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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

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第125話 戦場へ

 すぐ渋谷に攻撃の手が伸びる可能性は無さそうだが、首都高を辿っていつ敵がやって来るか分からない。また敵の攻撃の質が分からないと、俺としても対処のしようがなかった。ひとまず地下に逃げて俺は次の行動を考えていた。


 あの爆発を見る限り、ワイバーンの火炎ほどの威力だろうと思う。俺だけなら問題にもならないが、大規模結界をはれない俺が皆を守りきれるかが分からなかった。


 エリスのような大型の絶対結界を覚えておけばな…


 そんな事を思っても仕方がない。レベルを千以上にしていく中で俺がやったのは攻撃特化。防御系は最低限の回復魔法と身体強化、及び自身に対しての結界くらいしか身につけていない。最近ようやく蘇生魔法を覚えたばかりだ。


 俺は皆に話をする。


「東京にはもう生きている人間はいないだろうか?」


「なんだよ唐突に」


「あの攻撃の対処をするのに、俺は攻撃で防ぐしか能力がないんだ」


「わからねえが、こんなところで生きている人間なんかいないだろ」


「そうか」


 考えてみればそうかも知れない。


 どうするか…。


 考え込む俺にタケルが聞いて来る。


「なんでそんな事聞くんだ?」


「いや…」


 ミオとミナミは震えながら、俺の言葉を待っている。破壊力のある攻撃を見て、自分達がこれから相手にする敵の恐ろしさを知ったのだ。


「とにかく敵の情報を知る必要がある。やはり皆は戻った方がいいんじゃないだろうか?」


「いや、そんならヒカルも逃げた方がいいだろ」


「あれぐらいの攻撃ならどうにかなる。攻撃をしているやつをどうにかすればいいだけだ」

 

 だが今度はミナミが俺の目を見返して言う。


「予備の日本刀が必要になるかもしれないでしょ! 私は一緒に行くよ」


「危険だぞ」


 それを聞いたミオが震えながら俺に言う。


「だから承知でついてきたんだって。異世界から来たヒカルだけに任せておけないよ! この世界の人間がやっている事なんだから、私達でどうにかしなきゃいけない」


 そして最後にタケルが言った。


「決まりだな。じゃあ前に進むっきゃねえ」


 三人の覚悟は堅かった。俺は三人に向かって言った。


「死ぬかもしれんぞ」


 ミオが答える。


「行こう。私達だけの命じゃない、皆の生き残った人達の為に」


「わかった」


 タケルが懐中電灯で壁を照らした。そして駅名が書いてある表示板を見る。


「地下鉄で進めば、恐らくあいつらの真下あたりにでるかもしれねえ」


 そして俺が皆に言った。


「そこにバイク屋がある。バイクを調達するぞ」


 するとタケルが笑って言った。


「ヒカルはあちこちのバイク屋を覚えてるよな」


「都内で走った道の脇にあるのは、ほとんど頭に入ってる」


「じゃあいくか」


 急いで地上に出て、ゾンビを無視しつつ走り二分もしないところにバイク屋はあった。その店を見てタケルが言った。


「なんだよ。こんな近くにあったのか、しかもドカ〇ィじゃねえか」


「入るぞ」


 店の裏手に周り、入り口のカギを壊して店内に入る。そこには赤が基調のいい感じのバイクがいっぱいあった。俺達はそこで二台のバイクを選び、店の正面の鍵を開けて外に出した。またカギをかけて裏口から出る。


