132,魔術 of 攻撃
異常にキビキビした阿波踊りも終わり、パーティも終了となったが自分的にはこれからが本番だ。
お婆様の膝の上でプレゼントで貰った例の2本足で立つ物語の新作を朗読してもらいながら、メインイベントが始まった。
「ではこれから攻撃魔術を教える。
リリーならば言わなくともわかっているとは思うが、攻撃魔術は危険だ。
簡単な魔術でも十分な殺傷能力を有している。特に君ほどの精密さをもって術式を構築すればそれは既存の魔術であっても十分戦略級になりうる」
「つまり、リリーはすごいんだよ! でも逆にすごすぎるから今まで攻撃魔術は教えられなかったんだよ!
許して、リリー! 愛してるよ!」
【クティ、私も愛してるよ! でも大丈夫だよ。攻撃魔術なんてこの家にいたら使うことなんてまったくないし】
「まぁ確かにそうなんだがな。この家の警備は厳重を通り越しているしな。
だが魔術師を志すならば攻撃魔術はいつかは扱えなくてはならない。
特に特級魔力保持者として正式に認められるためには必須といえるだろう」
【そうなんですかー】
「そうなんだよ、リリー! 一緒にがんばって特級になっちゃおう! いえー!」
「いぇ~!」
「あらあら、リリーちゃんがこんなに興奮するなんて今回のエクスの話はよっぽど気に入ったのねぇ~。
確かに今回はとてもいいものねぇ~。ヒロインの魔眼の少女がとても可愛いわぁ~。
でも2本足で立つ魔剣が主人公なのは衝撃的よねぇ~」
「いぇ~!」
例の2本足で立つ話――エクス先生の新作は魔剣が主人公で、ヒロインがこの魔剣をゲットしたところから始まるのだがヒロインが魔剣で無双する話と思いきや、予想通りに魔剣が自分で立ち上がって2足歩行して戦っちゃう系だった。
ヒロインもヒロインで特殊な魔眼持ちで魅了がものすごいという設定だ。
なんか出会う人々をビクンビクンさせちゃいまくってちょっと年齢制限かかるんじゃないかと思う内容だ。
でもお婆様は気にせず朗読を続けている。
基本的にこの世界――オーリオールでは初等部を卒業して社会に出る人が多いため、必要になる性知識などは幼い頃から教えられたりする。
全体的に年齢が低めなので生前のようにゆっくりとした教育では間に合わない。
とはいっても自分はまだ3歳だし、貴族ならば高等部を卒業するのは大体当たり前なのでゆっくりでも構わないのだがね。
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そんなこんなでサニー先生とクティから攻撃魔術を扱う心構えなどを一通り叩き込まれたあと、遂に実践だ。
術式の構築やなんかは実はすでに知っている。
ただ単にクティ達から許可が出ていなかったから封印していただけの話なのだ。
「ではこの的に向かって5級魔術の火弾を放ってくれ」
「威力は極少、速度中、範囲少、形状球ね!」
【はぁ~い】
クティの作った特殊障壁が展開され、その中にサニー先生が作った的が出現する。
まずは動かない的だ。
イメージ詠唱にてクティに言われた通りの設定で5級魔術の火弾を構築していく。
とはいっても設定自体には1秒もかからないので瞬時にして魔力隠蔽された特殊空間の中に小さな炎が出現し、設定通りの速度で的に一直線に向かっていった。
「うむ、構築速度、精度共にいつも通りに優秀だ。
では次はこれらに今の火弾を全て命中させてくれ」
【はい】
「設定は全部一緒ねぇ~。あ、でも動作構築は自由にしていいよ。でも追尾だけはだめね。的の動作を読んで当ててねぇ~」
【了解だよ、クティ!】
次に出現した的は5つでそれぞれ別々に動いている。
一気に難易度が上がったように思えるが動きは規則的なので特に問題もない。
クティに言われたように動作の構築に追尾を使わず、的の動きを読んで先ほどの火弾と同じ設定で全ての的に命中させた。
「では難易度を一気に上げるぞ!」
