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外伝8,家族の団欒

 本編にまだ出てきていないような、世界設定が……あれ? 出てこないような。

 ……うん、出てきませんね。

 今回はブラウザバック必要ないかも!

 





 ある日のこと。


「ふむ、はぁ、あぁだが……いや……そうだが……」



 サニー先生が徐に懐から取り出した魔道具で何やら会話をしている。

 以前劇場で見たことがあるような通信機型の魔道具に似ている。でもあの時みた魔道具より遥かに洗練された魔力の流れを有しているのがわかる。

 会話が続いていくうちにサニー先生の表情がどんどん歪んでいく。

 何かあったのだろうか。授業の途中だったので早く再開してほしいが、普段あんな表情をすることがない先生だからすごく気になる。



【ねぇクティ……何かあったのかな?】


「んーわかんない。でもサニーがあんな感じになるのは大抵無理難題を押し付けてくる頭のおかしなアイツを相手にしてる時だからー」


【頭のおかしなアイツ……?】


「わかった、わかったよ! いけばいいんだろう、行けば!」



 クティから返って来た言葉に不穏な何かを感じたところで、サニー先生の怒気を盛大に含んだ声音と共に通信は終わったようだ。



「どうだったのー?」


「あぁ……だめだ。あいつは言い出したらきかん。

 やらねばならんようだ。私とおまえでな」


「……がんばってねー」


「いや、おまえもだからな」


「……がんばってねー」


「おまえもだからな」


「がんば」


「おまえもだー!」



 何も聞こえないとばかりに耳をふさいでいたクティの頭に噛み付いたサニー先生だった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 翌日。

 暖かいというより暑いくらいの日差しの中でテオとエリーの訓練を見学している。

 今はパラソルの影のおかげで直射日光に晒されることは無いがそれでも暑い。

 普段より遥かに高い位置にいる自分はアレクに肩車をしてもらっている。

 アレクの髪の毛は結構剛毛でツンツンしているが、掴む分には申し分ない。アレク自身もしっかり掴まってろよー、と言っていたので遠慮なく掴ませてもらっている。


 普段は見ることの出来ない高さから兄姉2人の訓練を見つめるが、視点が高くなったかといって魔力しか見えない自分にはあまり意味が無かった。

 まぁアレクは楽しそうに肩車しているからよしとしよう。


 今現在妖精ズはこの屋敷にはいない。

 昨日の通信でなにやら1日留守にしなければいけなくなったのだ。緊急の案件だったようだがクティが言っていた無理難題だったようで、サニー先生は困り顔で渋々出かけていった。

 クティはというと最後まで抵抗して自分と離れることを嫌がったが、サニー先生の3段フェイントからの踵落としで昏倒して連れて行かれた。

 2人のスキンシップは大体いつものことなのであまり心配はしていないが、あの嫌がりようでは目を覚ましたときのクティの機嫌の悪さは酷いものになるんじゃないだろうか。



「よっと、リリアンヌ。ちゃんと掴まってるかー?」


「あい」



 こちらの体を揺すって位置を調整したアレクから再度の確認が来るので無難に返しておく。

 もう、ちょっとくらいなら言葉を返した程度では大騒ぎはおきない。

 なんとか両親もなれてくれたのだ。



「よーし、じゃぁお兄ちゃんたちがランニングに行くようだから俺達もついていくか!」


「はいはい、アレク。リリーちゃんにお帽子をかぶせないと」


「おっと、そうだったな。今日は日差しが強いからなー。ちゃんと帽子かぶらないと日射病になっちゃうな!」


「それにリリーちゃんの綺麗なお肌が真っ黒になっちゃうわ」


「少しくらい焼けた方が健康的だと思うけどなー」


「だめですよ。リリーちゃんは成長が早いといっても体はまだまだ赤ちゃんなんですから!」


「えー俺は日焼けしたリリアンヌもいいと思うんだけどなぁ」


「だめですよ。はい、リリーちゃんこれも着ましょうねぇ」



 クレアにつばの広い帽子と首元に大きなリボンのついた薄いコートを着せられる。

 夏場なのにコートというのもおかしな話だが、このコートは冷房の魔道具が内側に取り付けてあり暑いどころか実に涼しくていい感じだ。

 直射日光も遮ってくれるので日焼けの心配もない。


 そうこうしているうちにテオとエリーのランニングが始まる。

 それに合わせてアレクも動き出すと、暑い乾いた風が頬を撫でていく。

 帽子は顎紐で結んであるので飛ばされる心配もない。


 普段はこんなに早く動くことはできないので久しぶりに風を裂いて進む爽快感を感じることが出来た。


 アレクのちょうどいいスピードと振動。体に当たる風の感覚も心地よい。

 久しく感じることの出来なかった躍動感だ。


 思わず両手をアレクの髪から離して風を掴むが如く広げる。



「きゃあーう!」


「お! リリアンヌ楽しいか!」


「あい! とーしゃまもっとはあくー!」


「よしきた! いっくぞー!」



 催促に応えるように一気に加速するアレク。

 向かってくる風が強さを増してまるでジェットコースターのようだ。生前もジェットコースターは大好物だったのでものすごく楽しい。



「にゃはーい!」


「おらおらおらー!」


「お父様待ってー!」


「待ってください、お父様ー!」



 チラッと後ろを振り返ると、だいぶ引き離されたところにいる兄姉達が必死に追いつこうと頑張っていた。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 アレクコースターをたっぷりと堪能して戻ってくると今度はクレアの番だ。

