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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

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第112話 誘拐

 どうやらここに外敵やゾンビが来るとは思っていないらしく、男達は油断して話をしている。何かを知っているらしい奴らは後回しにして、他の棟の人間を探しに行く事にした。ここには数棟の背の低いビルがあり、俺はその一つの壁にへばりつく。


 その時だった。向こう岸で突然赤い光が撃ちあがった。


 なんだ?


 するとそのビルの玄関から男達が出て来て、岸の方に走っていく。どうやら残して来た人間が殺害に気づいて、合図の火の玉を上空にあげたらしい。


 ついて行くか。


 俺が後を追うと岸辺で男達が話をしていた。


「合図だ。ゾンビに襲われたんか?」


「何か変な感じがするな」


「空母が居ない?」


 男達はしばらく対岸を眺めていたが、一人の男が言う。


「武器だ。とにかく武器を取っていくぞ」


「あ、ああ」


 なるほど。こいつらは見張りか何かか…


「飛空円斬」


 そこにいた男達は真っ二つになって崩れ落ちた。すると後方からまた新たに男達がはしってきたようだ。俺はすぐさま暗がりに隠れ様子を見る。その男達も撃ちあがった赤い光を見に来たようだが、数人が突然つまずくように転んだ。


 ビチャビチャと音がして、男達が周りを見渡す。


「な、なんだ?」


 すると転んだ男が叫んだ。


「ひ、ひぃぃぃぃ! 死んでる! はらわたぶちまけて死んでるぜ!!」


「なに!」


 俺は再びそいつらめがけて剣技を放った。


「飛空円斬」


 びちゃびちゃと音をたてて男達が転がっていく。俺は再びビルがある方角へ向かって走り始めた。すると前の方から男達が走って来た。一人の男が暗がりを走る俺に話しかけて来る。


「おい! 居住区で何かあったんじゃねえか!」


 だが俺はそれに答える事をせずに、一瞬で七人の男達の間を過ぎ去る。すると俺が過ぎ去ったあとで、男達が全て崩れ去った。俺は、そのままビル方面に行き気配感知で男達のいる場所を探し当てる。


 奥のビルから男達が出てくるところだった。やはり男達は、侵入者がいる事に気が付いてはいないようで無防備に走って来る。俺は縮地で距離を縮めて男達を斬り尽くした。それから三十分ほどかけて男達の気配がなくなる。


「行くか」


 俺が最初に見つけた奥のビルに行くと、そこの男達はまだ外の騒ぎに気が付いていない。無造作に中に入って、男達がいる部屋に向かって歩いて行く。俺は躊躇せずにドアをノックした。


 コンコン!


「はいよ! 誰だ?」


 スタスタと一人の男が近づいて来た。俺は身を潜めて壁の暗がりに潜んだ。


 ガチャ! とドアノブが回されて扉が開く。そして男の顔がヌッっと出て来た。


 スパッ! 男の顎から脳天にかけて、横から日本刀をかちあげる。


「えっ?」


 男は一瞬何が起きたか分からないようだったが、顔の前面がずり落ちて床に落ちた。すると奥の奴が声をかけて来る。


「だれだよ」


 だがもう既に死んでいるので男は答えなかった。そのままドチャリと廊下に倒れ込む。


「お、おい! どうしたんだ!」

「ふざけるのもいい加減にしろよ」

「何やってんだ!」


 だが男達はこちらには来ない。ドアから漏れる光が、廊下に倒れる男を照らすだけだった。


 スッ! と俺がその扉の中に入る。


「な、なんだ! おめえ!」

「ま、まて! ポン刀もってっぞ!」


 男達は懐に手を入れたが、俺はそいつらの腕を全て斬った。


「ぎゃっぁぁぁぁぁ!」

「なんだ!」

「こ、この!」

「腕が! 腕が!」


 俺は穏やかに男達に話しかける。


「もうこの島にはお前達だけだ。素直に情報を言え」


「馬鹿や!」ゴロゴロ


 叫ぼうとした男の首が転がる。


「ひっ」

「ひぃぃぃぃ!」

「や、やめろ!」


「俺は情報が聞きたい。話す奴はいるか」


「「「‥‥‥」」」


 男達が黙り込んでいる。


 スパッ! 俺はもう一人の首を斬った。


「う、うわ。うわうわ!」

「や、やめてくれ!」


「話す気になったか?」


「話す! 何でも話す!」

「そうだ! だから殺すな!」


 よし。それならここで情報を聞き出すとするか。


 だが…


 俺がそう思ったのも束の間、パラパラパラとヘリコプターの音が聞こえ始める。出て行ったヘリコプターが戻って来たのか? 他の場所から来たのかは分からないが、ここに居続けるのはまずい。ヤマザキ達が言っていた銃より強い武器を持っているかもしれない。


