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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

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第102話 警視庁

 俺は全員の体力を回復させる為、丸一日ちょっと休ませた。その間に俺がバスの物資を全て国立図書館に運び込んだので、食事も十分にとれている。コンロも運び込み温めて食べる事が出来たのだった。


 そして次の日の夜。俺達はケイシチョウとやらに、武器の類が無いか調べに行く事になった。このあたりには高層ビルが無く見通しが良いため、万が一ヘリコプターが来たとしてもすぐに確認できる上に、木々が多いので隠れる事も出来そうだった。


 国立図書館の三階で俺はミオとミナミに確認していた。


「本当に行くのか?」


 俺は当初タケルとヤマザキだけを連れて行こうとしていたが、女達が自分達はいつも待ってるだけじゃだめだと言い出したのだ。だがアオイという小さい子もいる為、行くのは二人だと伝える。するとまた、じゃんけんとやらをして行く人間を選出したのだった。それで決まったのがミオとミナミだ。


 ミオが言う。


「私は行くよ! 東京にも慣れて行かないとね」


「無理をする事はないんだが」


「バスから見た感じでは、渋谷や新宿より明らかにゾンビの数は少なかったし。肩慣らし!」


 確かにそれはそうだ。するとミナミも頷いて言う。


「銃も使えるようになっていた方が良いでしょ?」


 それにタケルが言った。


「いや、ヒカルと動く時は、ほとんど撃つことはないぜ」


「それでも場慣れってあるでしょ。タケルだけがどんどん強くなっちゃって」


 確かにそれはそうだが、元々の適正というのもある。


「だって、喧嘩もしたことねえだろ」


「ないけど、でもそれとこれとは違うから」


 だがミオとミナミの言う事にも一理あった。時間は有効に使わねばならない。


「なら行こう。外に出たらあまり声をたてるな」


「「はい!」」


 そして念のためタケルにも言う。


「俺がゾンビを討伐するが、いざという時は頼むぞ」


「あいよ」


 そして俺は一人一人を、三階の窓から地面に降ろしていく。先に降ろしたタケルとヤマザキが周辺の確認をしていた。最後にミオとミナミを両脇に抱えて飛びおりた。全員が空のリュックサックを背負って、盗賊から奪った銃を携帯している。


 建物から離れて広い駐車場に出ると、数体がウロウロしていたので飛空円斬で全ての首を刎ね飛ばした。


「行くぞ」


 俺達は駐車場を一気に駆け抜け道路に出た。少し歩くと広い道路に出たが、やはりゾンビは少ない。俺達がその道路を進むと高い塀の建物が見えて来る。


「これはなんだ?」


 俺がヤマザキに聞く。


「わからん」


 するとミナミが答えた。


「これは井伊家上屋敷跡よ」


「そう言えばミナミは、学校でそう言うのも学んでいたんだったな?」


「まあ、そうね。でも前にも言ったけど趣味のようなものよ」


「いずれにせよ凄い」


 俺が言うとミナミはちょっとためらいながら、ミオをチラリと見て俺にぺこりと頭を下げて言う。ミオの笑顔が何故かぎこちなかった。


「どうも」


 そこから少し進むと木々が生えそろった場所が見えて来た。そこでヤマザキが言う。


「この公園の向こう側に出れば警視庁が見えて来る」


「なら突っ切ろう」


 するとミオとミナミがちょっと引いたように言った。


「広い道路伝いに行くんじゃないの?」

「凄く暗いけど…」


「むしろ、遮蔽物が多い方が無駄なゾンビを呼ばない」


 二人は観念したように頷いた。


「「わかった」」


 そして俺達は暗闇の公園内に侵入する。すると左手に東京の他の建物とは風合いの違う家が建っているのが見えた。


「ミナミ、あれは古い日本の家か?」


「そうよ」


 興味はあるが今は先を急いだほうが良いだろう。木々の間をすり抜けると広い場所に出た。見通しが良く、暗闇の中を数体のゾンビが歩いている。


「三体いる」


 すると四人は俺の側に寄った。いい動きだ。

 

 俺はすぐにその三体を刺突閃で倒した。真っすぐに進むと道は左右に分かれていた。すぐ下を高速道路が走っているようだった。ヤマザキが俺を見て言う。


「こっちだ」


 右に曲がり、少し進んで木々の間を抜けるとヤマザキが言った。


「あれだ」


「近いな、あれか?」


「違う、それは国土交通省の建物だ。その奥に見える建物が警視庁だ」


「行こう」


 俺達が、その建物の前に立ち建物を見上げる。するとタケルが言った。


「さすがにポリ公はいねえか」


 俺はすぐさま内部を気配感知で調べた。


「タケル。中には結構いるぞ」


「ん? まさか警官がか?」


「ゾンビだ」


「マジか」


 だがここまで来て躊躇はしていられない。俺は先に進み柵をまたいで敷地内に入った。やはり館内にはゾンビがいる。


「行くぞ」


 皆が緊張の面持ちで柵を乗り越えて入って来た。建物を回り込むように進んでいくと入り口が見える。入り口付近にはゾンビがウロウロしていた。


 だが俺は違和感を覚える。


「随分ゾンビが倒れているぞ」


 ヤマザキがそれに答えた。


「押しかけて来たゾンビをここで撃退しようとしたんだろう」


「破られて入られたと言う事か…」


 そして俺は前に出て、飛空円斬でゾンビ達を切り裂いた。すぐに入り口に向かうが、入り口の中にもゾンビはいてゆらゆら揺れている。


「まだ俺達に気が付いていない」


「どうするんだ?」


「銃は極力撃つな、弾が無駄になる」


 四人がコクリと頷いた。俺はそのまま四人を連れて無造作に入り口をくぐり、足の裏で床を鳴らした。


 カツカツ!