 自分の期待にたっぷりと応えて戻ってきたアレクはかなり息を弾ませて今は椅子でぐったりとしている。

 結構な時間相当なスピードで走らせ続けたからなぁ。楽しかったけどちょっとやりすぎたかもしれない。

 なんせもっともっと、と言えば言うほどスピードが上がっていくのだ。言わざるを得ない。

 最後の方ではがっちりとアレクの頭をホールドして髪の毛をしっかり掴んでいないと振り飛ばされそうなほどのスピードだったが、超楽しかった。

 帽子がものすごい勢いで飛ばされそうだったけど、それはそれで楽しかった。

 やはり普段できない体験というのはテンションが非常に跳ね上がるものだ。



「ふふ……頑張りましたね、あなた。リリーちゃんも満足したみたいですよ」


「とーしゃま、ありあとー」


「お、おう……お父様に任せろぉ~」



 椅子でへばりながらもよろよろと手をあげて、サムズアップしてくるアレクにお礼を言ってにっこり微笑んであげる。

 アレクはこっちを見る余裕もない感じだったが、クレアとお婆様とエナは笑顔に気づいて目を輝かせている。



「もぉ~リリーちゃんは本当に可愛らしいわぁ……」


「えぇ……この笑顔を向けてもらえるだけでもどんなことでも出来るわねぇ~」


「リリー、じゃぁ次は私が肩車して走ってあげよっか?」



 エナが真剣な表情でそういってくるが、アレクで十分堪能したので遠慮しておいた。

 それに次はクレアの番らしいし。何をしてくれるんだろうか。



「さぁリリーちゃん、行くわよ~」



 そういってこちらを片手で抱きかかえているクレアの空いている手に持っている魔道具が活性化する。

 こちらのスカートの中央についているリボンの内側にあるポッケに魔道具を入れてボタンでしっかりと閉められると、なんと体が宙に浮き始めた。

 浮いたと同時に両手をクレアが掴んだので飛んでいってしまうようなことはなかったが、ぱたぱたとコートやスカートがはためき、行ったことはないが宇宙にでもいるかのようだ。



「ふふ……どうかしら。この日のために特注で頼んでいた浮遊魔道具よ」


「おー」



 ふよふよと浮いている自分の足をばたつかせるとちょっと足の方が浮き上がる。

 慌てて方向修正しようとするけれど、うまくいかずにさかさまになってしまった。

 それに合わせてクレアが見事に誘導して一回転を決める。

 そのまま回転して元の位置に戻ると今度は横回転するように誘導される。


 ふよふよふわふわした無重力空間でクレアに誘導されくるくる回る。

 普段は決して出来ない不思議体験にものすごくテンションがあがっていくのがわかる。無意識に大きな声を出してはしゃいでしまうほどだ。



「わーう! きゃはー!」


「はい、次は縦回転~」


「ひゃふー!」



 自分を誘導して楽しそうにくるくる回してくれるクレア。

 回したり、そのまま空中を滑るように移動させたり、無重力空間を目いっぱい楽しめるように誘導してくれる。


 しばらくするとテオとエリーも訓練から戻ってきてクレアと一緒に自分を誘導しはじめる。

 3人になった誘導手にまるでキャッチボールするかのようにふよふよふわふわ空間を縦横無尽に誘導される。


 しばらく空中遊泳を楽しんでいるとふいにポケットの魔道具から音がした。それはまるで亀裂が入ったかのような音。

 音がしたと同時に急激に家族達が遠ざかる。

 すぐに自分が急上昇していることがわかったがどうすることもできない。



「リリーちゃん!?」


「「リリー!」」


「いけない!」



 家族全員が慌てふためいた次の瞬間には柔らかい物に包まれていた。

 そして浮遊感は消失し、急速落下する感覚。すぐにそれも治まり地面に戻ってきたのがわかった。



「危なかったわ。リリーちゃん、何かした?」



 柔らかいいつもの感触でわかっていたがやはりお婆様だ。

 家族の見えた大きさからして結構高い位置まで行っていたと思うけど、さすがお婆様だ。

 お婆様の問いに身に覚えも無いので正直に首を左右に振る。



「リリーちゃん!」



 クレアの声と同時に家族全員が心配そうに集まってくるが、特に怪我もないし問題ない。

 お婆様からクレアに渡されて抱きしめられるが自分的にはお婆様とのフリーフォールも結構楽しかった。


 家族の心配をよそにまたやれないかなぁと思うのだった。



 後日クティとサニー先生に話したところ、魔道具が自分の魔力に耐え切れず亀裂が生じ暴走したのが原因だったとわかった。

 自分の魔力の量が規格外だったから起こったことらしい。

 改めて自分の魔力はすごいのだなぁとわかった出来事だった。



時速80kmで走る人間ジェットコースターと無重力空間体験でした。


だいぶ時間がたってしまったので忘れてる方もいるかと思いますが、ないがしろにされていた両親との団欒の一時です。

別にないがしろにはしてないですよ?

書かれていないところでスキンシップはとっています。

この話みたいな感じで。



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