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外伝15,レキの日々

 本編にまだ出てきていないような、世界設定がでてき……ましたかな?

 頭を空っぽにして読むといいかもしれません。


 骨のような物を投げられる。

 放物線を描いてゆっくりと飛翔するそれを最高点に達するところでキャッチするとすぐさま主のところへ持っていく。



「よくできまちたぁ」



 主の足元ではなく足に接触するように骨を置くと頭を垂れておく。

 すぐに主がわしゃわしゃと、だが優しくその小さな手で撫でてくれる。

 この手が気持ちいい。

 気持ちよすぎて意識が真っ白になってしまう時もあるが、今は手加減してくれているので意識を保っていられる。


 足に接触させるように置いた骨を手探りで拾い、再度ふにゃふにゃと投げてくれるそれを同じようにキャッチして持ってくる。


 我が主は小さい。

 人種である主は始めてみた時よりずいぶん小さくなったと思う。

 元々我と同じ位の大きさだったはずなのに小さくなるなんて変な主だ。

 だが他の人種の者達も同様に小さくなっている。

 これはどういうことなんだろうか。


 まぁ別に大した問題があるわけでもないので我としてはどうでもいい。

 主に遊んでもらえるのが今の全てだ。


 さぁ我が主よ、もう一度!







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 初めて見た時、狭い檻の中に延々と閉じ込められていたため気が立っていた。

 それ以上に疲労していたのもある。

 この狭い檻が何かの力で我を押さえ付け、力を封じ、外の景色を歪ませていた。


 薄ぼんやりとしか見えていなかった小さな体が突然クリアに見えた時は驚いた。

 その傍らに静かに浮かぶ2つの存在にはもっと驚いたが。


 夢物語に聞いたことがある妖精という至高の存在。

 片方は半眼の無表情で知性を宿した瞳が特徴的な妖精。

 もう片方は高貴なオーラをこれでもかと溢れさせたまさに至高の存在と言えるほどの美しさだ。



 気づいたらその美しさに声が漏れていたが、その後に見えた文字に目が点になってしまった。

 それは魔力で描かれた文字だったのだ。

 驚きで小さく声が漏れてしまったがソレも仕方ないというものだ。

 我の目には他の者に見えない魔力が見える。これは魔眼と呼ばれるものだが、高貴なサルバルアである我には生まれた時から備わっているものだ。


 しかし我の魔眼に見える魔力は意識的に操作できるものではないはずだ。

 まだ若い我にもそれはわかる。なんせ我の魔力も意識的に操作など出来ないからだ。


 そんなことを思っているとまた景色が遮断され、押さえつけられるような拘束力が戻ってきた。



 また薄ぼんやりとしか見えなくなった小さな体。

 後の我が主。

 彼女だけが見える世界で我は重くなった瞼を静かに閉じた。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 次に主にあったのは翌日のことだ。


 彼女はやはり魔力を操り、文字を描くことが出来るようだ。

 これは天賦の才と言ってもいいほどの才能だ。


 彼女が幾度かコミュニケーションを試みるが我は気高きサルバルア。

 早々簡単に屈するものではないのだ。甘く見るではない小さき存在よ。


 だが我が文字が読めないと思われるのは少々癪だ。

 だが我は魔力で文字を書くなどと言う特異なことはできない。

 仕方ないので彼女達の言う通りに右足を出したり左足を出したりすることにした。



 ふ……この程度我には造作もないことだ。



 美しき妖精族に多少おちょくられたが、その程度で我は機嫌を損ねたりはせぬ。

 なぜならば我は高貴なサルバルアだからな!



 自己紹介を済ませると小さき彼女は魔力文字ではなく、声で我の名前を呼ぼうとしてるがうまくできないようだ。

 なるほど、だから魔力文字なのだな。


 納得していると周りの人種も我の名前を呼んでいる。

 うむ、我の名は高貴なサルバルアに相応しい猛々しい名だからな!



