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女神様の愛し子じゃないから!  作者: 梨香
第四章 オークダンジョンを殲滅しよう!

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エリクサー(劣)を作ろう!

 次の日、上級回復薬とエリクサー(劣)を作ろうと思って目覚めたけど、金熊亭にパンサー達もいるんだよね。


 草原の風、クレイジーホースのメンバーは私が神聖魔法を使えるのも、回復薬を作れるのもオーク襲撃の時に知っている。


 それに、上級回復薬はまだしも、エリクサー(劣)はちょっと作れるのが知られるのはマズい気がする。


「いつもは裏庭だけど……腰も痛くなるし……かと言ってカインズ商会は駄目だよなぁ」


 あそこの調合室なら、腰も痛くならないし、良いんだけど……。


「おおい、朝食を食べるぞ!」


 ジャスがドアをダンダンと殴って叫んでいる。


「ああ! 行くよ!」


 まぁ、いざとなったら馬車を出してその中で作れば良い。

 あの中は、空間魔法で広くなっているし、台所もあったからね。


「俺たちは顔役にゴールデンフラワーの香料を持っていくが、アレクは……アレを作るのか?」


 ルシウスの言っているアレは、上級回復薬だろう。エリクサー(劣)は作ってから言おう。


「うん、まぁね!」


 それでいつまで休むのかとか決めなきゃね。


「アレの中級も作らなきゃな!」


 隠語ばかりなのは、食堂にパンサー達もいるからだ。


 草原の風のメンバーは、長期の依頼明けなので、パラパラだけど、クレージーホースは全員揃っている。


「なぁ、暇なら食物ダンジョンを一緒に攻略しようぜ!」


 クレアがジャスに提案して断られている。まぁ、今日はルミエラちゃんと会うのだから、断るよね!


 今度は、ヘレナに声を掛けている。


「クレアは、何処まで潜っているのさ?」


 それ、重要だと思う。


「クレージーホースは、基本は護衛依頼がメインなんだ。だから、ダンジョンはあまり潜っていない。お前ら、何処まで潜っている?」


 クレアの声に「三階!」「五階!」とパラパラと声が上がる。


「せめて十階まで潜ってからの話だよ!」


 ヘレナに断られたクレアが私を見るけど、首を横に振る。


「俺も十階まで潜ったら、付き合っても良いよ」


「仕方ないなぁ! 駆け降りるか! そこからは、アレクに付き合って貰おう!」


「おう!」


 クレージーホースは、スレイプニルで十階まで駆け降りることに決めたみたい。


 階段も広いからスレイプニルでもいけるのかな?


「クレア、私との態度が違うんじゃないかい?」


 ヘレナが難癖をつけている。


「やはり金を持ち逃げされたトラウマがあるからね!」


「持ち逃げじゃなくて、交渉だと言っただろう!」


「それは分かってはいるけど、本当にあの時は食うのも困ったんだよ!」


 パンサーさん? 笑ってヘレナとクレアの口喧嘩を見ているけど、悪い人ではなさそうなんだよね。


 ただ、まだ信頼ができないだけ! それと、借金奴隷にする覚悟もないんだ。


 朝食を終えたら、クレイジーホースは本当に食物ダンジョンに向かっちゃった。

 麦畑を爆走するスレイプニルが目に浮かぶよ。

 他の冒険者達は、驚くだろうね!


 さて、私はスレイプニルがいなくなったので、馬房に魔導具の馬車を出して、そこでエリクサー(劣)を作ろう!


 と思ったんだけど、アイテムボックスも秘密にしているんだよね!


「パンサー達も潜れば良いんだけど……」と思ったけど、彼方も昨日は潜っていたから休暇日だよね。


防衛都市(カストラ)の外で出そうかな?」


 うん、そう言えば防衛都市(カストラ)の外を見ていないんだよな。


 蒸し蒸しと暑いけど、今日は雨は降っていない! 良いアイデアに思えてきた。


 白猫(レオ)のスキルだけど、召喚士だと誤解されているので、機械馬を出しても平気だろう。


 それに休暇なのだから、自分の興味を優先しても良いと思ったんだ。この時はね!


