表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/661

第184話 原子力発電所跡地へ

 暗がりの発電所であちこちから人の声が聞こえてきた。既に異変に気付いているらしく、のんびりしていたら応援を呼ばれてしまうだろう。


 タケルが俺に言った。


「全て破壊するのは時間がかかるんじゃね? 軍が来たら厄介だぜ」


「問題ない」


「どうすんだ?」


「みんな俺から離れてくれ」


 方向からすると二カ所、白い塔が二本立っている建物と寸胴な円筒が立っている場所。まずは右手に見える二本の白い塔を視界に収める。


 スッと剣を構えて意識を集中させていく。


「大地裂斬」


 バグゥン! 地面を大きく裂いて地割れを起こし建物を飲みこんでいく。そして左方向に体を向けて、再び意識を集中させていく。


「大地裂斬」


 バグゥン! 同じように地面が開いて建物が沈んでいった。あちこちで爆発が起こり、炎で辺りが明るく照らされる。俺が振り向くと、皆があっけにとられた顔をしていた。


 ユリナがポツリと言った。


「…災害じゃない、こんなの」


「大地を割る時に使う技だ。これで大量のヤクザ集団を屠った」


 そしてミナミも愕然として言う。


「これが…レベル千以上の力…」


 タケルも目を見開いていた。


「そりゃスーパーヒーローも殺せるか…」


 とにかく皆が呆然として動かないので、俺は声を上げる。


「すぐに移動するぞ! ぼやぼやしていると援軍が来る!」


「そ、そうだな!」

「ええ、急ぎましょう!」

「とにかくバスに戻ろう」


 皆が金網の方に走り出し入ってくるときに破った金網を越え、雑木林の中に身を隠した。そして俺が先頭を走り皆が後をついて来る。


「さっきの車が戻っていく」


 どうやら仲間達を追って外に出ていたヤツラが戻って来たらしい。森の中を走りながらミオがい言った。


「発電所の人、どうなるんだろうね?」


「分からんが、発電所内部でも全員は死んではいない。合流してどうするかはわからん」


 俺達がバスを停めた高台の公園にたどり着いた頃、突然風を切り裂くような音が聞こえて来た。


「あれはなんだ?」


 俺が聞くとヤマザキが答えた。


「飛行機だな。ジェット機の音だと思う」


「ジェット機?」


 俺達が発電所を見下ろした時、発電所内部にいくつもの爆炎が立ち上った。


「爆撃してるわ」


「爆撃? 生き残りを救わないのか?」


 そう言っている間にも第二波の爆発が起きた。


「確実に証拠を消そうとしているんだろう。俺達がやらなくても結局は同じだったって事だ」


 火の海になっていく発電所を見て俺達はしばらくそこにいた。そしてミオが言う。


「いつまでも見ていたってしょうがないわよね?」


 それにタケルが答える。


「ヒカル。研究所行くんだろ?」


「そうだな」


「なら、北上してけば原子力発電所があるはずだぜ」


 しかし俺は迷った。研究所にいるのは恐らく普通の人間ではない。軍関係者がいるかもしれないし、戦闘用に開発したゾンビもいるだろう。


「どうしたの? ヒカル」


「さっき聞いた情報から考えると、研究所には戦闘用のゾンビがいる。俺が鬼怒川で討伐した蜘蛛ゾンビのような奴か、もしくはそれ以上の奴がいると考えて良い。今のみんなの力量を考えると、それに太刀打ちできるかどうかわからん」


「「「「「「…」」」」」」


 皆は沈黙した。俺が戦っている蜘蛛ゾンビを見ているので、その脅威は分かっているだろう。だがミナミが言った。


「でも、レベルアップのチャンスじゃない?」


 それを聞いたタケルも言う。


「俺も頭打ちだからな、ここはいっちょやってみっか」


 皆が言う事に水を差すようだが、俺はもう一言付け足した。


「あとは軍人だ。戦闘訓練されており、あの発電所に居たような人らとは強さが違う」


 しかしそれにユリナが言う。


「逃げてても仕方ないわ。もはや後戻りは出来ないのだし、やるしかないんじゃない?」


「わかった」


 俺は運転席のヤマザキの隣りに立ち進行方向を指示していく。月が出ており真っ暗ではないので、ある程度ヤマザキにも見通せるらしく危なげなく進んだ。しばらく北に進んでいくが、俺は異変に気が付いてバスを止めるようにヤマザキに言った。


