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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第4章 2年目 後編 1歳
70/250

64,妖精達と日々



 

 両親が帰ってきてから2人は祖父母同様ベビールームに入り浸っている。

 別に悪いというわけではない。2人共心底楽しそうに自分を構ってくれるので悪い気はしないのだが、如何せん勉強の邪魔なことは言うまでもない。

 お婆様はこちらにその気のないときはある程度加減してくれるのだが両親はまだその辺がわかっていない。

 テオとエリーの時は構ってあげれば構ってあげた分だけ返って来たのだろう。2人分の育児経験があるわけだからそれを軸に自分の育児をするのはわかる。

 でも自分は兄姉とは違うのだ。特に今はサニー先生の難しい授業を理解しなければいけない大事な時なのだ。


 あまり構って欲しくない時はお婆様の膝の上に退避して過ごす。

 お婆様なら自分のことをわかってくれるので両親2人からの非難の声も無視して守ってくれる。

 サニー先生に出会うことがなければ、両親2人との親睦を深められる今の状況はむしろ歓迎すべきことだったろう。

 2人共仕事が忙しくてあまり自分との時間が取れなかったのだから。



「あぁん、お母様ずるいです! リリーちゃんを返して下さい!」


「そうですよ、お義母さん! リリーとの大事な触れ合いの時間なんですから!」


「だめですよ~。リリーちゃんも今はあまり構って欲しくないって言ってるんだから、ね~リリーちゃん」



 さすがお婆様だ、何も言ってないけどちゃんとわかってくれる。それに比べてこの2人は……まったく。



「で、でもでも、私達の休暇ももうすぐ終わりなんだから、今のうちにリリーちゃん成分を補給しないと……」


「リリー成分が枯渇したらもう生きていけないじゃないないですか!」


「テオとエリーの成分は補給しなくていいのかしら?」


「「当然補給します!」」



 一体何の成分を補給するつもりなのかは知らないが2人の声がぴったりとハモっている。

 クレアはテオとエリーがいない時はお婆様達に対してずいぶん子供のような口調になる。安心しきっているということだろう。


 ちなみに両親2人のリリアンヌ成分補給攻撃中でも、お婆様との奪い合いの最中でもサニー先生の授業はお構いなしに続いていく。この人のマイペースっぷりは何があろうと変わらないらしい。

 着いて行く身としてはかなりきつい。できることなら勉強に集中させてほしいものだ。

 自分の奪い合いが始まるとクティもそれに参加しようとするので、図解がなくなってしまうため難解な授業が更に難しくなってしまって理解が遅くなる。

 今は物理の授業のようなことをしている。魔術による事象は物理法則を理解してこそ、その応用範囲を広げることが出来るというのがサニー先生の見解。

 確かにその通りだと思う。授業の範囲も生前の高校の物理よりは優しい内容だったのがせめてもの救いだろう。

 だけど久しぶりにやる物理の授業は難しい物だ。自分の脳みそは生前に比べると遥かにマシなレベルだけど、決して天才などという部類のものではない。

 一度覚えたら忘れないなどということもなく、きちんと復習をしつつ授業を受けている。

 教科書もノートもない厳しい環境ではあるが、なんとか食らいついていってる。

 サニー先生はこちらが質問したり自己主張しなければとことんマイペースに授業を進めるので、放って置くと酷いことになるのでとにかくわからないことはすぐ聞かないといけないのだ。



 だからお願いだから、自分の取り合いはやめて授業に集中させてくださいーッ!







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 お婆様の物理的な説得により、なんとか自分の気のないときはあまり構わないという制約を取り付けることに成功した。

