表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/661

第108話 夜のヘリコプター

 ヘリコプターの飛ぶ頻度が多くなってきた。何度も何度も往復しては、西側にヘリコプターを差し向けているようだった。これで日中は俺以外、身動きをすることが出来なくなってしまう。


 今は夜にアカサカゴショに水を汲みにきていた。黒い車を入手し大量にポリタンクをつんで来た。俺とタケル、ユリナ、マナが同行している。夜のアカサカゴショは静かで、ゾンビの気配もせず穏やかだった。


 マナが言う。


「すっかり夜型になっちゃったわね」


 ユリナがそれに笑いながら答える。


「ヴァンパイアよね。日中眠って夜に行動するって」


「まったくヤクザが憎たらしいわ」


 マナが腕を組んで空を見上げている。するとマナは空を見あげながら言った。


「でも、本当にこれが東京の空?」


 それにユリナが答えた。


「本当ね。人間がどれだけ公害を出していたかわかるわ。それに灯りが無いからはっきり見える。前の世界と変わった事でこれだけは嬉しい事だわ」


「そうね」


 俺も空を見上げる。前世の空はこんなもんだったが、栄えていたこの世界の空はどんなものだったのだろう? 


 俺はいっぱいになったポリタンクを皆に渡した。


「次をくれ」


「はいはい」


 新しいポリタンクにポンプを突っ込んで、また水を汲みだしていく。俺は皆とそれをする時間が好きだった。なによりも尊い素晴らしい時間だ。


 その時だった。


 ん? まさか。


「皆! 木の下に隠れろ!」


 皆が急いで近くの木の下に入る。俺に耳には完全にヘリコプターの音が聞こえているが、三人にはまだ聞こえないらしい。


「どうしたの?」


「ヘリコプターの音がする」


「うそ!」

「マジか!」

「夜なのに!」


 そして俺達は息をひそめる。するとマナが言った。


「本当だ…」


「マジか」


「ど、どうするの?」


 俺は三人に言う。


「とにかく動くな」


 三人がコクリと頷いた。今回の飛び方はいつもとは違っていた。なかなか通り過ぎずに、どうやら東京の西側を旋回しているように思える。


「狙いを都心に変えたか…」


「和光や朝霞周辺を探しても何も出なかったからか?」


「その可能性が高いだろう。それに夜に飛ぶのは初めてだ。目的が分からん」


「確かにな。空から見ても暗くて何も分からないはずだ」


「なぜだ?」


 俺とタケルが考えて沈黙する。するとユリナが言った。


「威嚇とかじゃない? 見張っているぞ! って思わせたいとか」


「なるほどな。頻度も増えて来たからな、その可能性はある」


 このままでは身動きが取れない。いくら黒い車とはいえ動かすのは危険性が伴う。


「車を置いて行こう」


 三人がコクリと頷いた。タケルがポリタンクを持とうとするので俺はそれを制する。


「タケル、ユリナもマナも手ぶらでいい。銃は使うな。全て俺が対処する」


「わかった」


 俺は一つだけポリタンクを持ち、片手に剣を握ってアカサカゴショを出た。


「なるべく建物の壁伝いに歩け」


 三人が壁に背中を付けて歩いて行く。上空にはまだヘリコプターの音が鳴り響いていた。するとその建物の入り口が見えて来る。


「一度、建物に入ろう」


 俺が先導して内部のゾンビを斬り捨て、四人で建物の中に入った。


「マンションだな」


「ああ。ゾンビがいるようだ」


 俺がそう言うとユリナとマナが固まる。俺達は上には登らずにすぐの部屋を探す事にした。通路に二体のゾンビが居たので直ぐに斬り捨て、開く扉を確認していくと二つ目の部屋の扉が開いた。しかし内部に二体のゾンビがいた。


