前へ目次 次へ 13/49 やや薄れた記憶 やや薄れた記憶を 枕に重ねて見たものは あの日以上に鮮やかで あの日以上に形ある夢 霧ひとつない晴れた色は 朝を知る迄の現実 涙知る時の幻 やや薄れた記憶の 傷んだ所には穴空いて あまりにあやふやな事に気付く その綻びを美しい創造で縫い合わせ どこまでも 永遠に紡いでく やや薄れた記憶は 「思い出」と呼べるものだから 真に薄れることはない 時と幾重も重ねる度に 柔らかく確かな 不思議な感触を醸し出す 心地の好い切なさで やがて傷をもあたためる