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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第10章 4年目 後編 3歳
209/250

183,愉悦のリリアンヌ



 クリストフ家の誕生日ラッシュもひと段落……と思うだろうが実はまだ残っている。

 そう自分のだ。

 誕生日を迎えたら4歳になるわけだが、まだ1ヵ月以上日がある。

 今度は自分の誕生日なので兄姉達とああでもないこうでもないとプレゼントを決める必要も練習する必要もない。

 どん、と構えて楽しめばいいのだ。


 というわけで忙しかった誕生日ラッシュから開放されてレキ君ルームでいつものように妖精ズとレキ君とのんびり魔術開発をしている。

 でも魔術開発ばかりしているわけでは当然ない。

 休憩もしっかりとっているし、その休憩中にレキ君とクティの白熱したゲームバトルを眺めたりしている。もちろん参加もしてるけど。


 休憩時間なのだから休憩しなければいけないというわけでは決してない。

 頭の休憩程度なので何をしていても問題ない。

 むしろレキ君とクティを見ているだけで和んで実に癒しになる。

 たまにどこの前歯ゲーム小僧だと思うような派手なパフォーマンスと共に繰り出されるあまり意味のない秘技を聞き流しながら休憩を楽しんでいる。



「水魚のポーズから炎のコマプラス月面宙返りーッ!」


「わふん!」



 水魚のポーズで精神集中して心の目を開いたクティが魔力で構築した前歯をしならせながらクルクル回り月面宙返りを決め、コントローラーを叩いている。

 背景には宇宙のような煌く星々の情景に超新星爆発のような星の命の煌きが見える。


 しかしレキ君はこれをこともなげに切り返して勝敗は決した。

 がっくりと四つんばいで項垂れるクティだがいつものことなので気にしてはいけない。

 勝負とは非情なものなのだ。



「ちくしょう! ちくしょう! あと1歩! あと1歩というところで!」


「わふ?(4歩くらい足りなかったと思うよ?)」



 ゲーム中はさすがに書いている余裕のないレキ君だがゲームが終われば異様に器用なその前足で綺麗な文字を描き出す。

 未だに自分はあの綺麗さには追いつけない。

 ミミズののたくった字は脱したがまだまだ子供の書いた字でしかない。

 どうも体を動かす分野は非常に苦手だ。

 しかしこれは仕方ないことだといえる。まだ自分は4歳にも満たない幼女なのだ。そう、これは仕方ないことなのだ。



「むぅぅうぅ……。あ、そうだ。リリー、今日は専属達へのご褒美の日じゃないの?」


【え? あー……。そういえばそうだったね。

 もふもふ成分はレキ君で結構充実しちゃってるから不足しなくてうっかり忘れてた。

 ありがとうね、クティ】


「いいってことさー。

 まぁエーテル結晶体を生成できるようになってからなんだかレキの毛並みもパワーアップしてるからねぇ~。

 私も結構これ好きだよ~」


「わふふん」


【ふふ……。レキ君の自慢だものね。私も毎日ふわふわのわっさわさのもっふもふが楽しめて幸せだよ】


「わふふふふん!」



 先ほどまでは悔しがっていたクティだったが、ゲームはゲームなのでクティは尾を引かない。

 きちんと切り替えができるクティはさすがに大人だ。……大人だ、たぶん。


 そんなクティと自分に褒められてレキ君の鼻は天狗のそそり立つアレよりも高々と伸びていく。

 でも君のその自慢の鼻は毎日自分の手によってへし折られているのだ。

 昔と違って気絶しない絶妙な加減で毎日レキ君の体力が尽きるまでじっくりねっぷり揉み解してあげているのにまったく懲りる気配がない。

 きっとレキ君は都合の悪いことはすべて忘れてしまうのだろう。レキ君の頭には毎日楽しい事しか残らないんだ。



「リリー、ラクリアがそわそわしてて見てて可哀想な感じだよ~?」


【ラクリア達も私の採点基準に気づき始めてたからねぇ~。そろそろじゃないかと思ってそわそわしちゃうんだろうね。

 毎日やってるレキ君でも全然慣れないのに彼女達には月1かそこからだからね】


「うんうん……。アレは……その……なんていうか……その……」



 クティがもじもじしながら俯きつつもチラチラ、とこちらを見てくる。

 まぁわからないでもない。

 彼女たちの乱れっぷりは普段とのギャップもあってそれはもうすごい。

 いつもトイレでやっているので声や音が漏れないように必死で我慢している彼女たちだが、それでもどうしても耐えられない。

 当然魔術で防音しているのでそんな音が漏れることは一切ないけど、それは彼女たちは知らないことだ。



【ふふ……。じゃあ行ってくるね。サニー先生あとはよろしくお願いします】


「うむ。任せておけ」


「よっし、じゃあレキ! もう1戦だ! 次はぼこしてやる! ぼこしてやるぞおおぉぉ!」


「わふー(いてらん~)」


【いってきます】



 展開している幻術空間と自分の動きだけを同期して違和感なく幻術空間から抜け出すと、表面上は何もなく普段どおりにしているラクリアに近づいていく。

 自分が近づいてくるのに気づいてラクリアの魔力の流れはもうすごいことになっている。

 期待と興奮でぐちゃぐちゃだけど、ソレを表情や態度に出すことは一切ない。

 この辺はさすがはクリストフ家のメイドといえるだろう。1流の使用人でもあのもふもふを味わってしまえば今からソレが味わえるという状況で表情や態度に出すな、というのは難しい。



