54,魔闘演3日目のちリリアンヌ先生の次回作にごk
翌日。魔闘演3日目の競技は演舞。
3日目は魔闘演の最終日だ。4年に1度4カ国から猛者が集まり競い合う大イベントは3日間で終わる。
この3日間は開催国の経済収益が通常の40倍以上に跳ね上がるほどの賑わいを見せるそうだ。
魔闘演が開かれる会場自体の収容人数が約8万人。
生前の自分の国の首都が置かれていた野球等が行われていたドームの収容人数が5万5千人程度だったのを考えると、かなりの広さということになる。
しかもこの会場には立ち見客まで出るほどに人が集まるようだ。最終的な収容人数は8万人では利かず、かなりの数になる。
そしてオーベント王国には銀の眼があり、各所でこの魔道具を使って会場の映像を映し出すことにより、会場に直接足を運べない者達も楽しむことが出来る。
また、4カ国から大量の魔闘演観戦者や祭りを楽しむために観光に来る人などが数多く集まってくる。もちろんそれらを対象に商売をしようとする人も多いため、人はより多くなり規模がどんどんと大きくなる
魔闘演は3日間という短い期間でも大きな盛り上がりを見せる。
実際の魔闘演は3日間でも開始1ヶ月前からこのお祭り状態は続き、終了後も数日は同じ状態が続く。
その経済収益は国家予算に匹敵するほどの規模に膨れ上がるほどだ。
開催国がオーベントだからということはない。各国での開催でも似たような状況になり、魔闘演が齎す経済効果は凄まじいの一言だ。
お婆様の解説を要約するとこんな感じだ。
今日も劇場に足を運んでいる。もちろん魔闘演最終日の競技を見るためだ。
魔闘演最終日競技――演舞は技や魔術の美しさを競い合う競技。
最終日に相応しい優美さと華麗さ、有終の美を飾るという意味でも見ごたえのある競技らしい。
だが自分は見れないので、今日はあまり楽しめないかもしれないとのこと。
この競技は基本的に派手さは控えめで、技や魔術をゆったりとした動きで行うのが通例。
会場も1日目と2日目と比べると静まり返った中で行われるというほどだ。
これでは自分に楽しめというのは難しい。
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本日の装いは一言で言うと正装だ。
最終日だからだろう。全員がきちんと正装している。
自分の服装は、腰からふっくらと膨らんだラインが独特で個性的なバルーンスカート。
スカートにはパニエが使用してあり、しっかりと形を保つように作られている。形状を保つためのパニエは基本的に重量があるはずなのだが、このドレスはそんな重量を感じない。
異世界の素材でも使用されているのかもしれない。
ウエストのロングベルトとコサージュが可愛らしさと豪華さをさり気無く演出している。
スカートのラインとロングベルトにインパクトがあり、装飾などはほとんど必要がないドレスだ。
頭部には最近少し長くなってきた髪をまとめて、大きなリボンをつけられている。
ちょっとだけ大人っぽい感じのドレスに、大きなリボンが愛らしさを演出している。
エリーは色違いでコサージュの位置が逆になっている、いつも通りのお揃いだ。
2人並ぶと色違いのドレスとリボンで、それぞれをうまく際立たせているそうだ。
そう言われて色違いだとわかった。
大人組みの2人もエレガントだ。
エナは中ミニスタイルのシフォンドレス。シフォンスカートは腰元から大きくその美脚を惜しげもなく晒している。中にミニスカートを着用し、スリットの入ったそこから覗くエナの美脚はより一層引き立っている。
胸元にあしらわれた花のモチーフがワンポイントとなり、セクシーさと可愛らしさを両立させている。
背中を見れば編み上げ仕様でその部分が透けて見え、より一層セクシーだ。
珍しくつけているネックレスは魔力の流動が見える。どうやら魔道具のようだ。だが、これもエナの美しさを際立たせる演出の一端を担っている。
一言で言うならセクシーお姉さま。
正装するエナは普段とは違ったセクシーさが、多分に溢れ出している。こんな格好してパーティなどにいったら男共は放っておかないだろう。
アンネーラお婆様はというと、ホルターネックのラッフルドレス。
3段ティアードのスカートでウエスト高め。ウエスト部分に巻かれたリボンはワンポイントになっている。
