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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第9章 4年目 中編 3歳
181/250

159,智の戦略



 レキ君ルームに着くとさっそくレキ君が寄ってくる。

 レキ君の行動を縛っていた鎖はもうない。ちなみに首輪はつけているけれど隷属の首輪でもない。



「わぅ~ん」


「れきくぅ~ん」


「わふっ」



 舌を出して犬のようにハッハッと息をしながら近寄ってきたレキ君がすぐに伏せの体勢を取ってその大きな背中の上に乗せてもらう。

 レキ君の背中はとても大きい。大人が数人乗ってもまだ余裕があるくらいに大きいのに自分だけが独り占めできる。

 柔らかい毛に顔を埋めればそれだけで眠ってしまいそうになるくらいに気持ちがいい。


 ぐりぐりとレキ君の心地よい毛に頬を何度も擦り付けて堪能している間にレキ君は定位置に移動を完了している。

 いつものレキ君ルームの真ん中辺りに到着するとすぐに魔術を起動させていつもの空間を作り出す。


 お婆様とエナはいつものように少し距離を置いてお茶の時間のようだ。



【幻術空間の設置完了です。

 クティ、お願いね】


「お任せアーレ! ほほいのほーい!」



 クティがクティパッドの術式を展開し、4人分のクティパッドに精霊力を注ぎ込む。

 待ってましたとばかりにその1つにレキ君が飛びつくがその背中の自分には一切振動や衝撃を与えない身のこなしは流石の一言だ。


 自分用のクティパッドを受け取って今日の更新分の大きな点をクティから説明される。

 そのほとんどがサニー先生の要望だったけれど自分の出した要望もきちんと反映されている。


 今日はそれを授業の合間に使って遊び道具を作ろうと思う。

 でもまずは授業だ。



「よし、ではファイルNo,569を開きたまえ」


【はい、先生】


「ほいほーい」



 サニー先生は凄まじい速度でクティパッドを使いこなし、授業に必要な資料のほとんどをクティパッド上で扱えるようにしている。

 教科書というよりは完全に参考資料だ。

 サニー先生の口頭授業をそのまま資料にしただけなので仕方ないとはいえ、ないよりはあった方が断然いい。


 共有タイプの外部記憶装置を使い、同じファイルを3人で開き授業が始まる。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









【はい、これで私の勝ちですね】


「わぅぅぅぅぅ(ぬぐぐ)」


「はいはい! 次は私! 私!」


【じゃあ、はい、クティ】


「ひゃっほーい! 叩きのめしてやるぜぇ、いぬっころぉ!」


「わう!(こっちのセリフだい!)」



 会議用共有スペースを改良して作られた機能――汎用共有スペースではレキ君とクティの戦いが始まろうとしている。

 開始時に振られた6面ダイスにより、クティの先行で始まり2人ともほとんどノータイムでどんどん打っていく。


 レキ君は野生? の勘で、クティは妖精の勘で長考という言葉は知らないとばかりにどんどん局面は進んでいき、すぐに戦いは終了した。



「わふーん!(かったー!)」


「ぬがー! 負けたー! くそぅ! くそぅ!

 あの時右上さえ取られなければー!」



 空中で地団太を踏んで悔しがっているクティにレキ君が鼻高々に誇らしげにしている。

 勝者と敗者。明確すぎるほどに対称的だ。



「しかし君の考えたこの遊戯はなかなかどうしてシンプルなのに奥が深く、面白いな。

 次は私の番だな」


【お相手します】


「うむ。お手柔らかにな」


【遊びでも全力ですよ?】


「言うじゃないか。今まで私がただ見ていただけと思っているのかね?」


【ふふ……。楽しみです】



 サニー先生の不敵な笑みに答えるように開始のダイスロールを行う。

 先手はこちらだ。

 ゆっくりと静かに始まった盤面では局面が進むにつれて自分の色が数を増していく。



「ぬ……」


【これで角は頂きです】



 素直な手を打ちながらも裏では角取りのための誘導を絶えず行い、局面も終盤というところで角を1つ取る事が出来た。

 だが終盤のこのタイミングでの角取りはチェックメイトに等しい。

 サニー先生もそれに気づいたからこそ悔しそうな声を漏らしたのだ。


 さらに数手進み、角の内側を押さえる挽回策を取らすことなく4隅全てを押さえた自分が勝利を納めた。

 最終的には圧勝といっていいほどだ。



「むぅぅぅ……。や、やるじゃないか……。だがしかしその戦法はもう通じないぞ!