 だがクティさんの素晴らしい名前には負けてしまうかもしれない。



 それから毎日少しずつ小さき彼女が我とコミュニケーションを取ろうとしてくる。

 我もこの小さき人種の美しさは思うところがある。

 まだまだ幼い、小さな人種なのにその存在感と美しさには目を見張るものがある。


 だから少しずつ彼女に心を許してしまうのも仕方ないことだ。

 彼女が我に気安く触れないというのもポイントだろう。


 我は気高きサルバルア。

 高貴な存在なのだ。



 だがやはり彼女も人種の子なのだろう。

 我が高貴な毛並みを前に触れたいという欲求には逆らいがたいものがある。

 しかし我もそれは承知の上。

 ゆっくりと時間をかけて距離を縮めようとする彼女をじっと見つめることで回避し続けている。

 何度も言うが我は高貴なサルバルアなのだ。

 容易く触れていいものではない。



 だが彼女の兄のなんとかというヤツが我に容易く触れてしまった。

 我も呆気に取られてしまったが、その後の小さき彼女の魔力の渦の凄まじい流れに気を取られてしまったのも大きい。


 そして我は思い知ることになってしまった。

 彼女は小さき体だが、魔力を操れる異能を持ち……。



 その異能は凄まじいほどの力を有していたのだ。

 あの異形は忘れることなどできない。


 あの……快感は……。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 その日以降、我は彼女を恐怖するようになった。

 あの凄まじい快感は何度感じても恐怖だ。

 いや気持ちいいのだ。

 気持ちよすぎるのだ。


 だめなのだ。


 あれは……だめなのだ……。



 今日も我に繋がる鎖を引っ張る兎族の人種と力比べをする。

 だがやはり我は劣勢だ。

 あの快感を前にすれば誰でもしり込みするというものだ。


 味わってみればわかる。

 あれは暴威と言い換えてもいい。

 一瞬で意識を持っていかれて景色が全てピンク色になるのだ。

 無理すぎる。無理すぎるのだ。あふん。



 今日の力比べは何やら少し違った。

 いつもはじりじりと引き寄せられてしまう鎖が今日は我の力に負けて引き千切れてしまった。


 それは小さき彼女に向かい……。

 そしてその前に立ちはだかった人種と兎族の人種により防御された。


 その後のことは覚えていない。

 我は後悔と懺悔の中で恐ろしい壁を見た気がする。

 そして我の中にあった小さなプライドは完膚なきまでに粉砕されてしまったのだ。




 我は思う。

 何を小さなことに縋っていたのか。

 我が小さな主に比べれば我がプライドなどゴミ以下なのだ。


 我はサルバルア。

 高貴な存在などではない。


 我はレキ。

 我が主、リリアンヌに仕えしサルバルアである。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








「――という感じにきっとレキも思ってたんだと思うよ!」


「自分の部分がやけに誇張されているのはどうなんだ?」


「えーだって私だよー?」


【私が小さいのは仕方ないけど、あんまり小さい小さい言わないで欲しいかも……】


「あぁん! ごめんね、リリー! リリーは小さくないよ!

 小さいけど小さくないよ! 可愛いよ!」


「いやいや、君が小さいのは仕方ないだろう?」


【まぁそうですが……】


「小さいリリーprpr! prpr!」


【きゃー、クティ……くすぐったいよぉ】


「またベトベトになってしまうぞ……」


【今回はちゃんとハンカチを持たせて貰っていますので大丈夫ですよ!】


「prprprprprrprrprprprprprp」


「準備は万端というわけか」


【足りないようならレキ君の尻尾がありますしね】


「わふん……」



レキ君の独白と見せかけて、クティの作り話でしたー!


でも最初の最初だけはレキ君です。

本当にレキ君がクティの作り話のように思っているかはともかく、今では絶対服従なのは同じです。


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