100,特別番外編 Aschenputtel
本編100話到達記念 特別番外編
特別な番外編なのでちょっといつもと趣向が違います。
でも100話記念なので許してください。
では始まり始まり~。
「昔々あるところに灰かぶりと呼ばれるいつもいつも灰をかぶったような汚いワンピースを着せられて働かされている女の子? がいました? あらあら……。いつからテオちゃんは女の子になったのかしら?」
「お婆様、これは劇だからですよ。
あ、いけない。もう始まってるんだった。ぼ、ボクは灰かぶり! え、えーと……」
「今日はお城でパーティがあるのよ、よ。テオ」
「あ、ありがとう、エリー。今日はお城でパーティがげはー!」
「おーっほっほっほ。あなたみたいな汚らしい灰かぶりの娘がお城なんかにいけるわけがないでしょう! おーっほっほっほ」
「いたたた……。エリーなんだかすごく楽しそうだね……」
「テオ……。台詞」
「あ、ご、ごめん! えっと……よよよ……ボクは可哀想な灰かぶり。灰色のワンピースばかり着せられているから灰かぶりなんて呼ばれているけど、本当はそんな名前じゃないんだ」
「灰かぶり! あなたはお城に行けないけど私達はお城で楽しく王子様と踊ってくるわ! おーっほっほっほ!」
「エリーって高笑いがすごく似合うんだね……すごいや」
「私もびっくりよ。これ癖になりそう……。あ、台詞台詞!」
「あ! えぇと……か、カンペカンペ……」
「よよよ、かなしいわー、よ」
「ありがとう、エリー。よよよ、かなしいわー」
「義姉達が美しく着飾り王子様のパーティに出発していく中、灰かぶりの女の子のテオちゃんは暖炉の横で灰にまみれるように泣いていました」
「アンネーラ様、ちょっと台詞が違ってます……」
「だって、エリアーナさん。これ酷いわぁ~。可愛いテオちゃんを泣かすなんて……。でも泣かしているのはエリーちゃんなのよね……。うーん……」
「まぁまぁ、劇ですよ、お母様。さぁ続きをお願いします」
「ふぅ……わかったわ。
その時でした、輝くような光が灰かぶりの目に飛び込んできて、灰かぶりはそれを確かめずにはいれらませんでした」
「な、なんて素敵な光なんでしょう。ボクはこんな素敵な光を見たことはありません! あなたは一体どなたですか?」
「俺は魔法使い! さぁテオ! 泣いてばかりいる子猫ちゃんではダメだ! 剣を振れ! 走れ! あの夕陽に向かって!」
「あなた……台詞が全然違ってますわ」
「あだだだだ! く、クレア! 脇腹がちぎれる! ちぎれるぅ!」
「わわわ、お母様。げ、劇を! 劇の続きを!」
「本当に仕方ない人ねアレクは……。100話記念という特別な劇なんですからしっかりしてください」
「うぅ……。すまない……久しぶりの出番だったからつい……」
「それは私もです。でもそれはソレ。これはコレです。公私混同はいけません」
「あぁ、すまなかった。これからは真面目に魔法使いをやるよ! 見ていてくれ、クレア! 俺はやるぞ!」
「はい! 頑張ってください、あなた!」
「任せろ! 昨日徹夜してしっかり頭に叩き込んだからな!」
「さすが私の夫です。期待しています」
「もちろんだ! 楽しみにしていぐわー」
「兄さん、早く続きをやりなさい」
「ひ、酷いじゃないか、エナ!」
「早くしなさい」
「わ、わかったからそんなに睨まないでくれよ……」
「ふふ……。本当にアレクはエナに弱いんだから」
「うぅ……。妹は怖いんだよ。なんで俺ばっかりこんなに……」
「は・や・く!」
「は、はい!
