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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編

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第155話 攪乱作戦

 俺達が河原の木陰に潜みながら川下に進んでいくと、ヘリコプターが町の上空数か所に留まっているのが見えた。ここで動けば見つかる可能性があると考え、俺達はつり橋の下に潜って様子を見る。

 

 そこでタケルが言った。


「ずいぶんとデカいヘリコプターだな」


 すぐ前方のホテル上空にヘリコプターが止まっていた。ミナミがヘリコプターを見て言う。


「あれは兵員を輸送する為のヘリだわ。自衛隊や米軍が使う奴よ」


 案の定、突然ヘリコプターからロープが降ろされて次々に人間が下りて来た。恐らく上空からでは見つけられないので、町のあちこちに兵士が散らばったようだ。俺は皆に向かって言った。


「奴らの撃つ銃に気を付けろ、ゾンビ化を加速させる何かがある」


「わかった」


 雪の降る中で待機していれば寒さでまた人が倒れてしまう。寒さで死んでしまったら、ゾンビに変わる可能性もあった。


 もう、ここで選択するしかなかった。


「ヤマザキ。俺以外でこのまま川を下るんだ。俺は町に潜入して敵兵を殲滅する」


「選択の余地は無さそうだな」


「無い。彼らが、いつゾンビに変わるか分からん。タケルとミナミが日本刀をもって、ユリナが助けた人達の監視をしながら進むしかないだろう」


「かなり厳しいな」


「ああ。判断が難しい」


 するとそれを側で聞いていたミナミが言った。


「もう、やるしかないよ」


「そう言う事だ」


 するとヤマザキが、助けた人らに言う。


「動ける人はとにかく、怪我人を運んでくれ。こちらの三人が敵の警戒にあたる」


 皆が青ざめながらも頷く。そして俺が仲間達に目配せをすると目を見て皆が頷いた。


「出来るだけ町から離れろ」


 俺の言葉にヤマザキが答えた。


「わかった。出来る限り先に進んでみる」


 ミオが俺に言う。


「ヒカルも死なないでね」


「問題ない、待っていろ」


 皆をその場に置き去って、俺は真上に見えるつり橋に向かって飛ぶ。つり橋にぶら下がって下を見ると、皆が手を振っていたので手を振り返した。


「頼むぞ…」


 俺はぽつりとつぶやく。


 先を見れば動く人影はないので、まだ敵はこちらに気づいてはいないようだ。俺はすぐに縮地で、一番近い建物の壁に張り付き敵の数を数え始める。


 一、二、三…ここに居るのは十五人、動きからするとよく訓練されている奴らだと分かる。だがこいつらに攻撃を仕掛ける事はしない。今ここで攻撃を仕掛ければ、近くを歩いている仲間が見つかる可能性があるからだ。俺はそのままホテルの壁をよじ登り最上階に侵入した。


 ヘリコプターは恐らく上空から兵に指示を出しているのだろう。俺はそのまま建物の中のゾンビを斬りながら反対側まで走った。窓から外に向けて気配感知をすると、町のあちこちに兵士が降ろされているのが分かった。更に、それぞれの上空にはヘリコプターが飛んでいる。


「よし」


 俺はそっとベランダに出て壁に身を寄せた。一番距離の遠いヘリコプターまでは、距離約千三百メートル。こういう時に効果を発揮する技がある。俺は剣先を遠いヘリコプターに向けた。


「閃光孔鱗突」


 日本刀の先から白い閃が走り、千三百メートル先のヘリコプターのローター付け根を射抜く。この技は本来、飛ぶ神龍の鱗を貫くために編み出した技だった。実際に発動までは時間がかかる為、実戦向きではない。エルヴィンの魔法で攪乱している隙にあてる技だ。


 ヘリコプターのローターが一つ外れて、クルクル回りながら町の中に落ちて爆発を起こした。すると周りに待機していたヘリコプター達が、ゆっくりと爆発して上がる煙に向かって進み始めた。やはり図体がデカいヘリコプターは、時間のかかる剣技でも撃ち落とせる。


