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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第10章「恥も外聞もないトリップを焼き捨てる馬鹿者たちへ」
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第76話 「フラッシュバック」



「やめ……!!」


 マリィが叫んだ。

 だがもう遅い!


 ドン! と発射された炎弾が、加圧式消火器のバルブをぶち抜いた。超、至近距離―――マリィの足もとで、消火器は爆破された。



挿絵(By みてみん)


 

 ドオオオオオオン!!


「はぎゃ……」 

 内部に満載(まんさい)された消火剤と炭酸ガスが一気に()ぜ、(すさ)まじい爆風が巻き起こった。


 ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 超防弾性のはずの司令室の窓。

 その1枚をブチ()いて、マリィはブリッジの外へ吹き飛ばされた。

 


 宙を舞うマリィ。

  

「だ……!!」



 海に落ちる……いや、甲板の(へり)にぶつかる!?


「クッ!」

 落下地点を海にするべく、体をひねる。()義肢(ぎし)を使えば、問題なく助かる高さ。


 だが甲板に(たた)きつけられれば命はない。いや……確実に甲板に落ちる! いや、いや、黒煙に巻きこまれた。

 とてつもない熱―――


 いや、いや、いや、それどころじゃない!

 燃えさかる甲板に向かって落ちている!

 ()義肢(ぎし)のアームを伸ばし、ぐるりと全身をガードする。


 落下――――――



 ドガッ!!!

 

 ワンバウンド!

   


 ドガッ!!



挿絵(By みてみん)



 ジュウウウウウウウウウウウウウウ!


「あああああああああ!!」


 ()けた甲板の上に転がされる。

 どんな落ち方をしたのか自分でもわからない。


 全身が痛い。

 全身が熱い。

 鉄板であぶられるエビのように、激しくマリィはのたうち回る(・・・・・・)()義肢(ぎし)を使って移動しようと、もがく。


 アームを持ち上げ……られない!


「ああああああああああ!」

 激痛!

 鎖骨(さこつ)が折れている。動けない。


「は、ハイド……」


 剣で刺されるような痛み。

 ハイドランジアを取り出そうと、ゆっくりとポシェットを探る。痛覚をマヒさせなくては……だがポシェットの中には、プラスチックの破片と水の感触しかなかった。


 全部割れている。

 甲板にこぼれ、すぐさまジュワァと蒸発するハイドランジア。ズボンに広がる青とピンクの染みが、煙になって立ちのぼる。


「ア、ア……じゅる、じゅる……」

 手に付着(ふちゃく)した2色の液体を()める。

 何も起こらない。


 当たり前だ。

 吸引と違い、消化されなければ効果は出ない。


 い、いや、両手を甲板に押し付けるんです。

 その蒸気を吸うんです。

 や、やらねば。


 手を、手を……甲板につけた。

 ジュウウウウウウウウウ!


「ひぎゃあああああああああ!」


 しまった……叫んでしまった。

 息をするどころじゃない!


 あ、だめだ。

 この皮膚が焼けるにおい……村のみんなの死体を、フゥが火葬した時と同じにおい。


 私が燃えています―――



「ご……ごめんなさい。神様……」

「私は悪くないとか、ウソです……」

「熱い……」



 死。


   死。


    死ぬ。




 そこへ―――――――――





「火のッ、用――――――心!!」


 ズッドオオオオオン!!



挿絵(By みてみん)



 トラがやってきた。

 火の用心……?



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終身刑の魔女より

 ↑

いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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