表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様の愛し子じゃないから!  作者: 梨香
第三章 防衛都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/139

食物ダンジョンへ行くぞ!

 今日から星の海(シュテルンメーア)で食物ダンジョンに潜る。ルシウスとジャスには一階から付き合って貰う事になるから、ちょっと悪いけどね。


 女将さんにそれぞれ肉を詰めたパンを貰う。ジャスとルシウスは二個、私は一個。


 食物ダンジョンの荷物持ちは子どもは無理だから、大人オンリー。それなら気にせず食べられるからね。


「先ずは、ギルドで依頼をチェックするぞ!」

 ルシウスは、こんな点はマメなんだよね。

「食物ダンジョンだから、どれでも一緒だろう」

 ジャスの意見に私も近い。ドロップ品で依頼が有ればラッキーって感じだ。


「それに、ファイヤーウルフの金を受け取らなきゃ駄目だろう」


 確かに、それもあったかもね。


 冒険者ギルド、入るの嫌だけど、ルシウスとジャスはすんなり入るから、後ろからコソッとついて行く。


 それと、黄金の毛皮をカインズ商会に売ろうと相談したけど、ルシウスに反対されたんだ。凄く羨ましがられたけど、アドバイスは的確だ。


「カインズ商会ばかりに依存するのは良くない。黄金の毛皮は、ギルドでオークションに掛けて貰え!」


 確かに商会は、いっぱいある。カインズ商会専属になるのは拙いかもね。


「俺たちは、依頼をチェックしているから、お前は精算しておけ」


 今日の清算は、ルーシーだった。しっかりしているから、ラッキー!


「アレクさん、ファイヤーウルフの件の清算です。チェックしてサインをお願いします」


 書類を見て、ちょっと驚く。レッドウルフの犯罪奴隷の時とはケタが違ったから。


 二百金貨(ゴルディ)を超えていたんだ。思わず預かって貰ったけど、アイテムボックスに入れておけば良かったかもね。


「それと、これがドロップしたんだ」

 袋から黄金の毛皮を取り出す。


「えっ、これはゴールデンベアの毛皮ですよね! それも、とても豪華な品です。どこでドロップしたのですか?」

 あれ? 凄く興奮しているような?


「中級者用のダンジョンの十階のボス戦で……あそこならよく冒険者が戦うんじゃないの?」

 どうやら、滅多にドロップしないみたいだ。

「これは、オークションに掛けられます。今すぐにお金は必要ではありませんよね?」


 さっき、かなりの金額を預けたばかりだからね。

「オークション行きで良いです」

 やれやれ、これでギルドの用事は済んだ。


「よぉ、アレクの用事は終わったか? それなら、さっさと出発しようぜ」


 ジャス、依頼品のチェックはルシウスに任せて、エールを飲んでいる。私も飲みたくなったよ。


 ルシウスが何個か食物ダンジョンの依頼を調べて合流する。

 とっととギルドを去ろうとしたのに、ギルドマスターに見つかった。


「おお、アレク! 丁度、良かった」

 こちらは宜しくない! 聞こえない振りで出ていけないかな?