 兵士達もその通達を聞いたのか、皆がそちらに向かって走り始めたのだった。


「よし」


 これで、仲間達が逃げる時間は稼げる。俺はそのまま十四階のベランダから飛び降り、違うヘリコプターの方向へと走り出す。


 二機目のヘリコプターを確認し、上空のヘリコプターに向かって剣技を繰り出す。


「閃光孔鱗突」


 どてっぱらから貫いて、上のローターを狙った。貫通したヘリコプターはクルクルと回りながら下に降りて来る。墜落して爆発したのを確認した他のヘリコプターが、こちらに向かって飛ぶのを確認し俺はその場から離れた。一番遠くから来るヘリコプターに向かって一直線に走り出し、立ち止まって剣技を出した。やはり発動までに時間がかかる。


「閃光孔鱗突」


 しかしデカいヘリコプターは動きが緩慢で閃光孔鱗突が当てやすい。ここまで来たらドラゴンでも、ゆっくり飛んでいると狙い撃ちされると気が付き対策をうってくる。だがデカいヘリコプターは機敏に動く事は出来ないようで簡単に落ちていった。


「閃光孔鱗突」


 もう一機も見事に仕留める事が出来た。すると地上部隊の声が聞こえて来る。


「なんだ! ヘリがどんどん落ちて行くぞ!」


「銃声は聞こえたか?」


「いえ! 聞こえません」


「どこからだ? 何処から狙っている?」


 墜落したヘリコプターの爆発音に誘われて、そこら中からぞろぞろとゾンビが集まって来た。それに気づいた軍隊が一斉にゾンビに向かって銃を撃ち始める。


「撃て!撃て!」


 ドガガガガガガガガガガ! 


 銃声を聞きつけた他の部隊が更にこちらに向かっているので、俺はすぐ先にあるアパートに潜り込みカーテン越しに外を見る。すると今度は軍隊が火を噴く武器で住宅を燃やし始めたのだ。


「都合がいい」


 俺は自分に結界と金剛をかけてアパートに潜んだ。すると軍隊がぞろぞろと歩いて来て、近隣の住居に火を放ち始める。俺が潜むアパートにも火が注がれて、ごうごうと音をさせて燃え始めた。俺はその炎の中で、軍隊が集まってくるのを待った。火を吐く武器を持った奴らの後ろから、銃を構えた兵士がやって来たので。俺は自分を中心に円を描くように魔剣をふるう。


「フレイムソード」


 ゴウと言う音と共に、半径五十メートルに炎の円を描いた。兵士は燃えながら消えて行く。


 ボコッ!


 俺はそのまま焼けたアパートを飛び出し、まだ飛んでいるヘリコプターの方に全力疾走した。俺が走る先に兵士達の気配がしたので、俺はまた近くの建物に潜んだ。その建物の前の十字路には大型バスが乗り捨ててあった。


 兵士達がその十字路を通り過ぎようとした時、俺は目の前の大型バスに向かって剣技を繰り出す。


「推撃」


 バスが思いっきり兵士達に吹き飛び潰されていった。無事だった奴らがバスに向かって銃を発砲し始める。俺はその場から離れ、近くにあった四階建てのアパートの屋根に飛び移った。


 吹き飛んだバスの上空にヘリコプターが来て何かを落とす。するとバスは爆発して、もうもうと煙が上がった。俺はすぐそのヘリコプターを落として飛び降りその場所から離れる。


 前方から慌てて走って来る兵士達がいたので、俺はスッと建物の後ろに隠れた。


「特殊部隊だぞ! いったいどうなってやがる!」


「わからん! とにかく情報収集だ!」


「ブラボーとデルタの信号をロスト!」


「俺達は…一体何と戦ってんだ…」


 なるほど。俺の目論見通り、敵はパニックに陥ってくれている。


 残り二機。


 俺は近くの高いホテルをよじ登って、屋上へとたどり着いた。もう一機までの距離が近く、すぐに閃光孔鱗突で落とす。すると、もう一機はこちらに近寄る事無く八百メートルほど上空に待機した。恐らく撃墜されるのを警戒したのだろう。だがそれは無意味だった。


「閃光孔鱗突」


 俺は最後の一機を落とす。地上に残る兵士達には手を出さずに建物の屋根伝いに走り出した。おそらく地上に残った兵士達を殺しているうちに増援が来る可能性がある。ここまで攪乱すればしばらくは地上部隊は使い物にならないはずだ。俺は皆を逃がすべく、市街地を南に向かって走り出すのだった。

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