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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編

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第198話 人類の未来会議

 無限に歩き続けるゾンビを見ていたがそれもそろそろ飽きて来た。敵の偵察をして帰って来ても、やはりゾンビは同じ動きを延々と続けている。


 そして俺が管理室に戻ると、ヤマザキが扉を開けてくれた。


「かなりのヘリコプターが飛んでいる。軍隊が集結しているようだ」


「やはりそのまま研究を続けているのだろうな」


 そして俺が毛布にくるまれているオオモリを見た。この研究所内の仮眠室にあった毛布だが、風邪をひかれても困るので包んでやったのだ。


「良く寝ているな」


「さっきからむにゃむにゃ言ってるから、じきに起きると思うけど」


 とユリナが言った矢先だった。


「うーん」


 オオモリが目を覚ました。そして俺達を見て言う。


「あ、僕寝てました?」


 皆が頷く。


「よく寝てたよ。まあ三日も寝てなかったんだから仕方ない」


「まあ…でもなんかスッキリしたような」


 そしてオオモリがむっくりと起きて立ち上がった。体にかかっていた毛布がはらりと落ちて、オオモリが何かの違和感に気が付く。下をむいて自分の体を見た。


「えっ! 何ですかこれ!」


 オオモリは自分の股間を隠して叫んだ。オオモリが目覚めるといけなので、ゾンビ因子を取り除いた後の真っ白な体をそのままにしていたのだ。


 ユリナが説明しようとする。


「えーと」


「なんで全身にパウダーを塗られているんです!」


「それはパウダーじゃないの。体内に潜んでいたゾンビ因子の死骸よ」


「は? ゾンビ因子? 死骸?」


「そう。それを取り除く施術をさせてもらったわ」


 そして次の瞬間オオモリはハッとしたような顔で、バッと毛布を体に巻いた。


「ま、丸裸っすよ! なんで、僕は女の子達の前に、裸体をさらさなければならないんですか?」


「気持ちよさそうに寝ていたので、起こすわけにいかないと思って」


「えええ?」


 するとマナがオオモリに言った。


「落ち着いて大森君。私達も越えた道だから」


「えっ? 皆も裸になってやったんですか?」


「そうよ」


「愛菜さんも?」


「そう」


「……」


 オオモリは少し静かになったが、唐突に前かがみになった。


「や、やばいやばい!」


 ユリナが近づいて言う。


「大丈夫?」


「い、いや! 近寄らないでください!」


「わ、わかった」


 するとタケルがオオモリに向かって言った。


「ほらよ。新しい服だぜ」


「あ、ありがとうございます」


 オオモリはタケルから服を受け取って、そそくさとサーバーの後ろに隠れた。そこでユリナが声をかける。


「あ、体を拭いてあげる」


「え、いいです! 自分でふけます!」


「でも手が届かない事もあるだろうし」


「問題ないっす!」


 だがマナが言った。


「拭いてもらった方がいいわ。私と友理奈でやればすぐに終わるし」


「え、愛菜さんが…」


「さっさと綺麗にした方が良いでしょう?」


「じゃあおねがいします!」


 そしてユリナとマナが濡れたタオルを持って、サーバーの陰にいった。サーバーの向こうから、オオモリの変な声が聞こえて来る。


「お、あっ! ああ、へっ?」


「ちょっと変な声出さないでよ」


「なんていうか、人に触れられるのは久しぶりだったので」


 服を着たオオモリとマナとユリナが戻ってきて、オオモリが言う。


「ゾンビの様子はどうですか?」


「ずっと一方通行で歩いているわ」


「上手くはいってるっすね。いったん止めます」


 そう言ってオオモリがパソコンを触る。すると外の足音が止まった。ドアから外を見たヤマザキが言う。


「止まってる」


「成功です」


「そうみたいだ」


「ところで、ゾンビ因子を取り除いたって話を詳しく聞かせてもらってもいいですか?」


「ああ」


 俺達は一連の出来事の説明をしていく。だがオオモリは疑う事無く素直に情報を聞き入れた。それに違和感を感じたヤマザキが言う。


「君は疑わないのか?」


「いや。おおよそそう言う事でしょう? まあそれを除去する力があるってのは驚きましたけどね。それに、ここで僕に嘘をついても皆さんに何のメリットもないですし」


「そのとおりだな。君は凄く頭がいい」