 お婆様は本当に何も言わなくてもわかってくれる。最高だ。


 今はアレクの膝の上でクレアとのイチャラブな過去を聞かされている。

 今でもイチャラブは変わらないと思うのだが、昔はもっと酷いイチャラブを繰り広げていたようだ。

 どうやらこの2人は小さい頃からの幼馴染というやつで、やはりエナはアレクの妹でもう1人を加えていつも4人でいたそうだ。

 何をするにも一緒。10歳になる頃には2人は婚約していたそうで、小さい頃から今に至るまでずっとラブラブだそうだ。

 両親のラブラブ話なんて正直いらないのだが、玩具や身体的に構うことを禁止されてしまったので自分語りをしているわけだ。

 こういう静かな構い方なら授業と平行して聞けるので助かる。


 話は両親2人のことからエナのことになり、素敵装備(ウサギミミ)のスカーレットさんのことに移る。

 どうやら彼女はメイドといっても特別な地位にいるようだ。

 エナが小さな頃から育てあげた彼女の専属で、自分にとってのニージャ達のような地位よりももっと高い地位にあるようだ。

 クリストフ家でのエナの地位は家族と同様。スカーレットさんは客人扱いということらしい。

 客人だが、エナの専属なのでメイドさんと同じようなこともしているらしい。

 クリストフ家の優秀なメイドさん達とも遜色ないくらいの技量を持ち、剣術――主に刺突剣技はアレクに匹敵するほどの実力者らしい。

 うちのお父様であるアレクは魔闘演団体戦の選手として選ばれるほどの実力者。それに匹敵するというのは相当な腕前ということなんだろう。



 是非とも彼女の耳をもふらせてほしかったのだが、それほどの実力者では無理やりというのはやはり厳しい。

 この屋敷のメイドさんは実力者ばかりのようで、もっと作戦を練らないといけないようだ。

 きっとハプニング的にもふりにいっても華麗に捌かれてしまうだろう。なんともイケズな話だ。



 スカーレットさんは現在もベビールームにはいない。部屋の外で常に待機しているそうだ。

 ちなみにニージャ以外の専属も交代で1人ずつ外で待機しているらしい。そして騎士団から2人が警備についている。

 その上テオとエリーにも専属が1人ずつついているそうなので、彼らがベビールームに来ていると外には計6人も常にいることになる。


 廊下は割りと広いのだろうが、さすがに6人では手狭ではないだろうか。

 ただ、専属が決まるまでは彼らの専属メイドと言えど自分に近づくことは禁止されていたようで、外に出る時は常に自分の視界外に気配を殺して控えていたらしい。



 そう教えられるとそういえば居たような居ないような……隠密能力がすごすぎてわからなかった……。

 本当にこの屋敷のメイドさんの技量は並ではない。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 数日両親が入り浸る日々が続く。

 どうやら魔闘演の優秀な成績によるご褒美で特別休暇を得ているそうだ。



「王様にね~個人戦の優勝の褒美に何か欲しい物はないかって言われてねぇ~。

 王宮の人達には悪いと思ったんだけど、リリーちゃん達との憩いの一時を貰ったのよ~」


「オレにも褒美が出てな、やっぱり思うことは一緒だったってわけだ、うりうりー」



 頬を両手でうにうにされながら楽しそうに話してくれた。

 両親揃って思うことは同じで子供達と一緒にいられる時間が何ものにも代えることの出来ないご褒美のようだ。



 うん、タイミングすっげー悪い!

 せめて授業が始まる前か、終わってからにしてほしかった!

 授業が終わる気は全然しないけど……。



「やっぱり、子供達3人に囲まれていると幸せだなぁ」


「ふふ……本当ねぇ~もう幸せすぎてお仕事なんてやめたぁ~い」


「まったく同感だなぁオレ達はもう十分働いたんじゃないか? なぁ?」


「そうよねぇ~もういいんじゃないかしら~」



 何やら駄目人間一直線になってきたぞこの2人。

 デレデレな顔で兄姉を両手に侍らせているおとーさまと、これまた蕩けた笑顔で膝の上の自分を抱きしめて左右に揺れているおかーさま。

 数日の入りびたりでどうやら成分吸収がメーターを振り切ってしまったようだ。

 恐るべき子供成分。


 だが、そんな駄目人間な日々はそう長く続くわけもなく。

 8の月になると2人共仕方なく仕事へ向かっていった。

 テオとエリーの夏休みも終わり、ベビールームにはうるさいくらいに騒がしかった日々は欠片も見えない。


 今いるのはエナとお婆様とニージャと妖精ズだけだ。

 人口比率も一気に半分になり、元々静かなエナとお婆様にニージャということもありサニー先生とクティの授業の声だけが静かな部屋を満たしている。

 おかげで十分に集中して知識を深めることができる。


 8の月の中ごろには部屋に入る専属がニージャからラクリアに代わるらしい。

 少しずつ時間をかけて慣れさせるそうだ。

 そんなに時間をかける必要はないのだが、両親が決めたことなのでもちろん従う。拒否する理由も権利もないのだし。

 ラクリアは真面目そうな、スカーレットさんと同じ素敵装備(ウサギミミ)のお方だ。あの人はニージャと比べると流れる魔力の質から見ても劣っている。

 それでもクリストフ家のメイドだから早々簡単にはもふらせてはくれないだろう。



 ミラなら出来そうなんだけどなぁ……。

 ミラの部屋入りはいつになるんだろうか。多分最後なんだろうなぁ。残念すぎる。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 8の月もそろそろ終盤。

 ラクリアがベビールームに居るのもあっさり慣れた。

 やはり、1人1人が時間をかける必要なんてないようだ。でもそんなことは自分しか知らないこと。お婆様にちょっと言ってみようかと思うが、なかなかタイミングが計れない。


 最近ではトイレトレーニングの勝率もずいぶん上がってきている。

 尿意便意を催しても大体7割くらいは我慢に成功している。ずいぶん成長したものだ。

 この調子で勝率10割を目指したいところである。



 相変わらず難しい授業をクティの助けも借りて全力で駆け抜けるように過ごす。

 サニー先生の授業を受け初めてそろそろ1ヶ月経過する。

 その間に得た知識は1ヶ月前とは比べ物にならないほどの量だ。

 だが、まだまだ魔術を扱うには足りない。



 あの時に誓った並大抵ではない努力は、実際目の当たりにすると途方もない巨大な壁のような存在だと実感することができる。

 まだまだ自分はこの壁を登り始めたばかりなのだ。


 さぁ、今日も授業が始まる。




ここから時間がどんどん進んでいきます。

キングクリムゾン炸裂ですが、思ったよりは飛びません。


外伝の内容も若干出てきますが、基本的に本編は本編。

外伝は本編の補足部分もちょろっとありますが、本編は外伝の情報を無視していきます。

つまり、外伝で出てきた情報も本編で再度出てくるということです。稀ですが。



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