「えーと。お前達、じゃんけんしろ」


「じゃっ、じゃんけん?」

「なんでそんな!」


「早くしろ! 腕は一本残ってるだろ!」


 すると男達が仕方なくじゃんけんを始めた。


「「じゃんけんぽん!」」


 すると二人が固まる。


「どっちが勝った」


「お、俺だ」


 俺は負けた方の首を刎ねた。そして勝った奴の意識を手刀で刈り取り、斬り落とした腕から血が抜けているので回復魔法で傷を塞ぐ。そして俺はそこらへんに転がってる死んだ男の服やベルトを取って、男をがんじがらめに巻いて行く。


「よし」


 男を背負える状態にして背中に背負った。刀は体の前面にぶら下げている。


「ヘリコプターは何機だ…」


 とにかく俺はすぐに進入した幅五十メートルほどの海にたどり着き、男を背負ったまま対岸に飛ぶ。そしてすぐにバイクまで走り、エンジンをかけてその場所を離れるのだった。


 バイクで元来た道を十分ほど走ったところで、再びヘリコプターの音が聞こえて来る。恐らく先ほどのヘリコプターが、他の仲間を呼んだのかもしれない。


「潮時か」


 俺はそのままバイクの方向を変えて、東京方面へと走り出す。敵は湾岸周辺に拠点を置いているというヤマザキの話をふまえ、俺は急いで都市部へと走った。


しばらく走っていると、背負っていた男が目を覚ました。


「う、うう」


 俺はかまわずに走る。恐らくはそいつの視界には走りすぎていく道路が見えているだろう


「な、なんだ」


 だががんじがらめに縛っているので、身動きが取れないでいる。それでももぞもぞと体を動かしていた。


「動くな。ゾンビに食わせるぞ」


「な、お、おまえ!」


 キュキュキュキュ! 俺はバイクを停めそいつを背負ったまま降りる。そしてポケットから懐中電灯を取り出して、辺りを照らしてやった。すると灯りの中にウロウロとゾンビ達が浮かび上がる。


「うっうわ! に、逃げろ! 食われる!」


「大人しくしていないと食わせるぞ」


「分かった…」


 そして俺は再びバイクに乗って先を急ぐのだった。俺はそいつに聞く。


「おい、この辺はなんていう町だ」


「横浜かそこらだ」


「東京までどのくらいだ?」


「なんでそんな事を聞く? まさか東京に行くのか?」


「そうだ」


「や、やめとけ! 東京はゾンビでいっぱいだ! 食われるぞ」


「俺が聞いた事以外を話すな、殺すぞ」


「わ、わかった。三十分くらいだ!」


 そして俺はそのまま走り続け、見慣れた都市部に到達するのだった。そして目についた高層ビルに近づいて行く。


「な、何すんだよ!」


「俺が聞いた事以外は喋るなと言ったはずだ」


「分かった! 殺さねえでくれ!」


 そして俺はそいつを背負ったまま高層ビルに入って行く。そのビルは入り口が壊れており、内部にはわんさかとゾンビがいた。


「うわ! ぞ、ゾンビがいるぞ!」


「マンションは多いんだ」


「な、なんでこんなところに」


「だまれ」


 そして俺は最上階に向かった。三十階以上ある部屋にたどり着き、ようやくその男をおろした。そしてすぐさまクローゼットを開いて、その中に男を放り込む。


「お、おい! なにをするんだよ!」


 そして俺はそのままクローゼットを締め、その前にベッドや冷蔵庫を置いて行く。


「入り口は開けっ放しにしていく。外に出ればゾンビに食われるぞ」


「おい! 手と足をほどいてくれよ!」


 だが俺はその言葉を聞かずにベランダに出る。そして手摺から外に飛び出して地上へと下りていくのだった。

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