「きゃっ」


 女達が怯えるが、俺は速やかにその二体を斬り首の部分を掴んで通路の外に出してやる。


「入れ」


 四人で部屋に入り、入り口のカギを閉めた。中にも一体の死体があるがそれはゾンビ化していないようだった。


「まただわ」


 ユリナが言う。


「ゾンビになっていないと言う事か?」


「そう。ゾンビになる死体とならない死体があるのはなんでなのかな?」


「噛まれずに死んだ? いや違うな。切り傷は自分で切ったように見える」


 タケルが言った。


「いや! 今はそれよりヘリだろ。まだ音がするぞ」


 それに俺が答えた。


「ヘリコプターはいつまでもは飛んでいられないんだ。おそらく燃料が無くなれば帰る」


「ふぅ…なるほどな。帰るのを待つしかないか」


「そうだ」


 結局ヘリコプターの音が過ぎ去っていったのは、午前四時ごろだった。辺りはまだ暗いが、動くなら今しかないだろう。


「よし、とにかく拠点に戻ろう」


「ああ」


 そして俺達は徒歩で拠点に戻った。皆にヘリコプターの事を伝えると険しい顔をして言う。


「そんな…夜も飛んでいるの…」


「目的は分からんがな」


 ヤマザキが言った。


「そいつはまずいな。物資回収の時間帯も飛ばれたら、俺達の行動がままならないぞ」


「そうね。きっと敵は見つけるまでやるつもりね」


 だが俺は皆に伝える。


「むしろ夜ならやりようがある。いつまでも逃げてはいられない、俺に考えがある」


 そして俺が考えた計画を皆に告げてみる。


 ミオが言った。


「そんな…ヒカルが死んじゃう」


 珍しくタケルもミオに同調した。


「そうだぜヒカル。いくらなんでも無謀だろ。敵がどのくらいいるのか分からねえし、そもそもそんなこと出来んのか?」


「やる価値はある」


 しかしヤマザキも否定的だった。


「成功する確率は低いんじゃないか? ヒカルが帰って来なかったら俺達は孤立する」


「いや。いざとなったら地下鉄を縫うようにして逃げろ、逃亡ルートは俺とタケルが調べる」


「そいつは構わねえけどよ。流石にヒカルを死にに行かせるわけにゃあいかねえ」


「俺は死なん。それに今回全面戦争をしようってわけじゃない」


 それから俺達は今後の対策について考えるのだった。賛成は俺一人、後は全員反対だった。だがアイツらの拠点を確定させるにはこれしかない。夜が明けて皆が眠る時間になっても、話は続いた。その間もヤクザのヘリコプターは来ているであろう。


 俺の作戦はこうだ


 夜間の都心部で光によってヘリコプターを呼び寄せて、俺がヘリコプターの下の足に潜り込む。そのまま敵地まで飛び去り、拠点を確定させようというものだった。


 だがヤマザキが言うには、足にしがみつく瞬間にヘリコプターの中の奴らが異変に気が付くだろうと言う事だった。ツバサが言う。


「他に追跡の方法はないのかな?」

 

 それにタケルが答えた。


「ヘリの追跡なんて無理だろ」


「そうか…」


 俺はもう一つの提案をする。


「魔獣を追跡する方法があるんだが、魔法で目印をつけてそれを追うんだ。だが敵が生体である必要性がある」


「つー事は人間に目印を付けるって事か?」


「そうだ。なんとかヘリコプターに接近出来れば可能だ」


 すると皆が考え始める。そして答えが出た。


「それなら最悪ヒカルなら死ななそうだな」


「だが、傷がついたやつが殺されればそこで追跡は終わる」


「そうかあ…、ヤクザなら殺しかねないかぁ」


「だが、このままではじり貧だ。攻められればこの拠点は弱い」


 ヤマザキも頷いた。


「物資回収などをしていれば、いつか見つかる可能性もあるか…」


「そういうことだ」


 そして話し合いの結果、魔法で敵に目印を付ける作戦を敢行する事となるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