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女神様の愛し子じゃないから!  作者: 梨香
第三章 防衛都市

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十一階のセーフゾーンを目指すぞ

 やっと十一階の探索だ。蛇はどんどん大きなサイズになりアナコンダみたい。蝙蝠は顔が人間っぽくて嫌だなぁ。蜘蛛、普通に小型のアラクネが出てくるようになった。


 機械兵、機械騎士が団体で出てくるのは美味しい! それとシャンデリアが豪華になって、ドロップ品が多くなるのも嬉しい。


「ふぅ、十一階からそれまでのボスとか出てくるようになるんだね」


 ただ、隠し部屋よりは楽だと思う。


「十一階から地図を買っていないんだ。ただ、隠し部屋っぽいのはあるから、そこを目指そう!」


 ルシウスのケチが移ったから買わなかった訳じゃない。十一階からの地図の精度が落ちるから買わなかったんだよ。


「アレク、地図を売れば金になるぞ」

 ルシウスが提案するけど、パス!


「隠し部屋は書かなくて良いと思うが……あっ、ギルドマスターが苦手だからか?」


 ジャスは勘が良いね! これがガンツ・ギルド長なら金儲けになるから地図を作成して売っていたかも。


 ルシウスは難しい顔をしている。

「これって大問題だな。冒険者が金儲けになるのに、ギルドに協力したくない気持ちになるようなギルドマスター!」


「いや、面倒臭いとも思ったよ! 脳内地図(マッパエムンディ)で正確なのがわかるから、地図を描く必要がないからな」


 ルシウスが心配しているので、ちょっと言い訳しておく。


 魔物達を討伐しながら、隠し部屋に進む。


「ここは、かなり大きな隠し部屋みたい」


 それに、扉はよくあるクルリンと回るタイプだった。


「なんだ、これは!」

 ここも未発見だったのか、大広間にぎっしりと貴族人形と貴婦人人形が沸いていた。


(フルメン)!」でかなり倒せたし、動きが止まったのをルシウスとジャスが無双していく。


 かなり減らしてから、白猫(レオ)が機械兵を出して、機械人形達を殲滅していく。


 私達は、機械人形の奥に控えていた機械楽士達と戦うのだけど、音楽での攻撃に苦戦する。


「頭が痛い! アレク、どうにかしろ!」


 精神攻撃には「防御(デーフェンスィオ)」かな? 少しは激痛が弱まった。


(フルメン)」で動きを止めたら、頭痛でお怒りのルシウスとジャスが全滅させた。


「気をつけろ!」

 白猫(レオ)に言われるまでもなく、指揮者がこちらを睨んでいる。


「あの指揮棒、注意だな!」

 ルシウスの警告どおり、指揮棒から風の刃がビュンビュン飛んでくる。バリアで防御しながら進むけど、上からはシャンデリアも攻撃してくるんだ。


「アレクはシャンデリア! 俺たちで指揮者をやる」


 矢でシャンデリアの金鎖を射ろうとしていると、指揮者が壁沿いに置いてあった椅子を操って体当たりさせる。


 ルシウスやジャスも椅子に阻まれて、なかなか指揮者に接近できない。


 バリアを強化して、なんとかシャンデリア四機を落とした。


 ルシウス達は、力技で椅子を粉砕して進んでいる。


「大地の盾で椅子を飛ばせ!」

 白猫(レオ)の言葉で、ルシウスは盾を椅子に向け「大地の盾!」と叫ぶ。


 シールドバッシュが出て、椅子達は粉々になって飛び散った。


遮断(ディスコンティ)!」を掛けて、指揮者が怯んだ隙に、ジャスが「炎の剣!」で討伐した。


 かなり苦戦したと思ったのに、指揮者の後ろには、巨大なグランドピアノが!


「嘘だろう!」


 鍵盤を投げてくるのだけど、やはり当たると爆発する。それに精神攻撃もキツい。

防御(デーフェンスィオ)」と何重にも掛けて、やっと立っていれる状態なんだ。


「召喚!」騎馬騎士がグランドピアノに立ち向かう。

 その対応にグランドピアノが忙しそうな隙を狙って「遮断(ディスコンティ)!」を思いっきり叩き込んで、やっと討伐成功。


 機械兵達がドロップ品を拾っているけど、殆どは私のアイテムボックス行きだね。

 貴族人形達からは、絹の服やドレス、それに装飾品や懐中時計、何故か宝石のついたナイフも。

 宝飾品にジャスは鼻の下を伸ばしている。ルミアラちゃんにあげたいのだろう。


 楽士は、楽器が多くドロップした。それと、こちらも何故かナイフも! 物騒だよね。


 指揮者は、指揮棒と上級回復薬。


「この指揮棒、風の魔法が出るみたい」

 ビュン! と振ると風の刃が出る。


「それはアレクが持てば良いんじゃないか? 魔法使いは杖とか装備するんだろう?」


 そうなのかな? まぁ、貰っておこう! 不必要だと思ったら、ルシウスかジャスに譲っても良いし、オークションに掛けても良い。


 上級回復薬は、ジャス! これまで出たのは、私とルシウスが携帯していたからね。これで三人とも上級回復薬が持てた。


 グランドピアノのドロップ品、大きなオルゴールと魔導書! 


「魔導書かぁ!」

 ルシウスとジャスが喜んでいる。ただ、開かないように注意して何の魔法かと期待して見る。


「精神錯乱?」ヤバい奴だ!

 白猫(レオ)が「我の得意分野だな」とニヤッと笑う。

 ちょっと皆で考えよう! と保留。


「楽器って需要あるの?」

 お城では、サーシャは王族とは近い部屋じゃなかったから、聞いた事がないよ。

「まぁ、金持ちは楽士を雇ったり、音楽会を開いたりすると聞いた事がある」


 つまり、庶民には無縁なのかな? と思ったけど、ジャスが滔々と花街の芸妓達は音楽を嗜むとか言い出した。


「ふぅん、それなら買い手がいるって事だ!」


 ギルドには隠し部屋の件は知られたくないので、何処か他の商会で売ることにする。


「カインズ商会ばかりだと、後々困るから、ゲイツ商会を当たってみよう! あそこは大手だから、楽器も扱っているかもな!」


 回復薬も少し持って行く事になった。これは、ルシウスに任せるよ。


 十一階の蝙蝠の顔が苦手だけど、ジャスの炎の剣に弱い。それに、剣だと近接戦闘しかできなかったけど、ルシウスの風の剣もなかなか良い感じ。


 私の疾風の矢も、地味に効果がある。私的には、あまり変わらないんじゃない? と思うけど、ルシウスとジャスには「疾風の矢」は凄いと言われたよ。


 なんとか、十二階の前の十一階のセーフゾーンに着いた。あれこれ、実験したいのだけど、冒険者が二組休んでいる。

 邪魔だな!

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― 新着の感想 ―
此処までの戦いを見てると安全地帯に居る人達は銀級以上くらいありそうな人達かな? その辺りまで来ると村社会くらいに知人になりそうだけどどうなるだろう。ギルマスのやらかしのせいで相手が銀級くらいでもモラル…
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