三人でマジックバッグを作りながら
『クソ聖王家から離れて、自由に生きる』を
『女神様の愛し子じゃないから!』に変えました。
知り合いに、この題だと読む気が無くなるんじゃない? と言われてから、ずっと気になっていて……
これからも、よろしくお願いします。
次の日、ジャスが帰って来たので、マジックバッグを作りながら、パンサーの件を相談する。
今回は、ヘビーモスの皮だから、中型のマジックバッグを作る。
「これは、ルシウスが持ったら良い」
ジャスは、マジックバッグ小を持つ事にする。
ジャスと私は縫いながら、そしてルシウスは魔石を粉にしながらの話し合いだ。
「エリクサー(劣)で、パンサーの腕は治るのか?」
「うん! ただ、ヘレナと組んでいるのに……」
「まぁ、ヘレナは自分でやっていけるだろう。自由都市群との関係もよくわからないからな」
ジャスは、やはり金を持ち逃げ(誤解)したヘレナには厳しい。
「それと、『草原の風』と『クレージーホース』と協力したい」
それも話し合わなくてはいけなかったのだ。
「『クレージーホース』は、オークダンジョンの外を警戒して貰おうと思っている。『草原の風』は、多分、『金の剣』にダンジョン内の探索を要請されると思うが……危険だな」
オークダンジョンの最前線を戦う『金の剣』と同じ行動は、厳しい。
「シャニムも、使い潰されそうだと案じていた。撤退する時に、置き去りにされる危険もあるからな」
「金級のクランなのに?」と聞くと、二人が頷く。
「金級だろうと、自分のクランメンバーを最優先に考えるのが冒険者だ。そして、メンバーより自分が一番優先だぞ!」
ルシウスは、私が甘いのを知っているから、厳しく言い聞かせるのかも。
「では、パンサーは? 借金奴隷にされて、腹を立てない?」
「それは、危機に落ちたら、全員に言えることさ! そうならない様に、考えながら行動するしかない」
「そうだぞ! アレクも危険だと思ったら、先ずは自分が生き残る事を優先しろ!」
クッションの上で寝ていた 白猫まで起きて怒る。
「髪の毛が伸びようと、強い魔法を使うんだな! 第一、髪を伸ばしたままで良いのだ! 女神様の姿に似ているのに、なぜ隠すのだ?」
余計なお世話だよ! この姿が女神様に似ているのは、サーシャが愛し子だったから。でも、私は愛し子じゃないからね!
「で、『クレージーホース』には、アレクの事を話すのか?」
ジャスは、ヘレナには話さないと決めているみたい。まだ、自由都市群との関係が切れているか、不安だから。
「そうしないと、協力し難いだろう!」
白猫が答える! 何故だ?
「そうだよなぁ……『草原の風』にも話そうと思う。契約魔法を使うけど、いずれは広まるかもな!」
「えっ、マジックバッグや魔導具や神聖魔法は良いけど……女神様の愛し子は、内緒にして欲しい!」
「つまり、アイテムボックスは秘密かぁ……マジックバッグがあるから、何とかなるのか? いや、馬車とか無理だろう?」
ルシウスが腕を組んで考えている。
「機械兵とかは、召喚で誤魔化せるか……だが、いずれはバレるぞ」
ジャスも難しい顔だ。
「女神様から、オークダンジョンの殲滅を命じられているのに、全力で当たらないと無理だろう!」
白猫に叱られたけど、嫌だ!
「俺は女神様の愛し子じゃない!」
サーシャは、愛し子だったけど、違うんだよ! そんなに清らかな心持ちじゃない。
「フン! そんな甘い考えで、オークダンジョンの殲滅なぞできないぞ! 役に立つ物は全て利用する。そのくらい覚悟を決めろ!」
「でも、女神様の愛し子だなんて、教会がほっておかないだろう!」
「フン、クソ教皇国など、ぶっ潰せば良いのだ。女神様もそれをお望みだろう!」
ルシウスとジャスが目を剥いて驚いている。
「女神様が!」
「まぁ、教会は腐っているが……」
「そんなのは、女神様も命じていないよ。オークダンジョンの殲滅だけだからさ!」
そう、そのオークダンジョンの殲滅の為には、パンサーを借金奴隷にして、協力させないといけない。
そして、『草原の風』『クレージーホース』との協力も必要だ。
「『クレージーホース』は、食物ダンジョンに潜っているのか?」
ジャスが色街でルミエラちゃんとデートしている間に、『クレージーホース』は、十階まで駆け降りた。
「ああ、アレク? 本当に協力してやるのか?」
ルシウスは、気がしれないって感じだ。
「ああ、十階から十五階まで、付き合うよ。私は機械馬に乗って、一緒に爆走するつもりだ」
ジャスは、少し迷ってから「俺も行く!」と言い出した。
クレアに弱いから避けているのに、やはり姉を助けたいみたいだ。
「十五階からなら、俺も参加だ! ついでに『草原の風』も連れていけ」
『草原の風』と『クレージーホース』にマジックバッグ小(劣)を一つずつ渡すことも決めた。
後は、オークションでサンドワームの皮を落札して、マジックバッグをどんどん作る! と決めたんだ。
先ずは、パンサーにエリクサー(劣)を使うか? 借金奴隷になるか? を尋ねる事にした。
さて、断るのか? 断らないのか? 自由都市群との契約はどうなっているのか? そこら辺は、ルシウスに任せよう。




