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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第12章「なす術もないパニックを焼き捨てる神の使いへ」
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第87話 「プリズン」



挿絵(By みてみん)



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 エイプリルが、拳銃ぶっ放しショーをやらかしている同時刻。


 別の海上。

 駆逐艦「かしはら」から、東へ進むこと30マイル。



 ドドドドド……

 20メートル級の巡視艇(じゅんしてい)が、海上を走る。26ノットの最高速度で、海上警察庁に向けて。


 巡視艇は、4人の重大犯罪者を拘束(こうそく)、護送している最中だ。

 

 トラ。

 ニニコ。

 レインショット。

 そして、放火魔バーベキューファイア。


 4人は、拘置所(こうちしょ)を思わせる(おり)収監(しゅうかん)されている。とても船の設備とは思えない。おそらく海賊や密航者を護送する特別製なのだろう。

 厳重な監視のなか、聞こえるのはエンジン音と、レインショットの(さけ)び声だけだ。

 


「お……おい……! この女を殺せ……さもないと全員殺される! 全員焼き殺されるぞ!」

鉄柵(てっさく)をつかみ、ガシャガシャと鳴らし続ける。



挿絵(By みてみん)


 

 サブマシンガンで警戒(けいかい)する保安隊員2人は、なにも答えない。みっともなく(わめ)きたてるレインショットを、ただただ白い目で(にら)むばかりだ。


「おい! 聞いているのか!? ここから出せと言ってるんじゃない! こ、この女を殺せと言ってるんだ!」


 だれも反応しない。

 ひときわ甲高(かんだか)いレインショットの絶叫。


「わ、わ、私を見るのを(・・・・)やめろおおおおおおお!」



挿絵(By みてみん)



 3・3メートル四方の部屋。

 いや牢屋(ろうや)


 コンクリの床にトラは倒れている。全身に包帯(ほうたい)を巻きつけて。


 1時間ほど前に、とうとう気を失ってしまったのだ。まだ意識は戻らない。まるでミイラ男……だが、しっかりと手錠(てじょう)をハメられていた。


 ニニコはトラに寄りそうように、じっと体育座りをしていた。彼女も、やはり手錠をかけられている。 


   

 そしてフォックスは―――立っている。

 全身のヤケドに、包帯をあてられただけの半裸。


 フォックスも手錠をかけられていた。

 左腕と、籠手の突起を、鎖でつながれている。


 その籠手には、ガソリンのたっぷり(はい)ったペットボトルを握らされていた。離せないよう、ボトルは籠手ぐるみ、針金でぐるぐる巻き(・・・・・・)にされているではないか。

 火を出した瞬間、フォックスは丸焼きになるだろう。


 その状態で立っている。 

 レインショットのすぐ目の前に。


 まばたきひとつしない。

 レインショットを、ただ(だま)って見ている。幽鬼のように。


 

挿絵(By みてみん)


 

「見るなアアアアアアア! 向こうへ行けえええええええええ!」



 レインショットの死。

 レインショットの死まで、あと2時間を切った。


 とてつもなく(むご)いレインショットの死まで、あと1時間59分、58分……



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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