膝上スカートなので覗く細い足は魔力の流動が他の人にはまったく見られない動きをしている。
足が出るようなドレスを綺麗に見せるための魔力の流れでもあるのだろうか。お婆様の脚線美はついつい目がいってしまうほどの美しさだ。
ストールを羽織っていて上品さも醸し出している。
でも全体的に見て若々しいそのドレス姿は……お婆様歳を考えてくださいと突っ込みを入れたくなる……が、残念ながら似合いまくっているので仕方ない。
男性陣2人は……やっぱり面白みのない軍服だった。
特に何もコメントがないので割愛……は可哀想なので簡単に。
ローランドお爺様はごってごての勲章が大量についた幹部服のような軍服。
テオは少年らしさを前面に押し出した、勲章が1つだけついた軍服というよりは、騎士服だろうか。
鎧をつけないで登城するような時に着るタイプの服に見える。
キリっとしている時のテオは本当に絵になる格好良い子なので、その仕草はまさに少年騎士といった佇まいだ。
まぁ、着替えた自分を見た瞬間にそんな顔は一瞬でどっかに行ってしまったのだけど。
いつものことなので、最早気にしてはいけない。
今日はエリーがテオのお腹にアンネーラお婆様から習っている一撃を与えて再起動させると、皆で連れ立って劇場へと足を運んだ。
もちろん自分はお婆様の腕の中。パニエのドレスがちょっと邪魔みたいだったけどうまい具合に自分を抱えている。
いつものようにゆっくりと劇場へ。
2日目と同様に使用人達は今か今かと銀の眼を見つめながらワイワイ話し合っている。
映像が見れない身としては残念だが、皆の楽しみにしている顔を見ていると自分も楽しくなってくるから不思議だ。
演舞はトーナメントではなく、順に1度だけ壇上に上がる採点方式だ。
3人まで1チームとして登録可能で、順番にチームごとに演舞を行っていく。
技術、魔術、それらの全ての動作。それらが採点対象だ。得点は最後に発表されるらしい。全ての参加者が全力を出せるようにとの配慮らしい。
我らが両親――クレアとアレクは2人で登録している。
クレアはこれで個人戦、団体戦、演舞と全種目エントリーだ。
しかも個人、団体両方で優勝している。演舞も優勝すれば3冠達成ということになる。
だが、お婆様の話ではそれは難しいらしい。
前大会も3種目全てエントリーしたが、結果は個人は制覇したが、団体は惨敗。
演舞は当時32チームがエントリーし、17位という結果に終わっている。
今大会では演舞にエントリーしているチームは、31チーム。
演舞は15リンの持ち時間を与えられ、その中で自由に演舞を行う。
審査員は4カ国から選りすぐられた者が行うため、公正は期されている。
さっそく1チーム目の演舞が始まったようだ。
水を打ったように静まり返った劇場内。会場も同様だ。
銀の眼から静かな足運びと金属が高速で動く音。魔術の微かな音しかしない。
わかってはいたが……音しか聞けない自分にはまったくわからない世界だ。
15リンという時間はあっという間に過ぎた。
終了したあとに劇場にも会場にも歓声が響くが、自分の小さな口からは溜め息しかでなかった。
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トイレトレーニングはうんちとおしっこをオマルで数回した程度だ。
尿意や便意を感じて我慢して、というわけではない。ある程度時間が経ったらオマルに座らせてさせるといった感じに練習がてら行っている。
実際してみるとわかるが、このオマルは高性能だ。
やはり貼り付けてある物は魔道具だったようで、汚物の匂いを完全にシャットアウトしてくれる優れものだ。
音はどうしようもないので、オマルに跨る前にみんな部屋の外に出てくれる。エナとアンネーラお婆様はお手伝いなので残るけど。
オムツにするのと、見られながらするのではやはり違う。羞恥心はだいぶ薄れていたもののそれでも見られていると恥ずかしい。
久しく感じなかった感覚にちょっと戸惑ったけど、これも慣れる必要があるのかと我慢した。
幼児の自分にはまだそういったモノに抗う権利はないのだ。
ちなみに、見られているという言い方は適切ではないかもしれない。
" 応援されている " が正しい。踏ん張っていると頑張れ! 頑張れ! といった具合に。
そのおかげだろう……羞恥心がぶり返したのは!
