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濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第6章 3年目 中編 2歳
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96,days


 毎日のサニー先生による様々な知識を学ぶ為の講義と魔術のお勉強。

 瞬く間に日々は過ぎ去り、2の月も終わり3の月になった。


 3の月にはアレクの誕生日がある。

 今回も例に漏れず独占の日になるのかと思いきや、さすが3児の父。自分1人だけじゃなくテオとエリーも独占するという我が子全員独占という荒業を使ってきた。


 今年もパーティホールで使用人達に解放された身内のみの誕生日会だったが、使用人が大量にいるクリストフ家ではそれだけで大パーティと変わらない。

 大型の椅子に座り膝の上の自分と両脇のテオとエリーに挟まれたアレクは満足げに終始笑顔だった。


 翌日、顔を両手で隠したクティが4人目が~、とベッドに突っ込んで頭だけ隠してお尻丸出しの状態になっていたけど深くは聞かないことにしよう。

 きっと彼女は夜通し見ていたに違いない。何をかは聞かない。聞かないったら聞かない。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 10級の魔術はその数だけでいえば他の級の数とは比較できないほど大量にある。

 1日に最低4,5個くらいのペースで習得し、隠蔽魔術内で何度も試行し完全に習得できるまで確認してから自分の基部領域のアーカイブに保存している。

 クティに教えてもらった日に基部領域に入ったらすぐにアーカイブは使用可能になった。


 これが非常に便利だ。クティが自慢するだけある。

 アーカイブは保存する場合は基部領域に入らないといけないが、引き出すだけなら基部領域に入らなくても簡単に行える。


 ちなみに正式名称は無意識領域なのだが、クティ達はずっと基部領域と言ってきたこともありそっちで呼ぶことにしている。


 アーカイブに保存する項目は基本的になんでもよく、魔術限定ではない。

 基部領域内で見れる記憶の動画なども保存できるので、フォルダ分けしてクティの動画を笑顔集とか変顔集とかドヤ顔集とか色々作って保存してある。

 保存容量制限なんかもないらしく、クティはすでにものすごい量保存しているそうだ。

 そのものすごい量の中からでも簡単に目当てのものを引き出せるのがこのアーカイブのすごいところだ。


 ちなみに以前サニー先生が言っていた外部記憶装置はアーカイブの超劣化版だ。

 魔道具をアーカイブに見立て記憶媒体としているのだ。だがこれは劣化版なだけあり、容量も雀の涙でアーカイブとは比べ物にならず、記憶の動画なんてものは保存できるわけもなく……。


 そして記憶の動画に関してなのだが、クティは実は基部領域で記憶の動画を引き出すことが出来ない。

 ちなみに領域速度の変更もできない。


 その代わり頭上に浮かんでいる文字列の数が頭上を埋め尽くすほどの数あるそうだ。

 最初からそうだったということで、基部領域でも全てが同じではなく人それぞれに個性があるようだ。



「はぁ……。私も動画みたい……。リリーの可愛らしい顔や仕草や魔力文字や声が見たい聞きたい舐めまわしたい」


「おまえが動画が見れなくて本当によかった。見れたら戻ってこれなくなるだろ」


「そんなことないよー。映像より本物の方がいいにきまってるでしょ! 本物のリリーprpr!」


【クティ……。ぺろぺろはやめて……】


「ハッ!? ごめんね! 代わりにすりすりする!」


「あぁ……おまえの唾液が糸を引いてひどいことになってるぞ……」


「あぁ……ねちょねちょなこの感触がリリーの柔らかさを引き立てているよぅ」


【はい、クティちょっと離れてねー】



 ねちょねちょはちょっとダメなので、すりすりしているクティを一時的に離してレキ君の尻尾で顔を拭いてクティも拭いておく。

 ふさふさのほわほわのよく梳かれた尻尾はその艶やかな毛並みと滑らかで上品な柔らかさでねちょねちょを全て綺麗にしてくれる。


 代わりに尻尾がねちょねちょになったけどね。



「わふぅん……」



 レキ君が悲しそうな表情で自分の尻尾を見ているがまぁ仕方ない。

 今度からはちゃんとハンカチを用意しておこう。ねちょねちょプレイにも耐えられるように。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







