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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第7章 3年目 後編 2歳
130/250

114,セカンドターゲット


 ジェニーは獣族でキツネ氏族だ。

 ミラと同様尻尾があり、頭の上には少し大きめの三角形の耳がある。

 尻尾は1本だけで9尾のキツネとかそういうんじゃない。口調ものじゃとかつけない。でも大分まったり口調な人だ。


 時々よくわからない行動を取ったりする人で、個性的な専属の中でもその存在感は大きい。

 まずミラ同様長い尻尾。

 まるでもふってくれと言わんばかりのソレは、ミラのような極上毛質ではないものの毎日丁寧に梳かれているとひと目で分かるほど細かくしなやかな毛は、ミラとは違った素晴らしいひと時を提供してくれるのではないだろうか。


 今回ミラに対してもふったことがどうやらジェニーにも期待を持たせる結果になったことは明白だ。

 今日これまでずっとそわそわした魔力の流れを有し続けていて、ブラシを手に取った時にさらに跳ね上がったことから確実となった。


 ミラの尻尾を梳いてあげたという行動は、ジェニーの尻尾にも同様のことが起こる可能性を示唆している。

 自分のお気に入りということで専属入りしたミラの尻尾を梳いてあげたのはこれが初めて。

 専属が決まってからそこそこの時間が経っているし、尻尾を梳いてあげるという行動はお気に入りとは関係ないということだ。

 レキ君のついでの行動とも取れる動きでもあったわけだし。


 結果としてジェニーにも尻尾を梳かれる可能性が生まれる。

 それはつまり、ミラから根掘り葉掘り聞いたはずの快感の渦を味わえるかもしれないということだ。


 ミラの場合も、レキ君の場合も、どちらも気絶して粗相をしてしまうほどの激しい快感を得ている。

 日常生活ではこの快感を味わうのはちょっと難しいだろう。

 まぁお相手がいらっしゃるのなら可能性が無きにしも非ずだが、なかなかにテクニシャンか相性がよくないと難しい。


 そんなわけでまだまだ年若いジェニーにとっては興味津々なのは言うまでもない。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 レキ君の尻尾を一通り梳いた後、徐に斜め後ろにそわそわしながら待機しているジェニーに振り返る。

 小さな手にはブラシの魔道具。

 いつもの無表情からは自分の心は読めないだろう。

 だが読めなくてもわかることはある。それを示すようにジェニーのそわそわは一転、緊張に変わった。



「ジェニ~」


「は、はいぃ、お嬢様ぁ~」



 緊張していても間延びしてしまっているジェニーの返事を聞いてミッションプランの最終確認を終える。

 変更はしないでも問題なさそうだ。

 あとは臨機応変にトラブルに対応していくだけだろう。


 ジェニーが1歩近づいた瞬間、リリアンヌ・ラ・クリストフ専属メイド撃破計画セカンドがスタートした。


 必要な魔術を瞬間的に全てイメージ詠唱――無詠唱にて展開、完成。

 自分とジェニーの周りに展開された魔術により、一定範囲外の目を完全に誤魔化す空間が出来上がる。

 ミラを仕留めたときにも使った魔術だ。

 魔術を知覚不能にする魔術を前提に映像と音を偽造し、外部には漏れないように防音も完備。


 前提条件はほぼ整ったと言える。

 当のジェニーも魔術を使われたことは認識できていない。

 緊張とそわそわと期待と不安でない交ぜになっている魔力にはそういった流れはまったくみえないからだ。



「ジェニーのしっぽもすいたげる~」


「はい、お嬢様ぁ~よろしくお願いしますぅ~」



 何の疑いもなく、毎日よくお手入れされていることがひと目でわかる素晴らしい尻尾をジェニーは差し出すように後ろを向いてしゃがむ。


 やはり間近で見るとミラとの違いがよくわかる。

 ミラの毛質は頭1つ2つ……いや3つは抜けている。

 比べてしまうのが可哀想になるくらいのレベルがミラのもふもふレベルなのだ。

 だから決してジェニーのもふもふレベルが低いと言うわけではない。


 しかしミラという最高のもふもふ対象を知ってる自分としては少し残念だ。

 だが対象の品質や状態がどんな状況だろうともふってこそ真のもふりすと。


 いざゆかん、あの高き頂のその向こうへ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 細くてしなやかなジェニーの尻尾にブラシを当てる。

 引っかかることなどまったくなく流れるように梳かれていく尻尾は品質ばかりに目がいっていた自分を再確認させてくれるには十分だった。


 まだまだもふもふの世界は果てしなく広い。

 この広大な宇宙にも似た世界を自分はまだまだ知ることができるのだ。



 感動と感謝。



 まず様子見として始めた魔力を纏わない状態でのブラシ掛けだったのだが、もふりすととしての自分の底の浅さを再認識し、様子見などという偉そうなことをするようなレベルではないと思い知った。


