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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編

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第145話 孤独の追跡者 ~追跡者SIDE~

 追跡者SIDE


 突然こんなゾンビだらけの世界になったおかげで、傭兵だった俺は仕事が無くなっちまった。元々戦いに明け暮れるクソみたいな日々だったが、更に何の楽しみも無い地獄のような日々となる。だが俺の傭兵部隊は馬鹿みてえに優秀で、こんな終末世界でも世界を転々としながら生き延びてこれた。


 だがある日、ある組織と接触した事で、俺達は再び仕事にありつく事が出来たのである。その組織とは他国の軍隊でもマフィアでもなかった。依頼して来たのはファーマー社という巨大企業で、世界中に拠点がある組織だ。軍事産業やIT企業、貿易や製薬会社などを傘下に置いていた。


 最初はゾンビの世界を正常化するとかなんとか言って接触してきた。とにかく日本に拠点を作るから協力してほしいと言われ、仕事を請け負う事になる。まずは空港を制圧し、そこから日本の為に拠点を拡大していくというのだ。


 驚くほどの金と待遇に、俺は二つ返事でサインをし仕事をすることになった。


 だがファーマー社が普通の企業じゃない事はすぐに分かる。なんと軍隊を持っていたのだ。それにも関わらず俺達傭兵を使い、金以外にも必要な武器弾薬や食糧を供給してくれると言う。傭兵としては、この仕事を受けない訳にはいかなかった。


 まず驚いたのは、この生体ゴーグルと言う暗視ゴーグルに似たような兵器だ。これをつけて人間を見ると、なんとゾンビ因子に感染している奴が分かるのだった。なぜそんなものが作れたのかは分からないが、それによって感染者を見分ける事が出来た。


 しかし、その事で最初の事件が起きる。なんと俺の傭兵部隊で仲間割れが起きてしまったのだ。感染者と感染していない者で殺し合いが起きたのである。結果、非感染者が勝ち、感染していない者だけで部隊が再編される。


 最初に、東京に近い羽田空港を制圧した。すぐにそこにファーマー社が入り込み、拠点として活動を始める。そこでいったん俺達の仕事が途切れ、俺は日本に潜入してみることにした。すると今度は、日本の巨大ヤクザ組織である花山組と接触する事になる。


 俺は花山組から聞かされた、ファーマー社の裏側に驚愕する。なんと、このゾンビ世界になってしまった原因を、ファーマー社が作ったの言うのだ。


 それから俺達は二つの組織と仕事をすることになった。もちろんどちらについたと言う事でもなく、俺達は俺達にメリットのある仕事をする。ファーマー社と花山組が敵対していたわけでもなかったので、俺には断る理由は無かった。


 花山組の連中にはゾンビ因子に感染している人間が少なかった。どうやら食い物に関係しているらしく、それを口にしない事で感染を防いできたらしい。しかも花山組は本気で日本を再生しようとしていた。ゾンビ因子に感染していない女子供を集めるというのだ。もちろんその仕事は俺達が請け負い、非感染者を集めつつ感染者はすぐに殺した。ゾンビになる前にゾンビを減らす唯一の方法だからだ。


 仕事は順調、拠点はどんどん拡大していったが、ある日突然異変が起き始めた。


 俺達の部隊が花山組と共謀して、ファーマー社より先に成田空港を占拠する事にした時だった。花山組の連中が考えた作戦とは、ゾンビを東京で仕入れて来て攻撃をさせるというもの。最初は面倒な事をやると思っていたが、それをやると変な反撃を喰らう事が無かった。俺達は花山組のやりたいようにやらせ、どちらの顔も立てるように動いていた。


 それは、簡単な作戦のはずだった。


 俺の部下が大量に死んだ。元々無防備な奴らの集まりのはずだったが、突如多くの部下が死んでしまったのだ。どうやら外部に居た奴らの仕業だったようだが、そいつらは俺の部下を殺し逃げた。周囲を監視していた奴が、そいつらが逃げた方向を確認していたためすぐ捕らえた。しかし俺がその現場に着いた時には死んだ部下がいるだけで、もぬけの殻だった。


 俺達を出し抜く事が出来るヤツがいる? にわかに考えられなかったが車の音が聞こえた為、俺達はそいつらを追跡する。しかし、事もあろうにそれでも捕まえる事が出来なかったのだ。


 その後も、訳の分からない事ばかり起きた。


 花山組の幕張拠点が全滅。その後、都市部では部下と花山組の奴らがビルの下敷きになった。ファーマー社に聞いても知らないと返答され、俺達は得体のしれない奴らから壊滅的打撃をうけたのだった。部下も大勢無くし、俺は手を引く事を考えていた。


