表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/661

第105話 脱出ルートの確保

俺達は車で地下鉄の駅に降りていき、柱の間を抜けながら改札に向けて走る。エスカレーターと呼ばれる階段の邪魔な手すりは斬り、通路の柱が邪魔になればえぐった。何とか車を通しながら地下へ地下へと下りていく。


「うひょおおお」


 またタケルが変な声を出した。


「どうした?」


「いや。新宿駅の地下を車で走るなんてな、なんかやっちゃ悪い事をやってる背徳感が強い」


「そういうものか?」


「普通の世界なら俺達は牢屋行きだよ」


「犯罪と言う事か…」


「そうそう」


 車をあちこちにぶつけながらも障害物を排除し、俺達が登って来た地下鉄にたどり着いた。


「柱とかえぐったりしたけど潰れねえかな…」


「あれしきでは潰れないんじゃないか?」


 俺はそう答えたが、この地下構造物の強度など良く分からんので適当だった。感覚的にはあれくらいでは壊れないんじゃないか、程度の話だ。


「まだいるな」


 車のヘッドライトに照らされてゾンビがこちらに向かって来る。来る時にかなり討伐したと思ったが、穴や遮蔽物が多くて全部を削りきれない。


「ちょっと待て」


 俺はおりて車のドアを閉め、あたりのゾンビを徹底的につぶす。


「でも出てくるんだろうな」


 タケルが言うので俺は頷いた。気配感知では周囲にはまだいるし、それらを討伐するならいろんなところに入り込んで潰し込みをかけなければならない。まずはそれより、今回の目的である車で地下鉄を走る試験をする必要がある。俺は車の後に行って車体の下に手を入れて車を持ち上げた。


「うお!」


 タケルが運転席で叫んでいるが、俺はそのまま車の前を線路につけてそっと後部を降ろした。そして俺も線路に降り、車の助手席に乗り込んで告げる。


「行けるか?」


 だがタケルが真顔で俺に言って来る。


「まず言っておくが、車を持ち上げるときは先に行ってくれ」


「重要か?」


「…ま、いっか」


「なら車を進めてくれ」


 俺達の車が走り出す。

 

 だがすぐにタケルが言う。


「がったがただな! つーか、両脇から火花が散ってる」


「乗り心地は悪いな」


「俺は適当な車を拾ったけどよ。これはデカい車は無理かもしれねえ」


 車体が常に振動で跳ね、あらぬ方向に向いたと思ったら壁に接触する。そうこうしているうちに、前のライトが一本切れてしまったみたいだ。すると唐突に乗り心地が悪くなり進みが遅くなった。


「パンクした!」


「タケル!」


「あっ?」


「無理だ。車で地下鉄は走れん!」


「だな…方向転換も出来やしねえ」


 とにかく俺達はそのままがたがた揺れながら先を進んでみる。するとある所でいきなり止まってしまった。タケルがアクセルを踏み込んでも前に進まない。


「ハマった」


「仕方ない。降りて歩いて行こう」


「わかった」


 そして俺とタケルが車から降りて車を離れていく。


「ダメかあ…」


「地下鉄では車はバリケードぐらいにしかならん、と言う事が分かった」


「ゾンビの道を塞ぐってことか?」


「そう言う事だ。後は徒歩で行くしかないだろう」


 するとタケルが俺に向かって言う。


「そんな事はねえぜ」


「どういうことだ?」


「バイクにはオフロードバイク、つーのがあってだな、あれならば多分地下鉄でも走れる。まあ連れてくのは一人になりそうだがな」


 俺はそこで考えた。オフロードバイクならいける…ならばもう一つの対策が打てるはずだ。


 俺はタケルに言った。


「タケル。バイクを女達に教える事は出来るか?」


「もちろんだ」


「なら希望者を募ってバイクを教えよう。地下鉄を使えば練習はいくらでもできる」


「…名案だ。おりゃ教習所の先生ってわけだ」


「キョウシュウジョ?」


「バイクを乗る資格をとるところさ」


「そうだ。タケルは先生だ」


「おっけ。やってみようぜ」


 俺とタケルは歩きながらあれこれと考える。バリケードを作ってゾンビの道さえ閉ざせば何とかなりそうだが、数駅分となるとかなり難しい。そこでタケルが言う。


「なら国会議事堂前から赤坂見附までの道を作ろうぜ。ある程度ゾンビが入れないように細工すれば、より安全に行き来する事が出来るだろ?」


「よし!」


 そして俺達は国立図書館に戻った。エレベーター入り口から地下へと潜り、階段で地下八階まで下りる。それから奥に進んでいくと、俺達を見つけたアオイが走って来る。


「お帰りなさい!」


「ただいま」

「お待たせ―」


 皆が俺達を迎え入れ、俺達が調べた結果を話す。


 それを聞いたユリナが言う。


「バイクかあ…怖いけど、いざという時は地下鉄を使って逃げられるわけだ」


「そう言う事だ。駅を繋げばあちこちに繋がっているんだろ?」


「だけど…」


「なんだ?」


 するとツバサが苦笑いして言う。


「正直、怪我しそう。怖いよね…」


 マナもうんうんと頷いている。


「もちろん緊急的な手段だ。盗賊から逃げる時にはかなり有効な手段なんだ」


「そうだよねー」


 確かにあの地下鉄をバイクで走るのは危険だろう。彼女らが転んでしまったら大怪我してしまう可能性が高い。


 だがミオが言う。


「でも! 命がかかってるんだし、練習はしておいた方が良いと思う。緊急避難が出来るようにしておいた方が絶対良いよ!」


 ミナミもそれに賛同した。


「美桜ちゃんの言うとおりかな。緊急避難のルートは確保しておかなくちゃ」


 皆が皆、やる気を見せているわけではないが、これは是が非でもやってもらいたい。


 俺がそう考えていると、ヤマザキが俺の言葉を代弁した。


「これはたぶん、必須だと思う。やっておけばいざという時に生き残れる可能性は上がる」


 ツバサとマナが渋々返事をする。


「「はーい」」


 ユミがタケルを見て言った。


「て、事は、あんたが先生って事でしょ?」


「もちろんだ。丁寧に教えるさ」


「頼むわよ」


「うっしゃ」


 そして俺達の地下鉄バイク講習の計画が決まった。俺とタケルがオフロードバイクを回収しに行く事となる。俺はこれにかなりの希望を見出していた。ヤクザに追い詰められたら、正直な所逃げ場はないと思っていたからだ。地下鉄はまるで、王城の地下に張り巡らされた脱出ルートのようだった。


 前世では万が一、王城に敵が襲来した場合、地下には緊急の脱出用の抜け道が用意されていた。東京ではその脱出ルートの確保が無かったが、地下鉄は王城の秘密の抜け道よりも遥かに生き延びられる可能性が高いだろう。


 また一つの生存の為の可能性が見えたことに、俺は新たな希望を見出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