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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第7章「神も仏もないシナリオを焼き捨てる海へ」
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第49話 「チャッカ」




穢卑面(エヒメ)、彼に謝罪しろ」

『やかましいルディ! (くち)(はさ)むな』


「話を聞いているのか? 彼に謝罪しろと言ったんだ」

『言葉に気をつけろ、ルディ。人間の出る幕ではないわ』


 口論を始める穢卑面(エヒメ)と、それを(かぶ)る男。


 以下、男をルディと記載する。

 ルディの、白い髪がサラサラと揺れる。


『話は我がする! 貴様はだまって(いの)っていろ』

「死ねと言ったことを、彼に謝罪しろと言ったんだ」


『説教がましい奴め。これだからお前と話す気になれんのだ』

「6年ぶりにしゃべったかと思えば、それか? 私の祈りも、馬の耳に念仏だったようだな」



 言い争いが(はげ)しくなってきた。

 ……何度も記載するが、上の会話は、仮面とそれを被る男のケンカである。はた目には、ひとりで二役(ふたやく)を演じているようにしか見えないが。



※ ※



『やかましいぞ。いいから聞いてくれ』


 うんざりした口調で、煙羅煙羅(えんらえんら)が割って(はい)った。

 シーカの肩で、うんざりとしゃべる。


『ここに来る途中、 " 足枷(あしかせ) " 、 " ()籠手ごて " 、 " ()白闇(しろやみ) " に会った。じつに笑えるぞ。すでに別々の人間に憑依(ひょうい)している上に、いずれも眠っておった』



『なに……なんだと!?』   

 食いついた穢卑面エヒメだったが、すぐに声色(こわいろ)が変わる。

 足枷、と聞いて。

『お前、それを放ってきたのか!? い、いや “ 足枷 ” だと? あいつも人間に憑依しているのか』


    

『そのうえ驚くなよ。その人間……トラとかいったかな。足枷を()いて歩いておった』


『な……!』


 言葉を詰まらせる穢卑面。

 どうやら、あの長靴を履いて歩いた人間がいることが、信じられないらしい。

 


『そこでだ。我らが、再びひとつの鎧となるうえで、プランが2つある』

 うきうきと話す煙羅煙羅(えんらえんら)


『プラン、だと?』

 不審がる穢卑面(エヒメ)



『その①、トラに鎧を着せる』

 

『ふざけるな!』



『ふざけてなどいない。我はずっとずっと、1(りょう)の鎧に戻ったあとのことを考えていたのだ。我らは防具。にもかかわらず、一度も戦場に出たことがない。それはなぜだ?』


『聞くまでもない……足枷のせいだ』



『そうだ。足枷の重さのあまり、人間は誰ひとりとして鎧を(あつか)うことが出来なかった。そのために我らは、13に分けられてしまった』


『……』



『だが、いたのだ! 足枷を動かせる人間が! 再びひとつの鎧に結集のときは、トラに鎧を(まと)わせる。そして我らは、初陣(ういじん)を飾るのだ。世界中の戦争に(おもむ)くのだ……』


 煙羅煙羅が、とんでもない野望を語る。

 静まり返る礼拝堂。



『…………』

 

 なにも答えない穢卑面。

 さらに煙羅煙羅は続ける。


『反応が良くないな、穢卑面。では、プランその②だ。14個目のパーツを作る』


『はあ???』

 ()頓狂(とんきょう)な声を出す穢卑面。



「な……?」

 黙って聞いていたルディも、思わず声を上げた。



『早い話、足枷はもう()らん。ほかの脚甲(きゃっこう)を作ろう。もっと軽いやつをな』

 ひどいこと言う煙羅煙羅。

『足枷をいちど壊し、それを材料にして新規足枷(・・・・)を作る。いや “ 足枷 ” はおかしいか』


『どんな人間でも装着できる靴』

『どこにでも到着できる靴』

『何にでも吸着できる靴』


着靴(チャッカ) と呼ぶのがふさわしい』  



挿絵(By みてみん)



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



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