 だが、そんな時にファーマー社から指令が下る。


「ミスター、シュウヘイ・クキ」


 ファーマー社の司令官が俺を呼んだ。俺の名は九鬼修平と言う、司令官は深刻な顔でおかしなことを言って来た。


「なんだ?」


「花山組の証言がとれているんだが、聞いているか?」


「なんのことだ?」


「知性のあるゾンビが確認された。ミスター・クキにはそれを捕らえてもらいたい。今回のビル倒壊事件にそのゾンビが関与している」


 司令官の言っている意味が分からなかった。知性のあるゾンビ? そんなものが本当にいるのだろうか? だが事情聴取の結果、花山組の生き残りがそう言ったそうだ。


 それから俺達は雲をつかむように、知性のあるゾンビを探し続ける事になる。既に隊のメンバーは少なく、このメンバーで探せるかどうかは疑問だった。ヘリコプターを飛ばし都内を探しまくり、ある日、練馬の方で煙が上がったと報告が入った。


 だが…そのヘリコプターは帰ってこなかった。連絡が途絶えた場所に行ってみると、なんとヘリコプターが二機とも撃墜されていたのだ。


 部下を殺されまくった俺にも流石に意地があった。次も探しまくって、今度は池袋サンシャインにその影を見つけたらしい。偵察部隊はそこを攻撃し俺に連絡を取ってきた。俺はすぐに池袋サンシャインに車両部隊を差し向けたが、何故か胸に懐中電灯を突っ込んだゾンビがいた。


 収穫もむなしく、俺達が拠点に戻った時だった…


 なんと横須賀基地の花山組が全滅していたのである。しかもゾンビ因子に感染していない女子供だけを残して。ご丁寧に空母まで沈められていた。


 流石に俺の第六感が警鐘を鳴らす。


「手を引こう」


 俺は副官のボブに言った。


「九鬼さん。そう言ったって、これからどうするんだ?」


「何かマズい事になりそうだ。俺の第六感が外れたことはあるか?」


「そりゃ…それで生き残って来たからな」


「もし、皆が止めなくても俺は降りる」


「‥‥‥」


 ボブはしばらく考えていた。だが口を開いてこういった。


「今はファーマー社のおかげで、結構豊かな暮らしをさせてもらっている。こんなおいしい仕事はやめらんねえな」


 俺は他の部下の方を見る。


「お前達はどうする?」


 だがそいつらも俺に背を向けた。


「知性のあるゾンビ。本当に居るかもしれねえんだぞ! 恐ろしいバケモンだ。俺がこんな事言った事あるか?」


 すると傭兵の一人が言った。


「いや。そりゃ危ないやつがいるのはわかりますがね、知性のあるゾンビなんて信じるんですか?」


「ファーマー社の将軍がそう言ったんだ。お前達もそれを探していたんだろう?」


「まさか九鬼さんが、そんな戯言を本気にするとは思わなかった」


 説得もむなしく皆が残る事になった。俺は今まで俺の部下で居てくれた男達に言う。


「いいか? 知性のあるゾンビだけじゃない、後ろにも気を付けろ。いいか? 本当の敵が誰か見極めないと寝首を搔かれるぞ」


 するとボブが言う。


「…いつからそんな弱虫になったのか。もう誰もあんたについて行かない」


「そうか、分かった。今まで世話になった」


 最後にボブは哀れんだように言った。


「俺達からの最後の手向けだ。ファーマー社と花山組にはバックレた事は黙っておく」


「ふっ、少しは人間らしいことを言うじゃねえか」


「世話になったお礼だ」


「じゃあ…な」


 そして俺は生死を共にしてきた戦友たちと別れた。秘密を知っている俺はファーマー社に消される可能性がある。俺はとにかく北に逃げる事にした。


 俺はその辺りで食料を確保しながら、何日もかけて目立たぬように徒歩で動いていた。何処まで逃げれば良いかもわからずに、結構な日数をかけ埼玉県を北に向かって歩いている時だった。


 東京が核の炎に包まれた。


 部下を全て失ってしまった絶望感が襲って来る。俺がスナイパーライフルを抱いて、ぼんやりときのこ雲を眺めている時だった。なんと車が走って来たのだ。しかも俺がゾンビ因子ゴーグルでそいつらを見ると、なんと全員が非感染者だったのである。


 だが…明らかにおかしな奴が一人居た。


 俺はそいつを試すために、一緒に居た人間を撃つ。しかし…俺の目の前で信じられない事が起きてしまった。なんとそいつは俺の銃弾を防いだのだ。盾でも目くらましでもなく日本刀で。何発も何発も撃った。今まで俺の狙撃から逃げた者などいなかったが、まんまと逃げられてしまう。そいつを徒歩で追いかけているうちに宇都宮近辺まで来ていた。


 すると日光の方面から爆発音が聞こえてきたのである。狙撃銃を担いで俺が日光市に入ると、大きなショッピングセンターにたどり着いた。そこでは四人のゾンビ感染者が食糧を運び出していたのである。


 俺はその感染者にとどめを刺す。


 その直後だった。俺の全身に怖気が走り、第六感が逃げろと叫んだのだ。俺はそれに素直に従い、徒歩で逃げるのを止めて車を拾って逃げた。


 あれは一体何だったのだろう?


 何か恐ろしい奈落の底を眺めるような感覚。とにかく俺は生き延びる事を選択し、手つかずの食品倉庫を見つけて古い缶詰を食うのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>その直後だった。俺の全身に虫唾が走り、 ここに虫唾は適切な語句では無いように思います 別に言葉を探すなら 怖気 とか
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