オマルでうんちする。幼児のトイレトレーニングとして間違ってない。応援するのも間違ってない。
だがしかしだ……だがしかし……自分の精神年齢は31歳と半分なんだよーッ!
判ってくれる人はいないけれど、心の中で叫ばずにはいられなかった。
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あまりにも楽しめない今日は、ずっと果実水をちょぴちょぴ飲みながらぼーっとする他なかった。
せめてトイレトレーニングの足しにするために、果実水を飲むくらいが関の山なのだ。
演舞は進み、両親2人の番になると階下からも緊張が伝わってくる。
ボックス席の全員も真剣な表情で銀の眼を見ている。
重い金属を振るい、空を裂く鋭い音。魔術と思われる物の発生音が幾重にも重なり、それを切り裂くかのような音が何重にも響く。
まるで歌うかのように、音と音が重なり多重奏を繰り広げていく。
最後の最後に一昨日聞いた嵐のような焔の音と、何かを凄まじい勢いで貫く音。
会場の歓声を掻き消すほどの大歓声が劇場を揺らし、ボックス席のテオとエリーとエナはスタンディングオベーションだ。お婆様は自分を抱きしめてその微笑を絶やさない顔をさらに華やかにしている。お爺様は腕を組んで、うんうん言っている。
みんなの行動から察するに、素晴らしい出来だったのだろう。
後から聞いた話では、両親の演舞は音を全ての動きで大きく出すために色んな工夫がなされていたようだ。全ては、見れないけれど音だけは聞かせてあげられるようにと。
そんな両親の気遣いも嬉しかったが、それ以上に見れなかったのが悲しい。
この3日間で何度思ったことだろうか……。
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お昼を挟んであまりにも退屈だったのでお昼寝もたっぷりして戻ると、全出場者の演舞が終わり得点が発表されていた。
結果として、両親チームは7位という微妙な順位だった。
スタンディングオベーションものだったにしては奮わなかった順位だ。
階下の使用人達の大歓声は、自身の雇い主であるところも大いにあったのだろう。
お婆様とお爺様はその順位に特に感想もなかった。妥当な順位と思っているのかもしれない。2人だけ割りと大人しめな反応だったし。
その後は閉幕式やら何やらあった。
偉そうな威厳のある人が何か長い話をしていたけど、途中で催したのでエナにゲストルームにダッシュしてもらった。
膀胱に力を入れるのは危険。ではどうすれば我慢できるだろうか?
腹筋に力を入れても危険。お尻の穴を締める感じに力を入れてみるのはどうだろうか?
やった後気づいた。あ、これって結局膀胱に近い!
あー……。
結局この3日間では一度たりとも間に合うことはなかった。
トイレトレーニングはまだまだ始まったばかりだ。
おれたちのたたかいはこれからだ!
こうして長かった魔闘演の全工程は無事終了した。
魔闘演終わりました。
ダイジェスト気味で駆け足で、いそいそとやってみましたがいかがでしたか?
もうちょっと掘り下げて欲しかったら、外伝で出してもいいですが今のところ予定はありません。
尚、次は3章エピローグです。
ご意見ご感想お待ちしております。
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