 オークがうろうろしているのも忘れていたんだ。

 クレージーホースが引き返したと話していたのも忘れちゃってたんだよ!


白猫(レオ)防衛都市(カストラ)の外で馬車を出して、エリクサー(劣)を作ろうと思うんだ」


「アレク、少しは頭を使わないと、脳みそが腐ってくるぞ! 外には魔物、それにオークが彷徨いているのに、態々、そこで調合するのか?」


「あああ、そうだった!」


「まぁ、オーク狩りをするのは良いと思うけどな」

 

 オーク狩りを一人でする程、好戦的ではないよ。


「馬車を金熊亭に常に置いておけば良いんだ。少しの場所代で済むだろう。機械兵を見張りに置いて置けば、魔導具だとは気づかれない」


「そうだね!」


 金熊亭の女将さんは、馬房の端の方なら良いと簡単に許可をくれた。


 端っこに馬車を出し、見張りの機械兵を側に置いて、エリクサー(劣)を作る。


 上級薬草と竜の肝と黄金の蜜で、エリクサー(劣)!


 エリクサーを作るには蘇り草、竜の肝、命の石が必要なんだけど、蘇り草がまだ手に入っていないんだ。


 上級薬草は、デスビーの巣の下に沢山生えていたので、かなり手に入った。


 ただ、竜の肝は全部使いたくないんだよね。

 今度、また黄金の蜜が手に入った時の為に、取っておきたい。


「ごちゃごちゃ考えずに、先ずはエリクサー(劣)を作ったら良い」


 白猫(レオ)に笑われちゃった。小心者だから、貴重な竜の肝を使うのにビビっているんだ。


 竜の肝を慎重に計りながら使う。上級薬草は、浄水で洗った。それを浄水に刻んで入れて、慎重に温めながら、竜の肝と黄金の蜜を投入。


「あまり煮出さない方が良いと思うんだ」


 回復薬も、南の大陸の薬師は煮出しすぎなんだよね!


「あっ、緑色だったのが……薄い金色めいてきた」


 火からおろして、鑑定を掛ける!


「やったぁ! エリクサー(劣)ができたよ!」


 白猫(レオ)は、材料があるのだから当たり前だって態度だけど、エリクサーだよ! 興奮しちゃうじゃん!


 その後、竜の肝を使った上級回復薬(秀)を何本かと、ロイヤルゼリーを使った上級回復薬(優)を四十本ほど作った。


 エリクサー(劣)は二本できたんだよね。


「オークションに掛けたら、クラン費用の足しになるかも……」


「それは、取っておいた方が良い。オークションには、マジックバッグ小(劣)を出せば良いだろう」


 二つあるマジックバッグ小(劣)の一つを、ルシウスは『草原の風』に売りたいみたいなんだよね。


「マジックバッグ中を作れば、譲っても良いんだけど……『裁縫』『料理』の魔導書が出ないかな? ルシウスにも手伝って欲しいし、料理ができたら竜の肉もオークションに出さないんだけどさ」


 だって、凄く美味しかったんだもの。それに、米を食べたい!

『森亭』では、米は扱っていなかったんだよね! 残念!


「また、迷宮ダンジョンに潜れば良いだけだろう! まぁ、アレクに料理はできるかわからないがな」

 

 失礼な白猫(レオ)をぎゅっと抱きしめておこう。


 

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― 新着の感想 ―
マジックポーチや上級回復薬はぎりぎりとして、 エリクサーを入手するのもだが、作るのも、金持ちか地位持ちくらいなんだろうな、多分… 社会的な地盤や立場やが固まってないと、オークションであれ、堂々と売るの…
蘇り草、竜の肝、命の石 …おお!なんか異世界っぽい単語!waku 料理も裁縫も、出るといいね! …密談できないなあ…広い部屋か倉庫借りるか、アレクが防音結界をはるか…。 スレイプニル、宿ではどこにいる…
巨大蚊とデスビー位なら白猫と転移で狩りに行けそう。上級回復薬(優)でオークに備えなければね
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