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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第8章 4年目 前編 3歳
165/250

146,魔術 of X日メイド




「では行って来る」


【道中お気をつけて、いってらっしゃいませ】


「なぜメイドモードなのだ?」


【ちょうどよくメイド服を着ているからでしょうか?】


「う、うむ……まぁいいか」



 魔力を未だ吸収しようとするレキ君から取れた魔石に何重にも防御結界の魔術を施し、持ち運びを可能としたものを持ってサニー先生が振り返ることなく遠ざかっていく。

 結局あの魔石は現状の設備も何も無い状態では解析不能ということで世界の隣の森の研究所に持っていく事になった。

 クティは無意識領域で魔術を製作中なので一切コンタクトが取れないが、次元間通信魔術は軽量版ならサニー先生も扱えるので問題なく連絡は取れた。


 予定では2巡り(週間)程度で戻ってくる予定だ。

 クティの魔術の完成予定もそのくらい。


 クティは無意識領域に入ってしまっている上にかつて無いほどのやる気のために完成するまで出てこないだろうというのがサニー先生の結論だ。

 かなり寂しいけれど、予め魔術を展開しておいたようで常に自分を追尾してくる。

 常に神々しいポーズで自分の近くを漂っているので寂しくなったら眺めればいい。

 まったく会えなかった時と比べればまだ大分マシだ。

 それに今クティはレキ君達のために頑張ってくれているのだ。自分の気持ちを押し付けてはいけない。



 肝心のレキ君はというと、もふもふで使う圧縮魔力を弱めて魔力があまりレキ君に溜まらないようにしている。

 もふもふするときに常に深層領域までチェックしながらやっているので大丈夫だとは思う。

 始める前と後とやっている最中の3重の監視だ。


 圧縮を弱めてもレキ君的にはほとんど変わらないのか、今までと同様の状況になっている。

 具体的にはもふもふし始めたら速攻でお腹を見せて幸福……降伏ポーズだ。

 どうやら今までのもふもふも今のもふもふも彼の限界値をあっという間に突破してしまうようですぐに意識がもっていかれてしまうようだ。

 なのでレキ君的には不満はないらしい。

 それどころか徐々に弱めて行くとレキ君の意識が長持ちする適度なもふもふになり始め、長く状態を保てることから魔力溜まりは出来ずに更なる快楽の渦に嬉しいやら怖いやらよくわからない鳴き声をあげている。




