった。


 昼食の時間になって用意して来た弁当を食べ始めるが、ユンとリコとオオモリは食欲がないと言う。それを見たユリナが言う。


「少しでも食べないとまいっちゃうわよ。焼き肉が辛いならおにぎりだけでも食べて」


「ゾンビの事を思い出すと結構きちぃのよね」

「そうね。なかなか慣れないわ」

「僕もキツイっすね」


 この三人は地獄の東京を経験していない為、ゾンビの大量討伐になれていないのだ。他の皆は慣れたもので、普通に食事をしていた。


 俺が三人に言う。


「無理にすることはない。バスで休んでいたらいいさ」


 だがそれを聞いたユンが首を振る。


「だめだよ。あーしらも一緒にやらないといつまでも慣れないっしょ」


「ユンちゃんの言うとおりね」


「僕もやりますよ」


「わかった。きつくなったら言ってくれ」


 その後も皆はゾンビを駆除した。その成果があって、路地などに居たゾンビは軒並み片付く。休憩で集まった時ヤマザキが言った。


「そろそろ処分作業に入らんと」


「わかった」


 それを聞いたタケルが言う。


「じゃ、重機もってくっか」


「そうしよう」


 皆であらかじめ用意していた、数台のブルドーザーを置いてる場所に向かう。それぞれが乗り込んで、ゾンビを処理した路地に進んでいった。ブルドーザーで倒れたゾンビをかき集め始めると、各所にゾンビが山積みになって行く。ある程度集まったところでヤマザキが言う。


「回収作業に入ろう」


 ユリナがダンプをゆっくり進ませ、その後ろをヤマザキが操作するショベルカーが付いて来た。ゾンビが山積みになっている場所に到着すると、ヤマザキがショベルカーでゾンビをかき集めダンプに積み込んでいく。


「なかなか難しいな」


「重機なんて使った事無いもんね」


「なら俺も手伝おう」


 ヤマザキが重機でゾンビをダンプに盛り付けている横で、俺は落ちている奴を拾ってポイポイとダンプに投げ込んでいく。


 それから数時間の作業でダンプカーがいっぱいになった。そこでヤマザキが言った。


「よーし。陽が落ちる前にゾンビを焼くぞ」


「おっしゃ」


 皆でダンプと装甲バスに乗り込み、ゾンビを焼却する場所に向かった。


 バスの中で皆が疲れたように椅子に背を持たれさせて言う。


「ふうー! 疲れた!」


「重労働だよね」


 ユミとユリナが言うが、それを聞いたミオが言った。


「でもさあ…私達、すっごい力持ちになってない? 人間じゃないみたい」


「確かに―。昔なら持てなかったものが持てるようになってる」


「同じく」


 皆がうんうんと頷いていた。それに俺が答えた。


「恐らく全員のレベルが上がってるんだよ。レベルが上がるごとに、今までには無かった力がつくんだ」


 それにマナが言う。


「え。私あまり力ついてないよ、ゾンビを引き寄せるくらいで」


 オオモリも言った。


「僕もっすね」


「それは二人の適性が体力じゃないところにあるんだ。恐らく二人は思考加速と言う身体強化を自動で発動させている」


「なるほど…それで考えもつかないプログラムが思いついたりしてるんですね」


「そうだ」


「なるほどです」


 俺達の車は荒れ地に到着した。ダンプカーの背中が斜めに上がっていき、ゾンビがざらざらと地面に落ちて行く。次第に陽が落ちて空が青くなってきたので、俺達は急いでゾンビに枯れ木を乗せていき、燃料になるガソリンとオイルをかけていった。


「点火するぞ。離れろ」


 ヤマザキが言って皆がゾンビから離れる。ヤマザキは先の長いライターで油に浸した木の棒に火をつけ、それをゾンビの山に投げ込むと、ぼわっ!といっきに火の手があがった。


 そして俺が言う。


「よし、拠点に戻ろう」


「ああ」

「わかった」

「うん」


 大きく火の手が上がるゾンビの山を背に、俺達は拠点に戻るのだった。

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