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第二十話 魔王と勇者

もう遅れたのか間に合ったのかよく分からない

とにかく更新だー!


 翌朝。

 昨日と同じようにラウンジで待ち合わせた俺は、早速シミュレーターに向かおうとしたロコを苦笑しながら止める。

 初死亡のショックを引きずってないのはいいことだと思うが、今日は別にやっておきたいことがあるのだ。


「それもいいんだけど、今日は勉強をしようか」

「べ、勉強、ですか?」


 露骨に怯んだような顔をするロコ。

 優等生に見える彼女だが、実は勉強は苦手だったりするのだろうか。


「が、学校の勉強は好きですけど。で、でも問題に全問正解するまでご飯を食べれなかったり、まちがえた数だけ定規でたたかれたりするのは……」

「しないって!」


 ロコは一体、俺をどんだけ鬼だと思っているのか。


「勉強って言ってもそんな大げさな話じゃなくて、ジェネシスについての基本知識とか、イベントとか、そういう話をしようかと思って」

「イベント!? イベントって、クリスマスとか、バレンタインとかですか? わ、わたし、がんばります!」

「あ、いや、そういうのは、公式じゃやらないから……」


 すごい勢いで食いついてくるロコをどうどうとなだめながら、俺はメニューからカレンダーを開いた。


「ジェネシスには定例のイベントやスケジュールがあって、例えば今月、八月の真ん中にはプレイヤーで競い合う闘技大会がある」

「闘技大会! わたし、ルキさんを応援しますね!」

「あ、ああ。うん。まあ、次のはモンスターバトルだから俺は直接戦わないけど……」


 そこで自分が出る、と言わないところがロコだなぁと思う。


「それから、月末はプレイヤーランキングが更新されて、あ、いや、まあこれは忘れていいやどうでもいいしな」

「……? ルキさんが言うならもう思い出しません!」


 危ない危ない。

 危うく地雷原にここから突っ込んでいくところだった。

 ロコが素直な性格で助かった。


「え、ええと、来月は……。うーん、月初に月替わりミッションが更新されるとか、あるけど、うーん……」


 よく考えるとイベント全然ないな、ジェネシス。


「い、いいや。その次の月は……」


 視線をさらに奥に向けて、俺はそのまま固まった。

 ああ、どうして、忘れていたのか。


 Xデー。


 何の印もつけられていない、その真っ白な空間が、俺の心を激しく責め立てる。

 その時、不意に、




「――じゅうがつ、ついたち、ですか?」




 ロコにかけられた声に、俺はびくりと肩を震わせた。


「ど、どう、して……」

「え? だって、ずっと見てたじゃないですか」


 ころころと笑うロコに、背中にひやりとしたものが走る。


 俺の視線の先を読み取って、俺がどの日付を見ていたのかピンポイントで当てたということなのか。

 そんなことが、果たして出来るものなのか?


「と、とに、かく、ジェネシスにはシステムのアップデートはなくなったけど、時限式で予告されてた闘技大会とかエリア実装のアプデとかはまだ続いてるんだ。いつか必要になるかもしれないから、覚えておくようにな」

「はい! わかりました!」


 口早にした説明に、ロコは愛想のよい返事を返す。

 動揺する気持ちを必死に落ち着かせて、俺も笑顔をつくろった。


 ロコはただ、素直に思ったことを言っただけだ。

 不自然に動揺するのは、ロコにも悪いだろう。


 俺はようやく、気持ちを立て直す。

 やっといつものペースを取り戻して、別の話を探した。


「あ、そうだ。あとは、ジェネシスの全体目標も教えてなかったよな」

「目標、なんてあるんですか?」

「まあ、知らなきゃそんなもんだよな」


 基本的に、MMORPGには決まった目標はない。

 いや、あるにはあっても、各プレイヤーが目指すのは「楽しい時間を過ごしたい」というそれに尽きるだろう。


 ただそれでも、プレイヤーの参加人数やイベント攻略の成否が全体のシナリオに影響をおよぼすゲームというのはままある。

 そして、ジェネシスは普通のMMOよりその影響がでかい。


「ジェネシスの目的は、一言で言うと『モンスターから世界を守る』ことなんだ。それを分かりやすく表現するため、このジェネシスには『天秤システム』ってのが実装されている」

