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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

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第100話 赤坂見附で毛布を

 朝方になるにつれて肌寒くなってきた。寝具の類を持って来ていないので、皆が眠れずに起きて来て肩を寄せている。


 するとヤマザキが言う。


「ここをぐるりと見たが、どうやら地下八階は新聞の保管庫らしいな」


 ユリナがそれを聞いて皆に言った。


「新聞は保温性があるわよ」


「貴重な資料のような気がするんだが」


 ヤマザキがそう言うが、俺が異を唱える。


「体を壊してしまったらどうしようもないのでは?」


 貴重な資料である事は分かる。だがこのまま眠れないのはマズい。


 すると皆が新聞をかぶろうとか、取っておかなくちゃいけないとか言う話になる。


 不意にアオイが言った。


「未来の人の為に残そうよ」


 まあ確かにその通りかもしれん。ここで貴重な資料をダメにしてしまうのは、未来をないがしろにするような気もしてくる。アオイが一番未来を考えていたのかもしれない。


「ふふ。小さい子にそう言われちゃうとね」


 ミナミが笑って言った。そして俺が皆に伝える。


「よし。まだ陽は昇っていない。暗いうちに俺が寝具関係を回収してくる」


「俺もいくぜ!」


 タケルが言うが俺はそれを止めさせた。まだ十分に情況の把握が出来ていない状態で、皆が外を出歩くのは非情に危険だからだ。万が一、ハナヤマグミのヘリコプターが偵察に来ていたら発見されるかもしれない。


「皆が動くのは、ハナヤマグミの動向や地上の状況を把握してからだ」


「そうか…」


「とにかく銃もあるし食糧も皆のリュックサックに入っている。地上に置いて来たバスにもまだ在庫はあるしな。ここにゾンビが侵入してくる可能性は、ほぼ皆無だと思うが十分気を付けてくれ」


「まかせろ」


 するとタケルがリュックに手を突っ込んで、俺にポイっと何かを投げて来た。それは豆などが入ったチョコレートの棒だった。


「かじっていけ」


 俺はコクリと頷いて、それをポケットに入れ日本刀を二本背負い腰に短刀をさした。走って吹き抜けの階段に行って一気に飛び上がる。地下一階に到着しエレベーターの所に行ってワイヤーを伝い一階にでた。入り口のカギを開けるのは避けたかったので、三階まで上がって窓を開け飛びおりる。


 そのまま身体強化と脚力強化を施して、一気に街道の方へと走った。ゾンビはほとんどおらず、わざわざ斬り捨てるまでの事は無かった。


「少し遅いか…」


 辺りはまだ暗いが、ほんのわずかに漆黒の夜ではなくなっていた。俺はタケルやヤマザキと動いた事のある、アカサカゴショ周辺に向かう事にした。バイクは使わずに自分の足で走っていく。いざという時の対処はこっちの方が楽だからだ。


 新宿周辺なら探索したが、このあたりはまだ手つかずだった。皆が言うには駅周辺には商売をやる施設があるという。俺はそれを目指して一目散に走り続ける。


 五分ほど走るとゾンビがうようよと居る場所へと出た。だが俺はそれらには一切手を付けずに先を急ぐ。しばらく進むと大きな施設が見えて来る。


「あった」


 たしかこれはビッ〇カ〇ラとか言う店だ。前に似たような施設に入っておもちゃを回収したことがあるが、雑貨のようなものがあったと記憶している。 


 そのまま一階の入り口に行くと、入り口が半開きになっておりすんなり入る事が出来た。入り口が開いている事からも推測はしていたが内部にもゾンビはいた。暗闇の中を走り日本刀を抜いた。


「丁寧にいくか」


 俺は疾風の如く走りながら、一体一体丁寧にゾンビを斬り捨てていく。しかし一階には寝具関係は置いていなかった。


 だが…なんと酒瓶のような物を見つけてしまった。俺はそれを手に取ろうとするが、目的を思い出して手を引く。


「いかんいかん」


 だが、一本くらいなら。俺は琥珀色の瓶を手に取り、口の部分を刀で切ってごくごくと飲んだ。臓腑が暖かくなっていき、体が活性化していくのが分かる。全身に気が漲ってくるような感覚だ。俺はその瓶を空にしてビンを床に置いた。もう一本手に取りそうになるが、俺はそれを我慢してその場を離れた。


 二階にはテレビなどが置いてあるようだ。俺達が使っていたテレビよりも大きなものがあるが、今回はそれを回収するのが目的じゃない。三階に上がると小さな機器類が置いてあった。皆がパソコンと呼んでいる物だが、必要が無いので更に上に上がる。しかし四階にも文房具やケースなどが置いてあるだけだった。


 ここに寝具は無いのか?


 そう思いつつ五階に登る。ようやく見つけた。


「あった」


 そこには寝具や毛布などが置いてあった。俺がその階層を調べると、冷蔵庫なども置いてある。ひもを見つけたので、それを回収し毛布の置いてある場所まで戻った。そして紐を二本敷いて、その上に毛布を積み重ねていく。俺の背丈よりも高く積み上げたそれに、紐をするすると通して一気にギュっと絞る。俺の腰あたりまでに低くなったので、新たに背負えるように紐を通した。


「よし」


 刀を一旦足元に置いて、その毛布を背中に背負った。そして日本刀を拾い肩の前面に来るようにぶら下げる。俺が一階に下りて外に出ると、薄っすらと明るくなってきていた。


「遅くなったか」


 俺は拠点に向けて再び走り出す。ゾンビはうようよいるが、俺にまとわりつく事も出来ずに手を伸ばすだけだった。俺がゾンビをすり抜けるように進んでいた時だった。


「これは…」


 俺はすぐさま近くのビルの軒下へと身を隠す。俺の耳に聞こえてきたのは、あのヘリコプターの音だった。音の大きさからするとここからは遠くにいるようだが、いつこちらに戻ってくるか分からない。


 すぐそばにいない事が分かり、俺は軒下に毛布を置いて八階建てのビルの屋上に向かって登っていくのだった。屋上に行ってヘリコプターが飛ぶ方角を見ると、どうやら俺達が拠点にしていた渋谷方面を西に向かって飛んでいた。しかもヘリコプターは二機、周辺を回る事なく真っすぐに進んで行った。


「確認しに行ったか」


 飛んだ方角からすると、恐らく俺がヘリコプターを撃墜した方向へと向いているらしい。何故ヘリコプターが落ちた方角が分かるのかは分からないが、正確に位置を把握しているように思えた。


「ふぅ。しつこい奴らだ」


 ヘリコプターが飛び去るのを確認して、俺は一気に地面まで飛び降り毛布を背負って拠点に走り出すのだった。

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