「準備はいいか?」


「オッケー水出しても大丈夫だよー」


【じゃあ行きます!】



 隠蔽魔術内でクティが溢れ出す水を受け止めるための魔術を展開し、すぐさま完了させる。

 合図と共に行使された既存の魔術はすでに使っている発動具の代用魔術で無詠唱――イメージによる設定で完成している。

 世界のアーカイブから引き出された既存の魔術がその設定を完了させるまでにコンマ1秒もかかっていない。

 10級に該当する極めて単純な魔術とはいえ、世界のアーカイブから引き出す通常のやり方の場合詠唱に最低でも2秒はかかる。

 その2秒をほとんどなしにしてしまうこの魔術は驚嘆の一言だけど、もう大分慣れてしまった。



「よし、問題ないようだ」


「じゃあ消すねー」



 魔術で引き出された水はすぐさま魔術による器のようなもので受け止められ、クティによる魔術で瞬時に消滅させられる。

 早すぎて解析が不可能なほどだし、一体どんな魔術を構築したらあんなことが出来るのかすらわからない。



【すごいなぁ、クティは……。さっきの魔術は何をしているのかすらまったくわからないよ】


「これはねー。転送の器で任意の場所に飛ばせるんだー。今回はちょっと遠目のところに飛ばしたから大丈夫だよー」


「ちなみに既存の魔術で物質転移は存在しない。こいつの作った魔術しかないのが現状だ」


【はぁー……。やっぱりクティはすごいなぁ。でもそんな転移の魔術が使えるならどこでも行きたい放題だね?】


「そうでもないんだなー。生物を飛ばすとぐっちゃぐちゃになっちゃうんだー」


「以前に魔物を転移させたら皮が反転していた」


【そ、それは……】


「でもあの時って皮が反転してても生きてたよねー。反転したのが皮だけで傷口も何もなかったし、まぁすぐに死んじゃったけど」


「あぁ、だから生物に使うには危険というわけだ。ちなみに世界の隣の森の出入りに使われているのは魔術ではないから問題ない」


【はぁ、そうなんですか。転移は危険なんですねぇ】


「よし、ではアーカイブに保存してこい」


「ぱぱっと保存しちゃおー」


【はーい】



 教わった魔術はサニー先生とクティの許可を経てアーカイブに保存していく。世界のアーカイブから取り出せるが、いずれ魔術の創造をする際に何が必要になるかわからないので保存しているのだ。

 ちなみにどちらか片方の許可だけでは保存しないことにしている。

 もちろん両方から許可が出るまで繰り返し魔術を使って完全に習得するまで行われる。

 この時ばかりはクティも妥協はしない。

 鬼教官ばりの厳しさで設定が甘いとか、規模が小さいとか普段見たことないような厳しさになる。


 魔術にはそれぞれ設定できる項目があるので予めサニー先生とクティで考えた量に合わせて魔術を使用する。

 その設定が少しでもずれたら不合格なので結構どころかかなり判定は厳しい。

 それでも大体は1発成功なので問題はない。ただやはり変異型2種という特殊な素養を持っていても、クティの魔術を使っているといっても、異常な魔眼を持っていても、人間であることには変わりなくミスは絶対に起こってしまう。


 だがクティの魔術を使ってのミスは許されない。

 今はまだ10級の簡単な魔術だから被害はないけれど、これが凄まじい数の設定項目を持つ上級魔術や、クティの凶悪な魔術になると話が変わるからだ。

 詠唱の利点は決めた項目を詠唱という言葉にして定型文としておくことによりミスを減らせるということだが、クティの発動具の代用魔術ではイメージで行わなければいけないのでこの辺がデメリットになる。


 なので心を鬼にしてクティも厳しく指導しているのだ。

 もちろん終わったあとは毎回うるうるの魔力の流れを瞳に宿し謝ってくる。



【クティ大丈夫だからね。クティが私のことを思ってやっていることだっていうのはわかってるんだから謝らないで……】


「でもでも、リリーに怒鳴るなんて……。あぁ……神様お許しください! 可愛らしい天使のようなむしろ神なんて及びも付かないほどの可愛いリリーを怒鳴ってしまって許してください! むしろ神なんてリリーの足元にも及ばないんだから許せこらー!」


「おまえはいつか天罰が下ると思うぞ……」


【クティなら神様も倒しちゃうような勢いですけどねー】


「本当にやりかねないから怖いな……」


「神なんて指先1つでダウ」


「それ以上いけない」


【JA○RACの方から誰か来ちゃいそうだねぇ】


「たまに君は知らない単語を使うな。これはなんて読むんだ?」


「じゃすらむぐ」


【はい、クティだめねーそれ以上はだめねー】


「むぐむぐむふぅ」



 口を塞ぐように両手で包んで頬にすりすりしてあげると、ちょろっと暴れるように腕を動かしていたのもすぐに大人しくなる。

 まぁその後はお察しのイチャイチャに移行するのだけど。



「まったく……。このバカップルどもめ……」



 そんな先生の呆れた声もどこへやらクティの柔らかい小さな感触が何度も何度も頬に吸い付いては離れていく幸せに包まれていった。





順調に魔術を習得していっています。

アーカイブに保存はしていても魔術自体は完全に記憶しているので念の為といったところが大きいです。

リリーの記憶力はかなり優秀な部類ですが、天才ではありません。

いや努力の天才なので天才なのかもしれませんが、なんでも出来ちゃう完璧な天才ではありません。


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