「準備運動はここまでだよ! さぁリリーの力を見せるときだよ! 速度と動作の構築の解禁だよ!」
【はい!】
一気にテンションを上げてくる妖精ズに負けじとこちらもテンションをあげて、出現した不規則に高速移動する的に向かって次々と火弾が命中していく。
動作構築に置いて追尾性能を極端に向上させた火弾は例え高速で不規則に動く的だろうと的確に直撃させることができる。
速度も先ほどの準備運動の比ではない速度になっているので、文字通り光の如く光速で動かなければ避けるのは難しい。
「次はこれだ!」
「範囲構築の解禁! 形状構築の解禁だよ!」
【はいッ!】
サニー先生の声と同時に出現した的は形状が先ほどの的とは異なり、歪なアメーバのように広がり、ただの火弾1発では全てに命中させるのは難しい。
だが範囲と形状の構築を解禁された今ならば問題にもならない。
範囲を爆裂形態にした散弾形式の火弾がアメーバ状に広がった的全てに向かって的確に追尾していく。
それなりに高速で動く的だったが追尾構築と爆裂形態の範囲攻撃により、もれなく全ての範囲にその威力を十分に伝える事に成功した。
「さぁ最後はこれだ!」
「威力解禁だよ! リリーの力を思い知らせてやれぇい!」
【らじゃー!】
最後に出現したのは多重装甲型の菱形の盾。
これは所謂ファランクスと呼ばれる幾重にも重なった多重装甲だ。
例え1枚2枚破ったとしても後ろに盾が追加されるという防御系の最高峰の1つだ。
これを火弾で破るには形状と威力、速度が重要だ。
一瞬で構築された火弾はその姿を1つの捩れた槍と化し、目で追う事が難しい速度でファランクスに激突した。
次の瞬間には直撃した部分に穴が空き、貫通する。
一点突破型の術式構築でとても火弾とは呼べないようなものだったけど、問題ないだろう。
「うむ、さすがだ」
「やっぱり、リリーは最高だよ! もうリリーに敵はいないよ!」
【ありがとう、クティ。うまくできてよかったぁ~】
「ふ……。うまくできないわけが無いのだ。君にはそれだけの実力と知識の蓄積があるのだからな」
【はい、サニー先生。先生に教わった事がきちんと生きた結果だと思います】
「サニーなんかのおかげじゃないよー! リリーがすごいからだよ! リリー最高!」
【クティのおかげでもあるんだよ? クティがいなかったらこんなにうまくできなかったよ絶対!】
「うひょー! リリーに褒められちゃったよぉー! うひゃー!」
ドヤ顔さまの魔力の流れが一気に速まり、顔を隠して空中でくるくると縦回転しはじめる。
あぁ……クティ……パンツみえてるよ……。
今日は縞パンなのね。昨日はクマさんパンツだったのに。
たまに刺激的な大人パンツの時もあるけれど、基本はワンポイントな動物パンツなだけに珍しい。
自分の服や下着は基本的にお婆様やエナ、たまにエリーが選ぶので自分に選択権はない。
だからお揃いにしようとするとクティが合わせないといけなくなる。たまには自分で選びたいが、服や下着は着てみないと形状が判別できないのが玉に瑕だ。
これも魔道具でなんとかならないものだろうか。ならないか。
薄い形状の形質変化はまだ実用段階までに至っていないという話だしね。
「よし、では次の魔術に移るぞ!
今日は4大攻撃魔術の基礎全てと中級クラスまで全てやってしまうぞ!」
【はい!】
「うひょー!」
縞々がチラチラ見える中、その日3歳にして殺傷能力抜群の魔術を自由自在に扱えるようになった自分がいたのだった。
遂に攻撃魔術解禁です。
別に年齢制限があるわけではないですが、ちょうどいいから3歳の誕生日で解禁でした。
解禁してすぐに無双レベルでの威力精度を見せるリリーです。
まぁ教えてる方も教えられている方もチートクラスなんで当然ですね!
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