「てんびん? 天秤って、あのお皿がふたつあってふらーふらーってする奴ですよね?」


 実際に両手を広げてふらーふらーっとさせるロコ。

 それは天秤というよりヤジロベーの気がするが、まあ可愛いからよし。


「この天秤ってのは要するに、その場所が『モンスターと人、どちらの勢力に傾いているか』を示すものなんだ。ジェネシスの世界、『ワールド』は東西南北の四つの『エリア』と、エリアごとに十個の『フィールド』に区切られていて、それぞれに天秤が設定されている。この天秤はその場所で強いモンスターをたくさん倒せば人間側に傾いて、逆にモンスターが大量にいる状態でほったらかしにしているとモンスター側に傾く」

「天秤がかたむくと、どうなるんですか?」


 ロコの素直な疑問に、ちょっと言葉を選びながら、答える。


「まず人類側に傾いた地域ではモンスターが弱体化して湧きも減るから、安全に経験値稼ぎが出来るようになる。それに、プレイヤーが拠点を建てる時のコストも低くなるし、その地域のNPC……ええと、プレイヤー以外の人たちがいる町なんかが発展して、お店にいいものが安く並ぶようになるんだ」

「あっ! 町! 町行きたいです! ルキさんとお買い物!」

「……う、うん。いきなり町、はちょっとハードル高いけど、もうちょっと小さいとこなら、そのうちな」


 苦笑いしてから、話を戻す。


「逆にモンスター側に天秤が傾くと、その地域のモンスターはより強く凶暴になる。物価は上がってインフラもめちゃくちゃになって電車が止まる」

「電車が!?」

「いや、ごめん。それは冗談。とにかくNPCのいる町も寂れてきて、町の道具屋の商品が薬草だけになって値段も普段の百倍、なんてことになる」

「ぼったくりですね!」


 なぜか嬉しそうに言ってくる。

 そういう言葉を使うのが楽しいお年頃なのかもしれない。


「さらに天秤が傾くと、NPCが店から逃げ出したり、最悪建物自体が破壊されることもある」

「た、建物が? あっ! じゃあ、この塔も……」

「ないない! プレイヤーメイドの建物と違って、こういう元々システムが用意した建物っていうのは強度が高くされてるんだ。ほら、チュートリアルの終わった初心者が、いきなり野外に放り出されたらそんなのクソゲーだろ」


 ローミーならやりかねない、と一瞬だけ思ってしまったが、そこは言わないでおこう。

 ここは身近な例を出すのが分かりやすいか。


「例えば、シアは『その場で色んなものが買えるから』って理由でマーケットを拠点にしてる。マーケットも公式のシステムにのっとった場所だけど、どちらかっていうと趣味の領域というか、あってもなくても構わない場所だろ。だから建物の強度は八十になってる。一方で、リューがこもってる闘技場。『一歩も外に出ずにモンスターを動かせるから』って理由で入り浸ってたらしいけど、闘技場には年に二回の闘技大会ってゲーム的に重要な役目がある。だからここの強度はマーケットよりもずっと高い、九十九になってるんだ」