 俺達はオオモリを囲んで話を始めた。ゾンビをコントロールできるなら、それを各地に広げていく事で人間の居住範囲を広げる事が出来る。だがオオモリは言った。


「いや。まず6Gの基地局を設置しないと、今はこの限定的な範囲でしかできません」


「どうしたらいい?」


「6Gの知識がある人間を探さないといけないでしょうね」


「それが出来れば、地域を広げていけると?」


「はい」


 そしてその一連の話を聞いてヤマザキが言った。


「これはファーマー社に対してのアドバンテージだ。大森君は敵が出来ない事をやってのけたんだからな。何とかコントロールできる地域を広げたい」


「ヒカルさんが解析した情報が大きいっす。確かに6Gの範囲を敵より早く広げられればいいですね」


 現在ファーマー社は、第一原子力発電所を占拠して研究をしている。恐らくは放射性物質を利用する為にあの地を選んだと推測した。そして研究を継続させる為に、軍隊を集めて完全な防御態勢を敷いているようだった。

 

 ヤマザキが言った。


「これ以上事を進めるのなら、第一原発の研究所に行かないとダメだろうな…」


「ファーマー社は6Gの技術を持ってますからね。その情報を盗み出さないとですね」


「なるほど」


 それを聞いて俺が言う。


「俺が行って回収する事は出来るが、何を持って来ればいいのか分からない」


「倉庫の場所は分かりますよ?」


「そこに行けば何か分かるか?」


「いや。スマホの在庫があるだけで、局舎の情報があるかは分かりません。ですが侵入してネットワークを見る事が出来れば話は違います」


「なら行って見るしかあるまい」


「でもファーマー社の真っ只中ですよ?」


「だが、それしか道はないのだろう?」


「そうですが…」


 そしてユリナが言った。


「知的ゾンビの開発もどこまで進んだのか知りたいわよね?」


「確かに、でも誰が行くんですか?」


 するとタケルが言う。


「ここまで来たらのるかそるかじゃねえか? 蜘蛛の糸を掴むようだけどよ、ファーマー社が仕掛けたゾンビを無効に出来る可能性があるなら今が攻め時だろ?」


 それを聞いたミオが言う。


「武の言うとおりだと思う。ゾンビを無力化して、日本人の生き残りを開放する事が先決だわ」


 確かにその通りではあるが、危険を伴う作戦だ。


「それならば、俺が先に行って基地を壊滅させてきた方がいい」


 だがヤマザキが首を振った。


「いや。ヒカル、それこそあそこを全滅させたら敵はまた核を使うだろう。手も足も出ないと分かればやる。原子力発電所に核弾頭を撃ち込まれたら、東日本は壊滅するんじゃないだろうか」


「そうなのか…」


 それらの話を聞いていたマナが言った。


「話をまとめましょう」


 俺達は文字に書きだしながらも、何度も話し合った。


一、6Gの技術を盗む

二、知的ゾンビの研究成果を盗む

三、知的ゾンビがいたら回収する

四、敵の本拠地を突き止める


 以上の事が決まった。しかしどれもが難しく実現不可能のようにも思える。だがタケルが俺に言う。


「レベル千の勇者なんだろ。前の世界ではもっと難しい事を達成したんだ。お前が考える方法を教えてくれ」


「核弾頭がいつ飛んで来るのかさえ確認できれば、俺はそれを無効化出来る力がある」


「原子力発電所に着弾する前に知りたいってか?」


「そうだ」


 するとオオモリが言った。


「基地からならハッキングが可能かもしれません」


 マナが言った。


「それなら、もしかしたら核弾頭の発射を予測出来るかもしれないわね」


 俺達は夜通し話し合い、どうすべきかを決定した。基地を襲撃し情報を収集した後、オオモリがハッキングをして敵の攻撃を察知する。失敗した場合は第一原発から出来るだけ遠くへ逃げる。


 だが俺は確認するようにみんなに言った。


「今回の作戦はかなり危険だ。もしかしたら全員無事で戻っては来れないかもしれない」


 それにミオが言う。


「ヒカル。多分だけど、人類が生き残るかどうかがここで決まると思う」


 ユリナも言った。


「いつまでも、ファーマー社に好き勝手させられないわ」


 ミナミが日本刀をかかげて言った。


「不届き者は、これで叩き斬ってやるから」


 皆が立ち上がる。タケルが前に手を差し出すと、皆がその手に自分の手を乗せた。


「人類の未来の為に! 行くぜ!」


「「「「「おお!」」」」」


 皆が覚悟を決めた顔をしていた。そして俺は一人、誰一人死なせる事無く戻る事を決意するのだった。

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