「アレク、仕方ない!」

 ジャスは無視しろと目配せしたけど、ルシウスは諦めモードだ。


 うんざりするけど、二階のギルドマスター部屋で、中級回復薬が欲しいとぐだぐだ言われた。


「その件は、カインズ商会として頂けませんか? 私達はダンジョンに潜らなければいけないのです」


 ルシウスがキッパリ言ってくれたけど、中級回復薬を作ったのはバレているね。


「チェッ、どうせ断るんだから、二階まで行かなくて良いのにさぁ」

 ジャスが遅れたと文句を言うけど、ルシウスがリーダーとして断ってくれたから、ギルドマスターも折れたんだと思う。


 南門まで歩いて行くまでに、食物ダンジョンについて教えて貰う。


「食物ダンジョンは、ドロップする物が食物だけだからそう呼ばれているのだ」

 それは知っている。ジル達に聞いたんだ。私より、防衛都市(カストラ)育ちの子どもの方がダンジョンに詳しい。


「それと、食物ダンジョンの中には小麦や大麦や芋が生えている。一階や二階は、それを収穫する冒険者が多い」


 ジャス? それ意味不明だよ。


「まぁ、見てみないと理解出来ないだろうな。ただ、中級者用ダンジョンなのは間違いないから、作物を刈る者を冒険者が雇って、魔物から護衛するのさ」


 そんな事を話しながら、南門まで歩く。


「ほら、行き先ごとの馬車があるだろう。その前で荷運びの連中を雇うんだ」


 食物ダンジョン行きの馬車の前には、カマを持った人夫がぞろぞろいた。


「なぁ、俺たちも小麦を収穫するのか?」


 荷物持ちを雇うのは、ルシウスに任せて、ジャスに質問する。


「いや、小麦を刈ったりするのは、銅級になりたての冒険者だ。俺たちは、兎に角、十階まで急ぐぞ! 金になる食品は下にあるからな」


 ルシウスが四人ほど荷物持ちを雇った。背負っている籠もかなり大きい。


 馬車で二十分ほど揺られたら、食物ダンジョンに着いた。


「ここって……まるで倉庫街だ」


 防衛都市(カストラ)の壁の外にあるのだけど、食物ダンジョンの周りには壁が作ってあり、中には倉庫と商店がびっしり! 勿論、食べ物の屋台もあるけど、見慣れない屋台が……あれって、斧やカマ?


「ジャス、斧を借りるか?」

 私が呆気に取られている間に、ルシウスとジャスは斧をレンタルしている。


 それと、食物ダンジョンに手押し車を持ち込む冒険者もいて驚くよ! 前と後ろを持ち上げて、階段を下ろしている。


 でも、本当に驚いたのは、ダンジョンに潜ってからだった。


「ここは小麦畑なのか?」

 それも、収穫シーズン真っ只中みたい。

 何人もの人夫が、カマで小麦を刈っている。

 そして、それを護衛する冒険者が四隅に立っている。手押し車に、収穫された小麦の束が積まれいく。


「ほら、アレク! さっさと二階に行くぞ!」


 呆気に取られて足を止めていたけど、遅ればせながら脳内地図(マッパエムンディ)を掛けて、二階への階段を目指して歩く。


 ここは、本当に人数が多い。三、四組の冒険者だけど、人夫の数が多いんだ。


 あっ、赤い点だ! 魔物はビッグエルク。前世でも鹿って害獣だったような。


「アレク、矢で射てみろよ!」


 ジャスめ! 前よりは上手くなっているんだよ。


 ビッグエルクを射ると、肉がドロップした。これは、他のダンジョンでも一緒だよね?


 荷物持ちの男が、肉と矢を拾う。


「食物ダンジョンって、ドロップ品が食物だけって聞いたけど、ビッグエルクで肉なのは普通だと思うけど?」


 ルシウスとジャスは、おいおい分かると笑うだけだ。


 二階の方が、小麦畑の面積が広い気がする。それと、芋畑もあるみたい。


「アルミラージだ!」

 ジャスに言われて、矢でいる。

「えええ! 肉じゃなくて人参!」


 十本以上ありそうだけど、肉の方が良いんじゃないの?


「変なの……ずっとこんな感じなの?」


「下になるほど、良いものがドロップするし、果物の木もある。まぁ、攻撃してくるのが難点だけどな」


 えっ、果物は欲しいけど、攻撃してくるの? それってトレントなのかな?


 二階は、何回か魔物に遭ったけど、三人だと楽勝だね!


 ドロップ品が何になるのか分からないけど、面白い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 生肉と野菜を、一緒にしていれるのだろうか? 衛生面が気にかかる
[一言] 本当にこのギルドマスターは辞職に追い込まれてくれないかな、主人公が手のひらを返すところとか絶対にみたくない。 面倒な事を頼むなら相応の対価があってしかるべきだし、ルシウスも商会に偏りすぎて…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