「じゃ、じゃあこの初心者の塔は?」


 それでも不安そうなロコに、俺はにやりと笑う。


「強度無限。モンスターが、百人乗っても大丈夫だよ」

「よ、よかったぁ」


 胸を撫で下ろすロコに、俺もつい笑みがこぼれる。

 ただ、この話には続きがある。


「この塔は安全地帯と言ってもいいんだけど、天秤が完全に関係ないか、っていうとそうでもないんだ。ワールドの天秤が完全にモンスター側に傾くと、大変なことが起こる」

「たいへんなこと、って、なんですか?」


 ロコの問いかけに、俺は今日一番の真剣な顔を作って、答えた。



「――世界が、滅びる」



 ※ ※ ※



 それは、俺が数十回、数百回と、繰り返し見た光景。


 始まりは、どこの誰とも知れないプレイヤーの、雑談の風景だった。

 仲間の装備が一日で壊れてしまった話を、時折笑いを交えながら、楽し気に語り合う二人の男性プレイヤー。


 しかし、その片方の顔が、一瞬で凍りつく。


「なぁ。あれ、なんだ?」

「ん……? 何か、白い……」


 男が指さした先。

 そこに見えたのは、初めはほんの豆粒ほどの光だった。

 だが、その豆粒は、見る間に大きく、大きく広がって、一瞬にして遠くの街を、山を、塔を呑み込み、


「何だ、あれ、やば――」

「バカ、すぐ逃げ――」


 それが、彼らの最期の言葉になった。


 押し寄せる光のドームは刹那の間に世界を呑み込み、全ては白に染まる。


 ……そして、数秒後。

 視界に残っていたのは、ただひたすらの虚無。

 人の作った建物だけでなく、山や丘、川や海、木々や草すらも全てが消滅し、平坦になった世界。


 それから、視界の端にそびえたつ、「強度無限」の『初心者の塔』だけだった。



 ※ ※ ※



「こ、れ……。なんなん、ですか?」


 目の前に投影された滅びの景色に、今まで息を殺していたロコが、震える声を発した。

 ただその間も、視線は空中に映し出された世界から、全てがなくなってしまった世界から目を離せないでいる。


「だから、言っただろ。世界の終わり、だよ」


 死んだプレイヤーは全てを失うが、その死の前後の映像は「デスカメラ」というシステムによって、ライブラリに保存され、「図書館」で自由に閲覧することが出来る。

 これは、図書館近く、エリア最西端で死んだプレイヤーの死の直前を描いたもので、俺たちは塔のオーディオルームに移動して、その映像を見ていた。


「世界の、終わり、って……」


 ジェネシスにはゲームとしての「バランス」を保つため、明確な「終わり」が設定されている。

 その役目を担うのが、「魔王」。


「ジェネシスにはいくつものボスモンスターがいる。各地にあるダンジョンの最奥を守るダンジョンボス。各フィールドをねぐらとするフィールドボス。東西南北のエリアの守護神たるエリアボス。……それから、世界全てを統べるワールドボス。このワールドボスが『魔王』であり、この終末を、『ワールドリセット』を引き起こした張本人だ」

「ま、おう……」


 フィクションでお馴染みの最強の魔物。

 魔の王。

 もはや数々のアニメやゲームで使い古されて陳腐化されてしまったほどの存在だけれど、このジェネシスにおいてその力は絶大だ。


「魔王は天秤の傾きと時間に応じて強化され、強化具合によって能力値だけでなく使用スキルや身体の大きさまでが変わる。これは約一年半前の映像だけど、この時に当時の最前線のパーティが魔王に挑み、そして負けた。その結果が、このワールドリセットなんだ」


 いや、負けた、というと少し語弊があるかもしれない。

 正確には、倒しきれなかった、だ。


「この『ワールドリセット』は魔王の『攻撃』で、発動条件は『魔王との戦闘開始から三十分が経過すること』なんだ。だから魔王は、世界の趨勢を人類側に傾かせて、その上で大人数で足並みをそろえ、万全の準備をして攻撃しないとまず倒せない、と言われている」


 言ってみれば、ゲーム規模の大縄跳びだ。


「ど、どうしてそんな、面倒な……」

「天秤システムってのはどっちかに一度傾くと盛り返すのが難しいんだ」


 天下統一ものの戦略SLGなんてやっていると分かるだろうが、パワーバランスというのは一度決まると覆しにくい。

 一度最大勢力になってしまえば、あとはもう消化試合にしかならないことがほとんどなのだ。


「だから、そのバランスを壊しえる存在を作った。たとえ、突出した戦力を持ったプレイヤーがいても、単独では倒せない。そして、戦況全体としてプレイヤーがどんなに戦いを有利に進めていても、最後の戦いだけは、気を抜く訳にはいかない。そんな緊張感を持つべきラスボスとして、魔王を配したんだ」


