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女神様の愛し子じゃないから!  作者: 梨香
第三章 防衛都市

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食物ダンジョン十階を目指そう! 2

 九階は、草原だった。少し木が生えている程度。トレントとヴリシャーカピには、うんざりしていたから、ちょっとホッとした。

 

 草原で草を喰む牛、長閑な風景だなぁ……そんな訳ないじゃん! 


「ブォォォモォ!」

 ビッグカウが暴走してくる。そして、その後ろからファイヤーウルフの群が!


「ヤバいな!」

 ジャスも初めてみたいだ。


「先ずは、ビッグカウの暴走を止めるぞ! アレク、ファイヤーウルフのボスをやってくれ!」


 ファイヤーウルフのボス、他のより大きくて赤く燃えているみたいに見える。


遮断(ディスコンティ)!」で一撃に仕留める。


 他のファイヤーウルフも「(フルメン)!」で討伐する。後ろから、ファイヤーウルフが追いかけて来ていたら、ビッグカウの暴走が止まらないからね。


 ジャスは大剣で、ビッグカウの脳天に斬りつけ、ルシウスは剣で首を斬り落としている。


 私は「バリア!」で魔力を節約しながら、討伐する。


「なぁ、ビッグカウってメスな筈だろう? 何故、角があるんだ?」

 私の疑問に、ルシウスもジャスも肩を竦めるだけだ。

 ドロップ品は、本当にミルク缶と肉とチーズだった。ミルク缶は、前世のコンビニのマークに似ている。


「チーズは少し取っておこうよ!」

 酒のアテになりそうだから、ジャスとルシウスも賛成する。


 ミルクの缶、結構、重そうだ。こんなのジルとかだと無理だよね。



 十階は、ビッグベアが多かったけど、それは問題じゃない。力技なら、ジャスとルシウスに任せておける。


 キノコが地味に足を引っ張る。仲間を呼ぶ前に倒さないと、魔法を使うしかなくなるのが嫌だ。だって、十階の転移陣前には、ボス戦があるんだもん。


 魔力回復薬、マジで作らなきゃ! でも、女神様(クレマンティア)神様(ガウデアムス)の知識で、まだ見つけていないんだよね。


「なぁ、ルシウスやジャスはボス戦やったんだろう? 何だった?」


 二人は、肩を竦める。

「かなり前だったし、毎回変わるからなぁ」

「そんなに大した魔物は出ないさ」

 

 確かに、三人だったら大丈夫かもね! でも、ボス戦でルシウスが壊れちゃったんだよ。


「なんで、ここでゴールデンベアが出てくるんだ! 食物ダンジョンにゴールデンベアが出るなんて聞いたことが無いぞ!」


 ビッグベア十頭は楽勝だったのに、ボスのゴールデンベアを見て、ルシウスが叫び狂った。


「俺は、これまでゴールデンベアに遭遇したことがないんだ。初めてなのに……食物ダンジョンだから、黄金の毛皮はドロップしないなんて……酷い!」


 ルシウスは、ガックリと地面に座り込んでいる。


「壊れたルシウスはほっておこう!」

 

 私とジャスでゴールデンベアを討伐しようと決めたけど、ムクッと立ち上がったルシウスがヤケ糞攻撃をして倒した。


「黄金の毛皮、来い!!」と叫んでいたけど、ここは食物ダンジョン! 

 特大のハチミツの瓶が、ズドンとドロップした。


 私とジャスで、ルシウスを立ち上がらせて、転移陣で地上に戻る。


 ルシウスは、魂が抜けたみたいに「黄金の毛皮……」と呟いているから、アテにできない。

 私とジャスで商人と遣り取りする。


「なぁ、どれと、どれを取って置くんだっけ? 林檎とオレンジはギルドだよな? チーズは食べよう! 香料は、ルミエラちゃんにプレゼント! あっ、ロイヤルゼリーも一瓶分けてくれないか?」


 ジャスの色ボケにルシウスが正気に戻った。ボスン! と頭を殴って、テキパキと売る物と取っておく物を分ける。


「ほら、香料だ!」ジャスに香料の瓶を一つ投げてやっているけどね。レンタルしていた斧も返したり、テキパキと処理していく。


「残りの清算は、ギルドに回してくれ!」


 前半の清算を済ませて、馬車で防衛都市(カストラ)に戻る。荷物持ちは、ギルドに納める林檎とオレンジ、そして高価買取りのトリュフや香料などを背負ったままだ。


「おぃ、エールを飲もうぜ!」

 相変わらずジャスは、清算はルシウスに任せっきりだ。まぁ、私もだけどね。


「なぁ、明日は休みにしようよ」

 ジャスの下心はあからさまだよ。

 でも、それも良いかもね! いや、花街へ繰り出すのじゃなく、休む方だよ。


「ほら、今日の取り分だ。後半のは、ギルドに回して貰ったから、明日以降に受け取ってくれ」


 二十金貨(ゴルディ)ずつ配られた。


「ルシウス、俺はロイヤルゼリーを貰ったから、減らしてくれ」


 ロイヤルゼリー、あれは高価なんだよね。


「そんなの一々計算できるかよ!」

 ジャスが吠える。


「その通りだ! それにキラービーの巣はアレクが一人で討伐したんだろう」


「でも、トレントは殆ど二人でやったし……わかった! 薬を売った代金も三等分しよう!」


 誰がどの魔物を討伐したのかとか計算するのは無理だ。だから、これが公平だと思ったんだけど、二人に笑われた。


「薬師の仕事と依頼やダンジョン活動の時とは違う。それは、アレクだけの収入だ」


 むぅぅ、納得できないけど、言わんとする意味もわかる。


「それなら、下級回復薬や中級回復薬をあげる!」


 それは二人も喜んで受け取ってくれる事になった。買うと高いからね!


 エールを飲んで、金熊亭に帰る。トレントからドロップしたレア肉を焼いて貰わなきゃね!


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― 新着の感想 ―
[一言] クランは、ギルドとは別組織なのか、配下にあるの感じか、 ライバル組織なのか、持ちつ持たれつなのか、どうなんだろ? 両方同時に所属可能なのかね? ギルド→排他的互助組織 金を出し合って結成。…
[一言] 食料ダンジョンでのオチに笑いました。 ユニコーンとかの部位が高い奴が出てるのに馬肉だと悲鳴あがりそう。 ルシウスなら大丈夫とは思いますが報酬や経費の取り決めはしっかりしないと不和の元なのが…
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