 本当だぞ!」


【じゃあ次は違う戦法を使いますね】


「な、なんだと!? まだあるのか!?」


【私のリバーシ必勝法は128手ありますよ!】


「「な、なんだってー!?」」


「わばばばば(な、なんだってー!?)」



 2人と1匹揃って驚愕しているのが面白い。

 もうお分かりだと思うが自分達がやっている遊戯はリバーシだ。

 白と黒に分かれて挟み込んだら自分の色になるという非常にシンプルで奥深い遊戯。


 レキ君が簡単にルールを覚えられて、尚且つ楽しく遊べる。

 そして戦略的思考も養えるといい事尽くめ。


 何よりも魔術シミュレート機能の中にある環境設定機能からヒントを得て作り出したプログラム言語――ティト言語で作るにはちょうどよかった。

 今まではクティだけがクティパッドの新機能を実装できていたが、このティト言語を扱えるフィールド上ならば仮想空間としてクティパッドをエミュレートできる。


 更に完成したプログラムをクティが丸ごとクティパッドに移植も出来るという優れもの。



「わふわふ!(次はボクとサニーだよ!)」


「よかろう! 相手になってやろうではないか!」


「わふっ!(クティに勝てるボクに勝てるかな!?)」


「舐めるなよ、レキ!」



 最近ではレキ君の文字表示機能に感情表現機能として様々なオプションが付くようになっている。

 ボタン式で押せばすぐに反映される機能だがレキ君は主に文字を書いた後に使っている。

 例えば今みたいに不敵なセリフの時は鼻息荒いレキ君のボタンを押せば文字表示用のウィンドウの上にちょこんと座っているレキ君が鼻息をぶふー、と吐いたりする。

 もちろんレキ君本人も同じようにぶふー、と吐いている。


 端から見ていると可愛らしいのだが、やられている本人はイラッとくる。

 その証拠にいつも……いや、大体……いや、ある程度冷静なサニー先生も本気モードだ。


 クティも彼らの戦いから盗める戦法は全部盗むつもりなのか自分のクティパッドの汎用共有スペースを凝視している。



 お試しで作ったリバーシがこんなにも受けるとは思っていなかったので素直に嬉しい。でも次は違う趣向のゲームも作ってみよう。


 リバーシのような盤面遊戯もいいけど、簡単なブロック崩し風テニスもこの調子なら白熱するかもしれない。

 まだティト言語も出来たばかりで複雑なプログラムを組むには時間がかかるのでちょこちょこ作っていこう。



「わぶぶぶぶ(そんなばかなー!)」


「はーっはっはっは!」


「うわぁ……大人気ない……」



 何やら勝負が始まって間もないのにもう決着がついたようだ。

 どれどれと盤面を覗いて見ると全部の駒が1色になっている。確かにこれは大人気ない。

 というかレキ君は野生の勘に任せて打ちすぎだろう。そんなことだからこんな大惨事になるのだ。

 もうちょっとレキ君は戦略面での思考を鍛えたほうがいい。




 そしてサニー先生……。



【ほんとに大人気ない……】


「はーっはっはっは!」



 そんなに自分に負けたのが悔しかったのだろうか。

 気分は最高といった具合の先生の高笑いは次の勝負をクティが申し込むまで続くのであった。



 ちなみにこの勝負は接戦でクティの勝利だった。

 またサニー先生がレキ君で憂さ晴らしをしたのは言うまでもない。



異世界で主人公が作るゲームといえばリバーシ。

テンプレ踏襲ではありますが、遊ぶ土台が違いすぎます。

ティト言語はJavaとC言語を合わせてhtmlで割った感じです。

でもまだまだ作られたばかりなので複雑なプログラムは組みづらいです。


気に入っていただけたら評価をして頂けると嬉しいです。

ご意見ご感想お待ちしております。

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