 するとその音に気が付いたゾンビ達がゆっくりとこちらに向かって来た。それに釣られて奥からもゾンビがついて来る。だがすぐには処理せず引き付けた。


 ミオが慌てたように言う。


「あ、あの! 殺さないの?」


「待て」


 かまわずにいると次々奥からゾンビが這い出てきた。


 今度はミナミが言う。


「い、いっぱい来たけど!」


「まだだ」


 ぞろぞろとゾンビが増えだして、一番前のゾンビが三メートルに近づいた時だった。俺は日本刀に魔力を込めて切り裂いた。


「フレイムソード!」


 一気に建物の中を炎が走り、あっという間にゾンビ達を燃やし尽くした。ゾンビは一掃されたが建物が燃え始める。


「お、おい! ヒカル。火事になるぞ!」


 次に俺は再び日本刀に魔力を込めた。


「水龍閃!」


 俺の刀が一気に水に包まれ、それが大きなうねりとなって館内を走っていく。すると炎は一気に消され沈下するのだった。


 するとミナミがポツリと言う。


「水の〇吸…」


 ミオが頷いた。


「だね…」


 ヤマザキが聞いて来た。


「なんで燃やしたんだ?」


「邪魔だからだ。武器を運び出す時にゾンビが邪魔になる」


「なるほど」


 俺は皆に指示をした。


「リュックに懐中電灯が入っている。取り出してあたりを探そう」


 皆がごそごそと懐中電灯を取り出して、館内を照らし始めた。光に照らされたところに各階の案内がある。それを見てヤマザキが言った。


「上の階には多分無いな。あるとしたら地下かもしれん」


「行こう」


 更に中に入って行くが、そこにもゾンビがおり俺は再びフレイムソードと水龍閃で片付けていく。しばらく探すと階段があり、俺達はそれを下っていくのだった。


「なかなかに厳重だな」


 俺が言うとタケルが答える。


「そりゃそうだろ」


「なぜ破られたんだ?」


「わからねえ。弾丸が切れたか?」


「だと武器があっても意味が無い」


「確かにな」


 そして地下を行くと鍵付きの扉がいくつもあった。それを全て刺突閃で破壊しながら進んでいく。


「これだけ厳重なら、武器も無事な可能性があるか」


 そんな事を言っていると、通路の先を曲がった所にゾンビの気配がした。


「ゾンビが密集しているぞ」


「どこだ?」


「先を曲がったところだ。誘い込もう、タケル銃を撃て」


「わかった」


 銃を正面に構えタケルが撃った。パン!パン!パン! すると一体のゾンビがこっちに顔を出す。すると次々にそれについてゾンビがやって来た。懐中電灯の明かりにつられ次々にやって来る。通路がぎゅうぎゅうになるほどだった。十分に引き付けてフレイムソードと水龍閃でゾンビを消していく。


「よし、進むぞ。後ろをついてこい」


 俺が先を進み皆がついて来た。通路の角を曲がると三体ほどのゾンビがずるずるとはいつくばっていたので、同じように処理をした。


「このあたりに固まっていた」


 ヤマザキが俺が言った場所の扉を照らすと、血の手形がびっしりとついている。どうやらゾンビはここで入り口を叩いていたのだろう。


「入ろう」


 ヤマザキが言うので、俺はその扉を斬った。


「中にゾンビはいない」


 俺達五人が中に入ると、そこには多数の死体が転がっていた。皆が銃を手にもってこめかみに穴が空いていた。


 タケルが言う。


「マジか…」


「ああ。逃げられないと分かって自害したんだな」


 ミオが悲しそうな顔で言う。


「警官でもこんなことに…」


「恐らく入り口から大量に入って来たゾンビから逃げてここに入ったんだろう」


「酷い…」


「仕方がなかったのだろうな。銃があっても限界だったと言う事だ」


 四人がコクリと頷いた。


「だが、銃はある程度有効だからな。探すぞ!」


 そして俺達は地下をくまなく探していく。するとようやく何らかの保管庫にたどり着いたのだった。そしてミナミが言う。


「ロッカーかな?」


 俺がその鍵付きの場所を壊し、中に入って行くととうとう見つけた。


「あった」


 そこには銃が並び、他にもいろいろな器具が並んでいたのだった。全部使い切る事無く保管されていたのは僥倖だったかもしれない。俺達はすぐさま銃器をリュックサックに詰め込み始めるのだった。

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