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女神様の愛し子じゃないから!  作者: 梨香
第三章 防衛都市

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やっぱり一緒が良いな!

 ゴールデンベア戦、やはり疲れたなぁ。

 黄金の毛皮はアイテムボックスに入れて、金熊亭に戻る。


「明日から、他の中級者用のダンジョンに潜るのか……」

 十階まで何とか踏破したけど、かなりしんどかった。

 一人なので、荷物持ちの日当以外は、全部自分の物になる。


 かなりお金は稼いだけど、一人で潜るのは、精神的に疲れる。魔物討伐より、他の冒険者を避ける方を重視しなきゃいけないのも嫌だ。


 それに荷物持ちの子ども達を魔物から護りながらのダンジョンは、精神的にかなりキツかった。特に、脚の早いファイヤーウルフの集団とかは、回り込まれてヒヤリとしたんだ。

 バリアを掛けたけど、怪我とかしないか常に気を使って、疲れた。


「薬師として生きて行く方が、私には向いているのかも……」


 弱気になったけど、金熊亭に戻り、お風呂に入って、スイーツを食べたら、かなり浮上した。


「ロイヤルゼリーも自分で巣を討伐しないと、手に入れるの大変だし、準竜の肝で中級回復薬(秀)を作ってみたい!」


 風呂に入って疲れが取れ、スイーツで気力も戻った。私って単純だな。


「ただ……冒険者ギルドに行くのが気が重たい……」


 あのファイヤーウルフの一件以来、冒険者ギルドに行っていない。ルシウスに下級回復薬二十本は納入してもらったけどね。


 なかなかファイヤーウルフが罰せられないのも、脚が遠のく原因だし、中級回復薬を欲しがられているのも避けたくなる要因だ。カインズ商会みたいに中級薬草を手配してくれる訳でもないのにさぁ。圧力だけ掛けるギルドマスターって、マジ嫌い!


 つまり、ヨハンセン・ギルドマスターが大嫌いなんだ。

 今日のドロップ品の中には、もしかしたら依頼が出ていた物もあったかも。


 ギルドの依頼をこなさないと、昇級は難しい。でも、銅級でも良いんじゃないかな?

 風呂付きの部屋に泊まって、食べていけるし!


 ベッドでうとうとしていたら「飯に行こうぜ!」とルシウスが誘いに来た。


「おう!」と出ていくと、ジャスもいた。


「十階まで踏破したお祝いだ!」


 ジャス、女好きなところは、嫌いだけど、悪い奴じゃないんだよね。

 

「何が食べたい?」とルシウスが聞くから「野菜ゴロゴロのシチュー」と答える。


 ジャスが「お祝いなら肉だろう!」と騒いでいるけど、ルシウスは「森亭かな?」と案内してくれた。


 森亭、他の飲食店よりこじんまりしているけど、高級感がある。


「いらっしゃいませ」と席に案内してくれるウェイトレスも綺麗だ。


「メニューでございます」

 メニューを読むけど、どれが野菜が多いのかわからない。


「俺は、ビッグボアのステーキ」


 ジャスはいつも通りの肉だね。


「ルシウス、どれが野菜が多いんだ?」


 ルシウスもあまり来ないのか、ウェイトレスを呼んで質問している。


「こいつのお祝いなんだが、野菜が多い料理が食べたいと言うのだ。どれがお勧めだ?」


「アルミラージのホワイトシチューかビッグボアのワイン煮がお勧めです」


 ホワイトシチュー! 前世で大好物だったんだ。


「アルミラージのホワイトシチューにする」


「では、ビッグボアのワイン煮、それと取り敢えずエール!」


 エールが来たので、乾杯する!


「ダンジョン十階踏破、おめでとう!」


「やっと一緒に潜れるな!」


「えっ、でも他の中級者用のダンジョンはまだ……」


 二人に笑われた。


「アレクは、能力的には問題ないけど、経験と覚悟が決まっていないのが欠点だった。一人で中級者用のダンジョン十階を踏破するなんて、俺でも大変だ」


 ルシウス、騙したの? それとも星の海(シュテルンメーア)の入団テストに近かったのか?


「まぁ、ファイヤーウルフを殺さなかったのは、甘いが……まぁ、ギルドマスターには恩が売れて良かったな!」


 ジャスにガハハハと笑われた。あの件、どうなったんだろう。もやもやする。


「ファイヤーウルフの八人は、前の罪も全て調査するのに時間が掛かったが、全員犯罪奴隷落ちだ。荷物持ちの一人は、前からだから犯罪奴隷。もう一人は、本当に知らなかったのか、他の荷物持ちに問い合わせたりして時間が掛かったみたいだ。こいつは借金奴隷落ちだ。三年ぐらいで奴隷から解放されるだろう」


 南の大陸は、死刑より犯罪奴隷落ちが多いのかな? 


「ファイヤーウルフと荷物持ちでは、罪の重さが違う気がするけど?」


 ルシウスは肩を竦める。

「犯罪奴隷の刑期が違うのかもな」

 

 ジャスが「そんな暗い話より、面白い話をしよう!」と騒ぐ。ジャスの面白い話は、花街の女の子関連だから、パスしたいよ。


 丁度、タイミングよく料理が運ばれた。


 ジャスのビッグボアのステーキ、皿からはみ出しそう。でも、他の店と違って、野菜の付け合わせがある。

 人参のグラッセとマッシュポテト! 美味しそう!


 ルシウスのビッグボアのワイン煮も、野菜がゴロゴロしていて美味しそうだ。次に来たら、これにしようかな?


「わぁ! ホワイトシチューだ!」


 サーシャの修道院では、粥かシチューがメインだったけど、こんなに具は入っていなかった。


「美味しい!」

 アルミラージも柔らかいし、野菜の味も良い。


「次に潜るのは、食物ダンジョンにしようぜ!」


 おっ、ジャスにしては良い事を言うね!


「賛成!」と手を挙げるけど、ルシウスは「暗闇ダンジョンの方が儲けが良いぞ!」と反対する。あのピカピカの剣が使いたいだけだよね?


「よし、明日は食物ダンジョンで十階まで頑張ろう! それが出来たら、次は暗闇ダンジョンだ!」


 私とジャスは、暗闇ダンジョンはあまり気乗りしないけど、先ずは食物ダンジョンに潜れるから反対しない。


星の海(シュテルンメーア)に!」と乾杯して、宿に戻った。

 やっぱり一緒が良いな!

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― 新着の感想 ―
[一言] 金貨1枚じゃ、マイナス。奉仕と変わらないな アレク的には、ダイション潜ってた方が儲かるし 宿泊代だけでも、金貨2枚を越している。よい宿に変えれば、もっといくだろう そして、それだけ稼げるだろ…
[一言] 作って欲しいなら材料はギルドが用意してこっちは調薬して調薬料だけ貰う形が一番だわな。
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