【レキ君。今日の私はメイドさんです。

 メイドさんはご主人様のお世話をします。ではご主人様は誰でしょう?】


「わふ?」


【惜しいですね。残念ながらレキ君ではありません】


「わぶー」


【でもこの質問に即答で自分と答えるレキ君は嫌いじゃありませんよ】


「わふんッ!」



 鼻息荒くしているレキ君の鼻かしらをペチン、と叩いて続ける。



【では続きです。ご主人様はだれでしょう?】


「ぅ~……わふ?」


【お婆様ですか。ん~でもお婆様はご主人様ではないでしょう?】


「わふぅ!」


【残念。クティでもありません】


「わふ!?」



 渾身の答えだったようでレキ君がすごく驚いている。

 そもそもクティは今コンタクトが取れない状態なのでお世話しようにも難しい。



【では正解は~】


「わふわふ!」



 ドキドキワクワクといった感じで耳がピクピク、尻尾がわっさわっさと揺れているレキ君に焦らす様にしながらも正解を告げてあげる。



【エナです!】


「わふわふー」



 焦らした割にはという感じのレキ君の反応。

 どうやら予測の範囲内だったらしい。

 まぁあまり人数もいないので仕方ない事だけど。



【というわけで今日はエナの1日メイドさんをします。

 その目的は~……】


「わふふふふふふ~」



 ドラムロールの代わりにレキ君が変な声を発しているがきっとクティがやっていたことの真似をしているんだろう。

 レキ君は頭がいいし、記憶力もいいのでクティやサニー先生の奇行……珍しい動きをすぐ覚えて忘れた頃に実行する。

 すぐ覚える割には忘れた頃にやるのはレキ君自身のルール的なものなのだろうか。



【あの魔石は恐らくサニー先生の手によって普通の魔石になって帰ってきます。

 なのでアレで魔道具を作ろうと思います。

 でもあの魔石はすごい魔力を溜め込んでいるし、1個しかありません。

 失敗は許されないのです。

 だから練習をするためにエリオットの工房に遊びにいくための許可をゲットするのです!】


「わふわふわぷー」



 気合の入った拳を握り、天に突き上げて演説するとレキ君が器用にラッパの鳴き真似をして盛り上げてくれる。

 もしかしたらクティもサニー先生もいないからレキ君が代わりに頑張らなければと思っているのかもしれない。



【でも私1人では難しいのも事実です。

 そこでレキ君にもお手伝いをお願いします!】


「わふ!」


【はい、よいお返事です。

 ではこれをつけましょう】



 そういって用意してもらったレースのふんだんに使われたホワイトブリムをレキ君の頭につけてあげる。



「わふ~ん」


【とても似合ってますよ~】



 レキ君がすまし顔でポーズを取っているので褒めてあげる。

 実際とても似合っていて大変可愛らしい。


 レキ君の巨体は当然頭も大きいのでその上にチョコン、と乗った小さなホワイトブリムはなんだかとても愛らしい。

 レキ君は男の子でサルバルアだけどそんなことは気にしない。



【これで用意は整いました。

 あとはエナをがっつり堕とすだけです! ファイトですよ!】


「わふんッ!」



 やる気満々のレキ君と本日の標的であるエナをしっかりと見据える。

 当のエナはお婆様と一緒に魔片で出来ているテーブルでこれまた魔片で出来ているティーカップを手にこちらを微笑ましそうに見ている。

 振り返った自分とレキ君に微笑みながら軽く手を振ってくれるので、メイド服のスカートをちょっと摘んで足を揃えて膝を軽く落とす。


 ちょっと離れた所にいる2人から黄色い声が聞こえてくる。

 カーテシーもバランスを崩さずかなりうまく出来るようになった。

 レキ君も頭に乗せたホワイトブリムが落ちないように綺麗にお座りしている。こちらも普段とはちょっと違ったキリっとした雰囲気がある。



【さぁ出陣です、レキ君!】


「わふ!」



 再度気合を込めてシャキン、と立ち上がったレキ君と共に本日のご主人様であるエナの下へと足を踏み出した。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








 終始デレデレのエナをおじょ~さまぁ~、と呼んで色々とお世話をしてみた。

 最近はティーセットも魔片で作られた専用の自分にも見える物が用意されているので、ちょっと重かったけれどエナのティーカップに注いであげたり自分の出来る範囲で頑張った。


 とはいってもやはり3歳児の自分に出来る範囲というのはかなり狭い。

 魔術を使っていいならなんでもできるんだが、そういうわけにもいかない。

 そうなると自分はちょっとだけ成長が遅い3歳児だ。なかなか難しい物がある。


 そこで登場するのがレキ君。

 彼の上に乗ってレキ君の力もちょっと借りれば椅子を引いてあげることも押してあげる事も出来る。

 足りない背もなんとかなるし、レキ君は力加減が非常にうまいので繊細な作業も出来る。

 伊達に3歳児を相手に遊んでいないというものだ。


 レキ君の手助けでお世話できる範囲も広がり、レキ君を完璧に操る自分にお婆様とエナは微笑ましい笑みを向けながらも、魔力の流れは驚いている。

 確かに毎日遊んであげているけれど訓練しているようにはまったく見えないからだ。

 実際は四則演算から行動訓練までかなり難しい、普通のペットにはとてもやらないような訓練を施している。

 もちろんその分いっぱい遊んであげているけれど。



 そんなこんなで途中で帰って来てものすごく羨ましそうにしていたテオとエリーも混ぜてあげて、エナのお世話はその日1日続き、翌日に予定通りにお願いしたところ何の抵抗もなくエナは首を縦に振ってくれた。


 もちろんメイド服を用意して貰い、その服をもって体の前で揺らしながら上目遣いでのお願いだった。

 1日メイドが2日メイドになったのは言うまでもない。



最初のお世話は布石なのです。

非情にわかりやすいように飴をぶら下げてのお願いと上目遣いのお願いビームにエナはあっさりと陥落しました。


どんどんリリーのやり方が周到且つ、確実性の高いものになっていっているのです!



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