灰かぶりよ! パーティに行きたいかー!?」
「はい! お父様! じゃなかった、魔法使いさん!」
「よかろう! ではちぇいやー!」
「わわわわうわー……すご……い……」
「あらあら、こんな演出まであったの? 台本には書いてないようですけど、エリアーナさん」
「おかしいですね、こんなのは聞いてないですけど……。でもみんな喜んでますし、100話記念ですし、いいんじゃないでしょうか、アンネーラ様?」
「エリアーナさんがそういうならよしとしましょうか」
「……おい、クティやりすぎじゃないか?」
「えー、そうかなー。だって、リリーが協力してくれっていうから、これは盛大にやらないといけないと思ってー」
【あはは。でもお婆様達も記念だっていうことで流してくれたし、大丈夫かな?】
「大丈夫~大丈夫~。なんとかなるさ~」
「いいのかこんなんで」
「それより、リリーのおうぐべあー」
「まだそこまで進んでないのにネタバレするな! この駄妖精が!」
【先生、どうせすぐわかっちゃうことなんですし】
「いや、だめだ。こういうことはバレバレでも秘密にすることが大事なんだ!」
「ば、バレバレなのに低空ダッシュからのエリアルコンボはひどい……がく」
【クティ、いきてー!】
「まったく……。さぁ続きだ」
「素敵なドレスをありがとう、魔法使いさん!」
「まだまだあるぞ! はあ! ひい! ふう!」
「す、すごい、お父様。どうやってるの!?」
「俺にもわからん! なぜかすごい演出なんだ! その辺はエナやお婆様に聞くんだ! 俺は何も知らない! 知ってはいけないことが世の中にはあるんだぞ、テオー!」
「お父様ー!? すごい、カボチャの馬車や何で出来ているかよくわからない鋼鉄の馬やどう見ても魔物にしか見えないネズミの御者!」
「あとは、頼んだぞ……テ……灰かぶり……。期限は24時の鐘の音までだ」
「はい、おと……魔法使いさん……。ボクやり遂げて見せます! 24時の鐘の音までに愛しの王子様と踊って見せます!」
「こうしてテオちゃんは王子様のパーティに行くための装備一式を手に入れたのです。
冒険はまだまだこれからです。気を引き締めなければいけません。
さぁ、テオちゃん。いつもの訓練通りに力を出せれば必ずや道は開けるでしょう」
「はい、お婆様! じゃなかったナレーターさん!」
「ふふ……。がんばるのよ、テオ」
「はい、お母様! じゃなかったいつも暖かさをくれる暖炉さん!」
「いいのか、あれ。君のお婆様は大分台本を無視し始めたぞ……」
「えーでも、大筋は合ってるしいいんじゃないのー?」
【ま、まだ大丈夫ですよ……。お婆様はすごい人ですから! きっと!】
「だといいのだがなぁ……」
「ほらほら、リリーももうすぐ出番だよ~」
【あ、そうだった。ありがとう、クティ。頑張ってくるね!】
「リリーなら大丈夫だよ~。いつも通りに可愛いリリーで居ればおうjぐああぁ」
「だからネタバレするなー!」
【続きます】
「ここがパーティ会場……。すごく綺麗だけど、うちの屋敷にあるパーティ会場の方が大きいなぁ。普通はこんなものなのかな……。
あ、あそこにいるのはエリー……じゃなかった義姉さん! 妹なのにね!」
「王子様のパーティにやってきたテオちゃんはエリーちゃんに見つからないように隠密行動を取り、王子様が会場に現れるのを心待ちにしていました」
「まだかなまだかな……。早くりr……じゃなかった王子様こないかなぁ」
「リリアンヌ王子のおなーりー……。って俺の台詞これだけとか酷くないか?」
「あらあら、私なんてナレーターですよ、ロー?」
「いやいや、アンは台詞いっぱいあるだろ」
「でも人じゃないんですよ? ナレーターは」
「いやいや、台詞が……」
「ひ・と・じゃ・な・い・ん・で・す・よ?」
「わ、わかった、すまなかった。俺が悪かった。続けてください……」
「ふふ……。クレアなんて配役が人じゃない上に台詞がないんですから、ローはまだマシな方なんですよ?」
「まず演目が間違いじゃないのか……?」
「リリーちゃんはテオちゃんに一目ぼれをしてしまい、2人は時間いっぱいまで幸せなダンスをしました。
あらあら、リリーちゃんはテオちゃんに惚れちゃったのねぇ……。悲恋ねぇ……」
「リリー……。ボクもリリーのことが好きだよ! ぼ、ぼくとけっこぎゃぼー!」
「あらよっとシンデレラー、時間だよー!」
【クティ……。テオなんだから魔術で吹っ飛ばすのはまずいよ~】
「だってただでさえ長時間私のリリーと踊ってたんだよ! そんなの本当に踊る必要ないじゃん!