 プレイヤー側は魔物との戦いを優位に進めていた。

 だから足並みをそろえ、共同でことに当たれば、魔王を討つことも可能だった……はずだ。


「ただ、それは功を焦った一パーティによって決壊。そしてそのしっぺ返しが、これだ」



 ――ワールドリセット。



 回避も防御も出来ない極大ダメージが世界を襲い、建物やダンジョンの中、シミュレーターの中にいた者も、モンスターもNPCもプレイヤーも、全てが消し飛んだ。

 それが、あの白い光の真実。


「あの滅びの光のあと、世界に残ったのは三つだけ。唯一光を受けなかった魔王本人と、光を受けても壊れなかった強度無限の初心者の塔。それから、もう一つ。無限の耐久力を備えた、勇者の固有武器。その名も……」

「ゆうしゃさまそーど!!」

「いや、『ブレイブブレイド』な」


 なんだそのダサい名前。

 自信満々に言って外したロコも恥ずかしいのか、顔を伏せている。


「俺がこの映像を出したのは理由がある。勇者ってジョブは、ワールド内に常に一人だけ。勇者が死ぬとその次に強い人間が勇者になる。だからこの場合、最後に死んだ人間が、最後の勇者になっていたはずだ。そして、魔王がいるのはワールド最東端。だから……」

「最後の勇者は、西にいたってことですか?」


 察しが早くて助かる。

 俺はメニュー画面をいじって、カメラを向きを操作する。

 すると……。


「い、いま、一瞬だけ、何か白いのが……」


 どうやら見つけたようだ。


「そう。あれがブレイブブレイド。世界を救う、唯一の希望だよ」


 魔王と勇者は表裏一体であり、鏡の表と裏だ。

 魔王が魔物側の最後の希望なら、勇者もまた同じ。


「あの剣を持った者は『勇者』となり、最強の力を得る」

「さいきょう、ですか? でも……」

「いや、本当に、問答無用で最強なんだ。何しろ勇者の基本アビリティの効果は『その場にいる最高の能力値を持つものと同じ能力値を得る』ものだから」


 敵が強大であればあるほど、味方が心強ければ心強いほど、勇者は強力になる。

 そしてそれは、強化された魔王であっても例外はない。


「それに、勇者には対魔王戦を想定して、『天秤を消費して』使う強力な能力が設定されているんだ」


 それはまさに乾坤一擲。

 敵を倒せればよし、倒せなければ世界全体が不利になるという、本当に世界の行く末を担うワールドクラスの能力の使い手が勇者なのだ。


「その勇者さんは、今も戦ってるんですか?」

「いや、今は……勇者が誰なのかも、勇者の剣がどこにあるのかも、分からない。と、されている」

「されている?」

「……色々、あるってことだよ」


 俺はそう言って、ロコから視線を外してしめくくる。


「話が少しそれたな。魔王は今の世界にもいるし、ワールドリセットの能力だって健在だ」

「じゃ、じゃあ、また誰かが魔王に挑んだら……」

「同じことが、また起こる可能性はある」


 ぶるっと震えるロコ。

 しかし、今日の本題はそれじゃない。


「ワールドリセットが起こる条件は、それだけじゃないんだ。ワールドリセットは、世界のバランスを取るための措置。プレイヤーにとって最後のハードルであると同時に、のろまなプレイヤーを追い立てる鞭でもある。だから、魔王に挑んでいなくても、『全ての天秤が完全に魔物側に傾いた時』か、あるいは『魔王を倒せずに三年が経過した時』にも魔王はワールドリセットを放つ」

