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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編

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第192話 南相馬市への道すがら

 俺達が南相馬市へバイクを走らせて数分経った時、俺の肩をマナがトントンと叩いて来る。スピードを緩めバイクを停めて聞いた。


「どうした?」


「あの看板」


 マナが指さす先の道路の看板に何か書いてあった。


「あれがどうしたんだ?」


「コンピューティングシステムAI研究センターだって!」


「コンピューティングシステム・エーアイ研究センター? 俺達の目的に関係しているのか?」


「日本の企業でAI研究の最先端の研究をしているはずだわ。こんなところにあったんだ」


「どうすればいい?」


「たぶんコンピューターがたくさんあると思うし、データ復旧のソフトなんかもあると思う。本当についてるわ、わざわざ南相馬市に行かなくても済むかも」


「そういうことなら行ってみよう」


 そのまま右の小道に入り、道なりに行くと真新しい建物が見えて来た。だが近寄るにつれて、おかしな感覚が伝わってくる。確認の為、マナとバイクを降りて建物の中に気配感知を走らせた。


「マナ。何かがおかしい」


「え? 何かあるの?」


「建物の中のゾンビの数が多すぎる」


「えっ? ゾンビの数が?」


「それだけじゃない。動きがおかしいんだ」


「そんな…こんなところに新種のゾンビがいるって事?」


「そうだ」


「…原発からニ十キロも離れてないよね…もしかしたら敵の拠点?」


「それにしては、あまりにも無防備過ぎる気がする」


 俺達はその建物の周囲をぐるりと回ってみるが、特に危険なものは感じなかった。マナは俺の袖を掴んで怯えながら言う。


「どうしよう」


「ここは、調べた方が良さそうだ」


「わ、わかった」


 俺はマナを抱える。


「きゃっ」


 そのまま屋上に飛び、入り口から入る事はせず屋上で侵入場所を探す。縁に立って周りを見ると梯子が壁に取り付けてあった。


「そこから降りよう」


「わかった」


 俺が先に梯子を伝い降りてマナがあとから着いて来る。ガラス窓があったので俺は日本刀を鞘に入れたまま割った。そこに足をかけてマナに手を伸ばす。


「うん」


 建物内部に侵入すると、そこは机と椅子が並んだだけの部屋だった。


「ここは会議室だね」


「パソコンは無いな。行こう」


 俺が先を歩いてマナが着いて来る。部屋の入り口に立って外を確認するが、通路にはゾンビは居ないようだった。人の気配もしないので俺はドアを開けて通路に出た。


「ゾンビ、いないね?」


「下にいるようだ。このまま二階を探してみよう」


 隣の部屋に入ると、雑多に様々な機械が置いてありパソコンもあった。


「PCあった。ちょっと見てみる」


 マナがパソコンを触る。


「どうだ?」


「たち上がったけど電源が足りないな」


「発電機が必要か」


「そうね。あとはソケットが合うかどうか、他にも変換する機器があればなおいいんだけど」


 マナが部屋の周辺に置いてある、機器を見ていく。


「これ、多分3Dプリンターだ」


「なんだそれは?」


「パソコンのデーターを立体で作り出す機械よ」


「凄いな」


「でも電源はつかないみたい」


「なるほど」


 その部屋には、箱に入った部品などもあり俺が見たゾンビ研究施設などとは違うようだ。


「マナ。ここはどういう施設だ」


「どう見ても普通の会社よ。そこにある人形は恐らくAIで動かすものよ」


「エーアイ?」


「機械の人格みたいな奴って言ったらいいのかな。パソコンが勝手に考えて動くみたいな?」


「なるほど、よくわからん」


 パソコンに戻ると、マナが言う。


「あ、やっぱダメだ。パソコンが落ちちゃった」


「この館内を探してみよう、何かあるかもしれん」


 そして俺達は二階を一周するが、似たような部屋があるだけのようだ。事務所になっており、机の上にパソコンが並んでいる。


「一台ずつ、つけていくかどうかね」


「一台ずつか…それより一階が気になる」


「一階に行くの?」


「ああ」


 そんな会話をしている時だった。


 プルルルルル! プルルルルルル!


「えっ? 電話なってる!」


 マナが部屋に入り一番近くのテーブルに乗っている電話を見る。それは点滅しており、けたたましく音がなっていた。


「どうしよう」


「これはなんだ?」


「電話じゃない。たぶん内線だわ」


「どうすればいい?」


「受話器を持ち上げれば話せる」


 そう聞いて俺は電話の受話器を取って耳につけた。すると向こうから声が聞こえて来る。


「ど、どちら様ですか?」


「……」

 

 俺はマナに向かって言った。


「どちら様かと聞いている」


「代わるわ」


 そう言ってマナは台に置いてある機械のボタンを押した。すると相手の声が聞こえて来る。


「スピーカーモードよ。二人で話せるわ」


「わかった」


「あなたは、誰?」


「いや。それはこちらが聞きたい。あなた達は人の会社に無断進入してますよ、とはいえゾンビじゃない人を久しぶりに見ましたけど」


「私達は数人で東京から逃げて来たの、そしてある情報を調べたくてパソコンを探していたわ」


「パソコンなら、二階にいっぱいあるでしょう? どれでも欲しいもの差し上げます」


「それよりあなたはどこにいるの?」


「あなた達は武器を持っていますよね? 物資を強奪しに来たんじゃないですか?」


「違うわ。本当にただパソコンが必要なの」


「……」


「どうかしら?」


 電話の相手はしばらく話をするのを止めて考えているようだ。俺達が黙って待っていると、ようやく口を開いた。


「あ、あの。食べ物か飲み物を持っていませんか?」


「あるけど、今は無いわ」


「それと交換でどうです?」


「じゃあ、食べ物か飲み物を持って来ればいいのね?」


「はい」


 マナが俺を見るので頷いた。そして電話の男に言う。


「取って来る。待っていろ」


「わかりました」


 電話を切り俺はマナを連れて窓に近づいた。


「どうするの?」


「タケルと町に行った時に無事な建物もあったからな、何か口にできる物くらいあるだろう。後は自動販売機も各地にあったから回収してくる」


「わかった」


 俺はそのままマナを抱いて窓から飛び降りた。すぐにバイクに乗り、一旦その施設を後にするのだった。


 町に戻り固形の食料と飲料水を確保した。それをマナが背負っているリュックに詰め込んでいく。そして俺達は再び先ほどの建物に戻った。バイクを入り口につけると、一階の入り口が自動で開いたのだった。

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