「バスを脇道に隠そう」


「わかった」


 ゆっくり進んでいくと左手に小道があり、そこにバスを入れてエンジンを止める。皆で聞き耳を立てていると、ヘリコプターやジェット機の音が多数聞こえて来た。


「ここからは路上ではダメだ」


「まだ山の中だけど、ここから歩くのか?」


「その方がいい。車は標的になる」


「わかった」


 皆がバスを降りると、よりヘリコプターの音はハッキリと聞こえて来た。俺達は山中に潜み北東に向けて進みだす。暗い森の中を進んで三十分が過ぎた頃、俺は皆に足を止めるように言った。


「止まれ!」


「どうした? ヒカル」


「動くな! これはなんだ?」


 足元に細い線が張り巡らされており、それが山中を回り込むように伸びている。それを見たミナミが言った。


「たぶん罠だと思う。線をひっかけると警報が鳴るとか、下手をすると爆発するとか? いずれにせよかなり危険だと思うわ」


 するとヤマザキが俺に言う。


「もしかすると地雷が埋められているかもしれん。山中から近づくのは難しいだろう」


「地雷?」


「踏むと爆発する爆弾だ」


「厄介だな」


「攻め込むにしてもルートを変えないといけない」


 一度、皆が集まってどうすべきかを話し合う。


「仕掛けがあるのなら陸上から近づくのは至難の業じゃない?」


「たしかにな。道路なら地雷はねえだろうけど、敵兵が待ち構えている事も考えられるぞ」


 それを聞いて俺が言った。


「ならば一度戻ってバスで北西に向かおう。恐らく襲撃された位置関係からすると、発電所のある南方を警戒するはずだ。こちら側に敵は来ない」


「ヒカルが言うならそうだろう。ひとまず戻るぞ」


 俺達はまた三十分かけてバスに戻り、更に回り込みながら北に向かって走り出す。


「停めてくれ」


「どうした?」


「水の音がする。エンジンを消してくれ」


 エンジンを消すと、更にはっきりちょろちょろと小川のような音が聞こえて来た。


「川がある。川の行先はどこだ?」


「海ね」


「川を進んでみたらどうだろう?」


 するとミナミが頷いて行った。


「川は地雷や罠が仕掛け辛い所だわ。進むならそこが良いかもしれない」


「よっしゃ! じゃあ行って見ようぜ!」


 タケルの掛け声で俺達は再びバスを降り、道路の脇の雑木林を下っていく。するとそこに小川があり水が流れていた。


「ビンゴだな!」


「よし。これを辿って海に出る」


「「「「「了解!」」」」」


 全員で川べりを下り、時おり水に入りながらも先に進んだ。どうやら川には罠は仕掛けておらず、俺達は一時間もかからず海辺のそばに出た。道路の橋の下に潜み原子力発電所方向を見る。


 先ほどから周辺をヘリコプターが行きかっているが、南方向を重点的に調べているようだ。ここまで来ると施設からの警報音も聞こえて来る。


「かなり警戒しているな」


「やはり、守りたい何かがあるのだろう」


「どうするヒカル?」


「この警戒態勢の中を襲撃するのは無理だ」


「だよなあ」


「悪いが俺が潜入して情況を確認してくる。皆はひとまずここで待っていてくれ」


 そこでヤマザキが俺に言った。


「あと、さっきの発電所のような破壊をすると、甚大な被害が出る可能性がある」


「どういうことだ?」


「ここには地震で壊れた原子力発電施設がある。おそらく壊せば放射性物質が漏洩してしまうだろう。そうすればヒカルの体とはいえど、どんな影響があるか分からん」


「東京の核兵器のようなものか?」


「まあ似たようなものだ。とにかくそこには近づかずに研究所とやらを探すしかない」


「わかった」


 そして俺は皆を橋の下に残し、海沿いに回って原子力発電所に侵入していくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