「え……」


 静かな空間に、ロコの声がやたらと大きく響いた。


「ま、待ってください。前のワールドリセットは一年半前なんです、よね? だったら、あと一年半経ったら……」

「この世界は、リセットされる」


 ふらっと、ロコの身体が揺れた。


「いや、です。だって、せっかく、ルキさんと、あえたのに。そんな、いやです。ぜったい、ぜったい……」


 青白い顔でぶつぶつとつぶやき始めたロコの肩を、慌てて揺する。


「お、落ち着けって。まだまだ時間はある。その前に魔王を倒せばいいんだ。だから……」

「倒します! わたし、ぜったい魔王を!」


 目が怖い目が。


 ロコはしばらく据わった目で魔王倒す魔王倒すと繰り返すマシーンと化していたが、俺が頭を撫でながら長いこと語りかけることでようやく正気に戻った。

 思いもかけない反応にビビってしまったが、ロコにこれからのモチベを与える、という意味では成功した気がしないでもない。


「ま、まあそんな訳で、プレイヤー一人一人の努力が、このジェネシスを変えていくんだ。だからロコも頑張って特訓して、たくさんモンスターを倒せるように……」


 そう言って、しれっと話を終わらせようとした時だった。

 ふと、ロコが不思議なことに気付いた、というように首を傾げた。


「……あれ? あの、でも、シミュレーターって『仮想現実』でほんとじゃないんですよね。ここでモンスターを倒した場合はどうなるんですか?」


 …………。


 …………。


 …………。


 気付いたか。

 気付いて、しまったか。


 出来れば言わずに済ませたかったが、しょうがないだろう。

 俺は頭をかいて、白状した。


「じ、実は、シミュレーターでいくらモンスターを倒しても『天秤』は全く傾かないんだ。だから、その、俺みたいにシミュレーターにこもってる奴や、天秤が人間側に傾いた安全な場所でひたすら定点狩りをしてるような人は、ジェネシスでは『モグラ』なんて呼ばれたりする」

「モグ、ラ?」


 これを口にするのは、勇気がいった。

 それでも乾いた口を動かして、言葉を絞り出す。



「――安全地帯に引きこもって役にも立たない、臆病者、ってことさ」



「そん、な……」


 ロコはショックを受けてしまうかも、と思ったが、反応は予想以上だった。


「そんなこと、ないです! ルキさんは、わたしに居場所をくれて、いろんなことを、おしえてくれて……。や、役に立たないなんて、そんなこと、ぜったいにありません!!」

「ロコ……」

「そ、それに、モグラって漢字だと『土の竜』って書きます! 竜です! がおーです! ほんとは強いんです! だから、だから……」


 痛いほどに俺の手を握りしめ、目に涙を浮かべながら力説する。

 その言葉は、冷たく凝っていた俺の心を、熱く解きほぐしてくれた。


「……ありがとう」


 だから一言だけそう返して、ポンポンとロコの頭を撫でた。


「う、うううぅー!」


 まだ何か言い足りなさそうにうなるロコだが、俺がジェネシスの平和に貢献していないのも事実だ。


 ただ、もちろん俺だってこのまま終わるつもりはない。

 ロコにもらった勇気を胸に、決意を新たにする。


 それでも今は、牙を研ぐべき時間だ。

 俺も、ロコも、まだ足りていないものが多すぎる。


「と、説明ばっかってのもつまらないよな。せっかくだから、本当にジェネシスの平和のために全力で戦ってる人たちのことを、『最前線』のプレイヤーの映像を、実際に見てもらおうか。もしかすると、ロコが目標にするようなすごいプレイヤーが見つかるかもしれないぞ」


 ロコと同じガンナーのものはなかったと思うが、やはりトップレベルと言われるプレイヤーは、スキル回しや立ち回り、その全てが勉強になる。

 だが、俺の言葉を聞いて、ロコはむっとした顔をして、首を横に振った。


「それはないです!」

「い、いや、でもさ……」


 反論しようとする俺が口を開くその前に、ロコはギュッと拳を握って、



「だってわたしの目標は、ずっとルキさんですから!」



 と言って、輝くような笑顔を見せたのだった。

久しぶりにいい話!



次回は塔の外!

あの人が再登場します!

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胃が痛くなった人に向けた新しい避難所です! 「主人公じゃない!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 3年ごとに塔へ引きこもればOK?
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