 結果として様子見は一瞬で終わり、すぐさま魔力をブラシに纏わせ先ほどと同じように梳くのだがすでにこれはもう別物である。

 その証拠にブラシに魔力を纏わせた瞬間、ジェニーの背筋がピンと伸び、耳の毛が逆立ち、魔力の流れは困惑と期待が最高潮にまで達したほどだ。


 ゆっくりとブラシを動かすたびに纏う魔力の質は向上し、ジェニーの様子は見る見るうちに変化していく。



 緊張から困惑と期待。

 そして予想通りの気持ちよさから一気に予想外の快楽へ。



 ミラの時には欲望が暴走してしまって、とてもじゃないがじっくりと観察することができなかった、瞬間瞬間で変化するジェニーの魔力の流れは見ていてとても面白い。

 だが予想外の快楽へと変化したところから、困惑とそれら全てを塗りつぶす快感の渦により1色に変化していった。


 口から勝手に漏れ出てしまう声を必死で抑えようと手を伸ばすが口に届く前に快楽の渦の刺激により、その手は行動を完遂できない。

 甘く漏れ出る嬌声に最早抗うことすら不可能になったジェニーは小刻みに震えながらも背を反るようにして天上を見上げ口を大きく開く。


 彼女のリズムに合わせるように魔力の質を向上させ続け、ギアをローから少しずつあげていく。

 すでに抗うことすら不可能になってしまったジェニーだが、まだ自分のギアはローの段階だ。



 まだ上がっていないのだよ、ジェニー。

 ミラに与えた快感はこんなものではなかったのだよ。



 ギアが1段階上がった瞬間、これまでで1番大きな艶のある甘い声が響き渡った。

 防音魔術を施していなければかなり大変なことになっていたほどの声量だ。

 普段の彼女の間延びした声とは違った、大人の女の声がギャップを誘いなかなかに素晴らしい。


 嬌声を上げ続け限界まで背を反り、体をきつく抱きしめるようにして小刻みに震えていたジェニーだったが、まるで糸が切れたかのようにパタリと倒れてしまった。

 慌ててエアークッションの魔術を発動させ受け止めるが、案の定彼女は気絶してしまったようだ。


 まだ1段階しかギアをあげていないというのにまったくもってだらしない。

 端から見ても経験がないのが丸分かりのミラですらもう少しもったというのに、ミラよりお姉さん的な見た目で余裕のありそうだったジェニーは実はミラよりも経験がなかったのだろうか。


 なんともいえない事実に苦笑しながらも、まだ尻尾を梳いただけだったのでコレ幸いとジェニーの尻尾に顔を埋めてもふもふを楽しむことにした。


 気絶しながらもビクビクと幾度も痙攣していたジェニーだったが、やはり耐え切れず粗相をしてしまったので綺麗にしたあとクティに起こしてもらった。


 ミラ同様に夢うつつのような状態のジェニーだったが、圧縮空気を顔の目の前で叩きつけて猫騙しをしてあげたらなんとか目を覚ましてくれた。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 結論から言うとやはりミラに軍配があがる結果に終わった。

 相手が悪すぎるということもある。

 実際ジェニーの尻尾も耳もそれなりに満足行くものだった。


 特に尻尾よりも耳の方がレベルが高かったように思える。

 ミラの場合は耳よりも尻尾の方だが。


 この結果は残る2人の専属へのアタックも多少期待できるということだ。

 ラクリアもニージャも尻尾が短くもふもふするには少し難しい。

 ということは試せる場所は自ずと限定されるというものだ。



 しかし残りの2人は尻尾を梳くという行動から派生してもふもふすることができないのが痛い。

 だが今回のことでジェニーから2人へ情報が渡るだろう。

 彼女達はこういった情報をしっかりと共有していることは知っている。

 こっそり4人で集まって情報共有しているようだが、クティの監視を甘く見てもらっては困るというものだ。



 明日の専属はラクリアの番だ。

 彼女も興味津々でそわそわしていたら、それだけやりやすくなる。

 今のうちになんとか耳にアタックできるプランを練っておかないといけない。


 目を覚ましたとはいえ、まだまだふわふわしている足取りのジェニーにたっぷりと情報共有をしてもらい、せいぜいラクリアの期待を増幅させておくれ、と期待の眼差しを向けるのだった。



ジェニー陥落です。

経験云々の前に相性や耐性などもありますが、まぁ総じてそういったものは経験でなんとかなるものです。


ちなみにジェニーは間延び口調とお姉さん的見た目ですが、結構若いです。


というか専属みんな若いです。

メイドさんは若い子ばっかりじゃないけど。


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