何あの天上のパヴァンヌとか! リリーをリフトして鮮やかに決めるとかどっちが王子様なの!?
もうメーターが振り切れそうだよ! ていうか振り切れたよ!
明日はリリーから離れないもんね!」
【劇なんだから仕方ないよ~。でもまた離れないの? 私は嬉しいけど、ちゃんと会話してね? や、だけじゃ寂しいんだから】
「もちろんだよ! リリーのためなら喉が張り裂けても喋り続けられるよ! 治癒魔術で裂けた喉を治しつつ拷問のような叫びを続けられるよ!」
【クティ……。かっこいい】
「おいおい……」
「あいたたた。あ、いけない! もう24時になっちゃう! 魔法がとけちゃうよ!」
「……? リリー? リリーの番よ、台詞忘れちゃった? 待って素敵なお方、名前だけでも、よ。私が代わりに言ってあげる?」
「だいじょぶー。ちょとみとれてただけえ」
「そう……? でも無理しちゃだめよ?」
「あい。まてえ、すてきにゃおかたあ。にゃまえだけでも~」
「あぁ! リリーなんて賢いんだ! それに可愛すぎるその声! いつ聞いてもボクは! ボクはぁああぁぁぁぁぁれええぇぇぇぇ」
「テオちゃんはエントランスからの続く長い階段に足を取られ、側転しつつ最終的に5点受身を駆使して衝撃を殺しました。
あららら、いつの間にそんな受身を覚えたのかしら。さすがねぇ、テオちゃん」
「こにょお、がらすのくつにあうひとこそが、あのおかたあ」
「はい、よく出来ました、さすがリリーちゃんね。
こうしてリリーちゃんは階段に残っていたガラスの靴にぴったり合うテオちゃんを探すことにしました」
「私こそがこの靴の持ち主よ! おーっほっほっほ! あれ!? 合わないわ……。リリーと結婚するのは私なのに……。テオ! あとで覚えてなさい!」
「えぇ!? ひどくない!?」
「何人もの人達が靴を履こうと集まりましたが、誰一人として靴にぴったり合う人はいませんでした。そして最後に灰をかぶったような汚らしい灰色のワンピースを着たテオちゃんの番となりました」
「あなたのような汚らしい者でも王子様は全ての者に機会を与えるように言っておられます。さぁ履いてみなさい」
「はい!」
「兵士のエリアーナさんの台詞はあれで終わりですが、テオちゃんはガラスの靴を見事に履いて見せました」
「あなたがすてきなおかたにゃのですねえ。けこんしてくださあい」
「もちろんだよ、リリー! 幸せにしてみせるよ!」
「その後、テオちゃんとリリーちゃんは幸せに暮らしましたとさ」
「テオのくせにー!」
「さすがだな! 自慢の子供達だ!」
「ふふ……。テオちゃん、リリーちゃん、おめでとう」
「やったな、テオドール、リリアンヌ!!」
「ありがとう。義姉! 魔法使いさん! 暖炉さん! パーティの呼び出し係さん!」
「暖炉よりもなんか呼び出し係って酷い役名だね~」
「まぁ配役が少ない劇だからしかたあるまい」
「なんで灰かぶりにしたかなぁ~」
【なんでも灰かぶりを1度やってみたかったらしいよ】
おしまい。
灰かぶり。
つまりシンデレラですね。
本来のグリム童話だともっと残酷な話なんですけど、まぁそんなものは必要ありません。
ちなみにテオがシンデレラで、王子様がリリーなのは当然の配役です。
文句は受け付けません。
苦情はどぶに流します。
クレアやエナの配役が不遇なのは偶然です。
テオとリリー以外はあみだくじです。
200話までいったらまたやりたいなぁと思います。
いければいいなー。