「またお世話になるかもしれんからな」


「はは。細けえな」


「だって、ここにはカッコいいのがいっぱいある」


 するとミオとミナミが笑う。


「物凄く切羽詰まってるのに、残ったバイクを気にするんだ」

「まったくね。でもそう言うところヒカルは几帳面よね。日本刀の扱い一つでもわかるわ」


 タケルがミオとミナミに言う。


「メットあったからよ。かぶった方が良いぜ」


 そう言ってタケルは兜のようなものを二人に渡した。


「武はいらないの?」


「ケツに乗ってる美桜の声が聞こえなくなるからな」


「そうか…。わかった」


 ミオとミナミはタケルに言われるままにヘルメットをかぶった。確かに何かがあった時は、頭を守ってくれるだろう。


「しかしオートマがあるとはな。助かったぜ」


 どうやらここにも、右腕しかないタケルが操れるバイクがあったようだ。


「じゃあ、行くか」


 俺達は地上を走り最寄りの地下鉄の駅を見つけた。そして俺は皆にバイクを降りるように言う。


「下まで運ぶ」


 するとタケルが言った。


「走って来たばかりだからエンジンが熱いぞ」


「問題ない」


 俺は自分の持っていた日本刀をミナミに渡す。ミナミが肩に俺の日本刀をぶら下げた。


「よし」


 そして俺は体に金剛と結界をかけて、すぐさま二台のバイクを肩に乗せた。それを見てタケルが苦笑いする。


「一台二百五十キロくらいあるんだけどな。肩も焼けてねえし」


「これは金剛という身体強化と、結界をはっているんだ。これが皆に出来たらいいんだが」


「まあ、出来ねえものは仕方ねえ。でもよ、ゴリラでもこんな事、出来ねえよ」


「ゴリラ?」


「でっかいサルだよ」


「むしろタケルの方がサルっぽいが」


 俺がそう言うと、ミオとミナミが笑う。そしてミナミが言った。


「武。残念ながらどっちかって言うと、武の方がそれっぽい」


「けっ。どーせおりゃサルですよ」


「どっちかっていうとよ。武」


 そして俺はタケルとミオに言う。


「悪いが、ここから地下までゾンビの始末は二人の銃で頼む」


「わかった」

「責任重大ね」


 地下に入って行くとゾンビがウロウロしている気配がする。懐中電灯で照らしてはいるが、皆に見えるのだろうか? と思っていたらタケルが言う。


「おい! はっきり見えるんだけど」


「本当だ。前だったら真っ暗だったけど、照らされてないところもはっきり見える」


 それを聞いたミナミも言う。


「視力がおかしくなったのかしら?」


 身体強化の効果が出ているのだ。暗闇を見渡せる視力を得た二人は、問題なくゾンビの頭を撃ちぬいて行く。地下のホームへたどり着くまで何も問題が無かった。


 そして俺はバイクを背負ったまま線路に降りた。バイクを置いて見えている場所にいるゾンビを刺突閃で仕留めていく。


「みんな凄くなったな」


「ヒカルのおかげだろ。感謝しかねえよ」


「本当だね。まるで昼間のようにゾンビを捉える事が出来たよ」


「その調子で頼む。なら先に進むぞ」


「了解」

「「はい」」


 俺達は再びバイクで先に進むのだった。進んでいくと更に爆発音がはっきり聞こえて来る。


「バイクを停めろ」


 俺が手をあげるとタケルが止まった。そして俺は皆に言う。


「恐らく敵の攻撃圏内に入っている。ゾンビが少ないのは、音につられて上がっていったからかもしれん」


「どうする?」


「ここらにバイクを隠す。そして徒歩で進むぞ」


「わかった」


 俺達がそのまま徒歩で先に進むと駅が見えて来た。タケルが懐中電灯で壁を照らす。


「馬込だ」


「地上に上がろう」


「わかった」


「音がするから銃はなしだ。俺がゾンビを始末する」


「了解」

 

 ホームに上がりゾンビを倒しながら上の階に向かっていく。爆発音は先ほど地下で聞いたっきり聞こえてはこない。ゾンビと敵の気配を確認しながら、少しずつ地上へ向けて進んだ。


「地上が見えた」


「ああ」


「俺の後についてこい」


 街道沿いに出た。周りには高層ビルが全くないようで、見晴らしは悪くなさそうだった。


「ちょっと待っていろ」


 俺はすぐそばの八階建てのビルを一気によじ登る。屋上から周囲を見ると煙が上がっている場所が見えた。俺達から向かって西の方で煙が上がっている。


「更に奥に進むか」


 俺は皆の場所に戻ってそれを伝えた。そして付け加える。


「いいか。ここは戦場だ。ふとした不注意で命を落とす。十分注意して進むぞ」


「了解だ」

「「はい」」


 三人は街道沿いを少しずれた路地裏を、更に東へと進み始めるのだった。

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