「らくりあ~」


「はい、お嬢様」


「おといれ~いっしょいこ~」


「はい、畏まりました」



 彼女の案内の元レキ君ルームにある巨大なトイレに向かう。

 巨大といってもクリストフ家のトイレはどこも巨大だ。

 とはいっても便器が大きいわけではなく部屋が住めてしまうレベルで広いだけだ。

 ほかの部屋はもっと広いので総合的に見ればそうでもないのだがやっぱり広い。

 でもこの辺の広さは魔力以外は見れない自分の目では確かめづらい事だ。

 サニー先生の作ってくれた例の屋敷の環境設定で判明したことだが、レキ君ルームのトイレには魔片製の家具が随所に置かれているので広さを実感しやすい。



「お、お嬢様、あ、あの……。今日は……その……」


「あい、らくりあはがんばりましたー」


「はい! よろしくお願いします!」



 先ほどのクティよりももっと恥ずかしそうにもじもじ話すラクリアにご褒美をあげることを伝えればその顔は恥じらいが吹き飛び、一気に幸せと興奮で満たされる。

 トイレの部屋の中に入ってしまえばお婆様やエナの目もないので、乱れに乱れる姿を余すところなく見せてしまっている自分にはもはや取り繕う必要性などあまりない。

 それでもやはり自分とラクリアの間には主従という壁が立ちはだかっているのでその辺はきちんと弁えている。



 高さのあまりない魔片製の机にいつものようにお尻を突き出すようにして這い蹲り、スカートをたくし上げる。

 いつぞやのラクリアの短い尻尾が露出する変形スカートではない。それは完全に体のラインを隠してしまうロングスカートだ。

 ソレを自ら、羞恥と興奮と共にたくしあげる姿は実に……。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 ラクリアの嬌声はいつも以上にトイレの中に響き渡り、防音の魔術を展開していなければ大事件に発展することはまず間違いないほどだった。


 短いが至宝といえる尻尾さまをたっぷりとねっぷりと味わい尽くし、彼女の長い2本の耳がしわしわになるまで舐り尽くした結果、部屋の中はすごいことになった。

 床は言わずもがな、ラクリアのアレでひどいことになっていたし匂いもすごい。

 甘ったるくてちょっとすっぱい、くらくらするような匂いで満たされていて中で何があったのか丸わかりの状態だ。


 でも証拠の隠滅なんてものはいつものことなので問題ない。


 とても便利な魔術達で証拠をさくっと隠滅し、ラクリアも綺麗にしてあげる。

 綺麗になったラクリアはそれはそれはもう幸せそうな顔で気を失っている。これもいつものことだから別段問題もない。

 肌艶も非常によくなり、魔力の流れもいつも以上にスムーズで実に綺麗だ。


 彼女たちに自分の魔力が溜まり、魔力溜まりとなることはない。

 もふもふに使われる魔力は彼女たちの魔力の流れを少し拡張する程度で全身の隅々にまで行き渡り活性化させる。

 注がれた魔力のすべてを活性化に使用し続けるので魔力が溜まり、結晶化するなどないのだ。


 やはりレキ君は特別ということだ。

 レキ君のように幼いころから自分の魔力を受け続けて成長しなければ迷宮化などありえないのだ。

 もちろんそれだけではない。

 サニー先生の推測でもレキ君という存在がなければこうはならなかったはずだ、と出ている。



 魔力の監視をしつつ、体中に魔力が均等に分散し活性化し続けるように配分しているがまだ100%確実に安全とは言い切れないので念のためだ。


 今のところ問題はない。

 むしろ体調的には絶好調を通り越して最高潮なくらいだろう。

 この状態はあと2巡り(週間)くらいは続くだろう。

 分散された魔力の配分量、魔力の流れのスムーズさ、ラクリアの総合的な状態から判断して大体そのくらいになる。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 レキ君とはまた違った至宝によってだいぶ英気も養われた。

 やっぱり毎日レキ君ではちょっと飽きるのかもしれない。どんなにすばらしいご馳走でも毎日では不満が出るのだ。



 今日のラクリアを見て残りの専属達は今まで以上に躍起になってポイントを稼ごうとするだろう。

 彼女たちへのご褒美もそう遠くない日にやってくる。

 それまではレキ君というご馳走を食べに食べて食べつくそう。

 ラクリアというまた違ったご馳走を食べた後ならレキ君というご馳走もまた違った味わいになる。



 ……ぐふふ。



 仄かに甘い香りの漂う幸せそうなラクリアの寝顔とは違った微笑を湛えて、しばしこれからの事に思いを馳せるのだった。




大満足のラクリアさんでした。

もふりすとのリリーでもレキ君というご馳走を毎日食べていると月1くらいの専属達をうっかり忘れてしまいます。

そのくせ専属達をつまみ食いするとレキ君のは飽きてたかも、とのたまいます。


人間の欲望って恐ろしいですね!


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