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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第7章「神も仏もないシナリオを焼き捨てる海へ」
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第50話 「スピア」




『プランその②だ。14個目のパーツを作る』


『どんな人間でも装着できる靴』

『どこにでも到着できる靴』

『何にでも吸着できる靴』


着靴(チャッカ)と呼ぶのがふさわしい』  



挿絵(By みてみん)



 壮大(そうだい)かつ、馬鹿げたプランを提唱(ていしょう)する煙羅煙羅(えんらえんら)

 しばらくの沈黙(ちんもく)のあと、ふたたび穢卑面(エヒメ)との会話が始まった。


『……それでどうする。そのために何をすればいい』


 興味をそそられたのか、あるいは(あき)れているのか。抑揚のない声で、穢卑面は聞き返す。

 しかし、煙羅煙羅の答えは……


『さあ? わからん』

 


『わからんだと!?』


魔王様(・・・)なら知っているのではないか? あるいはアモロなら出来んかな?』



『……確かか?』


『さあ? とりあえず、トラを捕まえよう』



杜撰(ズサン)すぎるぞ』

 

『かまわん、我々には時間がたっぷりある。試して損のない話だろう、穢卑面(エヒメ)……』



『……』

 しゃべらなくなる穢卑面。


「…………」

「…………」

 人間2人も、何もしゃべらない。



『お前はどう思う? ()(もり)よ』

 煙羅煙羅が、今度は咲き銛に意見を求める。

 少しだけ、口調がおちついたようだ。




   ……は?


   サキモリ?



 静寂(せいじゃく)を破るように、もうひとつ「別のアイテム」が言葉を発した。



※ ※



『お話はわかりました、穢卑面(エヒメ)。しかしそうなると、だれが鎧を着るのですか?』

 

 ルディの黒いコートの下からのぞく、ゴツゴツとした……胸全体を(おお)い隠すアイテム。

 地の底から(うな)るような声。

 それでいて丁重(ていちょう)な言葉。


 ルディはアイテムを、ふたつ(まと)っているらしい。



 ちょい待ち。

 ふたつ??

 ってことは、いまこの場には4つのアイテムがあるってこと?



「お、お、俺が、着る」

 シーカが口を開いた。

 ぎし、と足を組み直し、笑顔を向ける。

「あ、あ、あんたも、セ、セットで、の、呪われ、てるのか?」


 口元を引きつらせながら、いきなりルディに対し、()れなれしく話す。どういうわけかコイツの場合、初対面の相手にほどフレンドリーに話しかける(クセ)がある。

 トラもフォックスもそれで怒らせちゃったんですけどね。


「き、気づかなか、なかった。2つ目、め、が、あること、に、に……」

  


 シーカが2つ目、と言った瞬間! 

 神父が叫んだ。


「よせ! ()(もり)!」

  

   ズドン!

   ズドン、ズドンッッ!!


   (やり)


 シーカの脇腹をかすめ、長椅子の背もたれに槍が突き刺さった。

 それも3本!

 目にも止まらぬ速さで飛んできた。

 いや、伸びてきた!


 シーカが悲鳴をあげる。

「ひゃあ」

 ……悲鳴をあげる。



挿絵(By みてみん)



 槍。

 とてもとても長い槍。

 いったいどこから……


 ルディのコートの(そで)から伸びる、3メートルを超える長い槍。カク、カクと途中の2か所を、関節のように動かしている。

 まるで昆虫の脚のよう……


『2つ目ではありません。私が彼の1つ目です』

 コートの下で、アイテムが唸る。

『それに、鎧を着るのは私の宿主(やどぬし)、ルディ神父(しんぷ)です。殺しますよ青年……』



 一方、声を荒げるルディ。


「やめろ! 槍を引っこめろ! すまない、シーカ君……」

 ふたたびアイテムの非礼を()びる、ルディ神父(・・)。 


 シーカはなにも答えない。

 ただ、にっこりと「気にしてませんよ」的な微笑(ほほえ)みを返す。


 “ 槍のアイテム ” を(いまし)めるルディ。

「槍を引っこめろといったんだ。それに私は、鎧など着る気はない。彼に謝罪しなさい、 “ ()(もり) ” 」


 1秒。

 5秒。

 アイテムは押し黙ったあと、ようやく謝罪の言葉を(くち)にした。


『……失礼しました、青年。失礼しました、ルディ神父』


 ズボッ、ズボズボッ。

 椅子から槍が抜かれる。

『神よ……短絡(たんらく)なる私めをお許しください……』


 しゅる、しゅる、しゅる。

 槍が縮んでいく。

 しゅるしゅる、しゅる……みるみる短くなり、しゅるんとルディの袖に3本とも仕舞(しま)われた。


『天に()します、我らの神よ……』

 

 アイテムが(いの)る声が、礼拝堂に響く。



挿絵(By みてみん)



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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