表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
濁った瞳のリリアンヌ  作者: 天界
第一部 第1章 1年目 0歳
1/250

1,プロローグ





 トンネルを抜けたら……真っ暗だった。




 どこかで聞いたことのある有名な台詞が頭をよぎって消えていった……少し違ってはいたが。



 起きたら真っ暗闇なのだ。


 しっかり目を開いている状態なのに何も見えない。

 夜?それともどこかに押し込められてる?

 とにかく状況を把握しなければならない。


 腕を持ち上げようとして、何か違和感があることに気づいた。

 うまく腕が動かないのだ。

 仕方ないので足を動かそうとする。

 腕以上に動かないことがわかった。


 コレは一体どういうことなんだろう。


 とにかく腕や足以外にも動かそうとして、もっと深刻なことに気づいてしまった。

 首がほとんど、いやまったく動かせない。

 背中もほとんど動かせない。


 でも痛みがあるわけじゃない、もし怪我をしたりしてそれが原因で動けないのなら、痛みやなんかがあるはず……鎮静剤を打たれているのか?

 感覚も妙に鈍い、鎮静剤であたりかもしれない。


 これは怪我をして病院に担ぎこまれて……なんで怪我をしたんだろう?事故か?


 記憶を辿ってみる。


 最後の記憶は楽しみにしていた異世界転生物のライトノベルが手に入ったので、徹夜して読んでしまって出勤時間になったので眠い目をこすりながら車で出勤した。


 そこまでは思い出せたが、それ以上は思い出せなかった。


 そこで居眠りして事故を起こしたんだろうか?

 しかしそうすると自分は病院にいるということか?でも病院特有の薬っぽいあの匂いもしないし、コレは一体……?



 ガチャ



 ドアノブが回る音がした。

 首が動かないので視界を変える事ができないから確認できない。

 まぁそれでも、人が来たのなら状況がわかるだろう、とりあえず話を……。


「ftgyふじこlp;@:」


 ……はい?

 感覚が妙に鈍いが耳にははっきりと声が聞こえた。

 問題は何をいってるのかさっぱり理解できないことだったが。



 不意に真っ暗だった視界に、何か白い薄いもやもやしたものが見える。

 首が動かないので天井をみているしかなかったので、そのもやが天井で丸く固定されるまでなんとなく凝視していた。


 そこで止まっていた思考が動き出した。



 なにあれ、なにあのもやもや……なんかワタアメみたいでうまそう……じゃなくて、壁の方から流れてきたかのような感じだったし、天井で丸く固定されてもう動かない……いや動いてはいる?すごく細かく動いてるようなそうでないようななんだろうあれは。



 と思っていると今度は視界に天井の白くて丸いのとは別の何か……歪な人型のようなもやもやの白いのが見える。

 見えた瞬間悲鳴をあげそうになった。



 ぶっちゃけかなり驚いた。

 30年生きてきて、こんな変なのは初めて見るからだ。



 その人型は足元の方向からどんどん近づいてくる。

 と思ったら逆の方にも同じようなのがいた。

 まったく気づかなかったのはそちらに顔を向けることがまったくできなかったからだ。


「wxrtcyぼkl;」:;:pp。」


 歪なもやもやの人型が理解できない言語で話をしている。


 最初はびっくりしたが、感じる雰囲気はなぜか恐怖ではなく懐かしいような暖かい……あまり帰らない実家に帰ったときのようなあの感覚。


 暖かく懐かしい感覚は抱き上げられてるともっと強く自分を包む。

 安心して全てを預けたくなる感覚。



 そして気づく、自分は " 抱き上げられている " と。



 脳内自分劇場で一瞬で数作品が演じられた。


 全ての作品を見終わり裁判の判事のような服をきた自分が叫ぶ。

 さあ選べ!と。


 佳作は " 何この看護士まじ怪力 " 。

 笑い有、感動ありの超大作だったが如何せん長いという理由で佳作止まりだ。


 大賞は " もし赤ん坊に戻ったら " だった。

 30歳の大台にのった自分がつまらない人生に嫌気が差し、魔法のスマホでアプリを起動させたことにより、自分が赤ん坊に戻るというありがちながらも、誰でも夢見るような物語。

 これまでの状況証拠と夢があって……いいじゃない?という理由で大賞を獲得した。



 抱き上げられ人型の胸に抱かれた瞬間我に返る。



 人型は複数いて大きいのが3人、小さいのが2人。

 もやもやの人型なので、表情はまったく判別できない。

 言葉もまったく理解できない。

 しかし自分に向かってかけられる " リリアンヌ " という言葉だけがしっかりと耳に残る。



 これが自分の名前なのだろうか?




 でも、リリアンヌって……それ……どう聞いても女の子につける名前だよね?



感想頂けたら幸いです


2/12 微修正&訂正

3/9 句点、文頭スペース、三点リーダ修正

3/10 禁則処理修正

5/3 誤字修正


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