表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第7章「神も仏もないシナリオを焼き捨てる海へ」
48/249

第48話 「チャーチ」




 研究所での大騒動(おおそうどう)から2か月。


 ここは……どこだろうか。


 現在の時刻は20時15分。

 ここは教会の礼拝堂(れいはいどう)のようだが、とても薄暗い。


 ステンドグラスの窓から月明かりが差しこむ。カラフルな光が、祭壇(さいだん)長椅子(ながイス)、カーテンを照らした。 


 祭壇には10本の蝋燭(ろうそく)が供えられている。鎮魂(ちんこん)のために(もち)いられる、故人の名前が彫られた蝋燭。

 その明かりが、礼拝堂にいる2人の影をゆらゆらと揺らした。


 

   2人の人間……



 ひとりは、シーカ。

 ずらりと並んだ長椅子の最前列に腰かけている。左頬(ひだりほお)には、痛々しく傷を()い合わせた(あと)がある。



 そしてもう1人、祭壇の前に立つ男。


 長い白髪(はくはつ)に、真っ黒な神父服をまとっている。だが、その顔は仮面(かめん)(おお)われているではないか。

 ドクロのような、仮面のアイテムだ。


 アイテムの名を “ 穢卑面(エヒメ) ” という。


『突然やってきて驚いたぞ。1332年ぶりか……久しいな “ ()() ” 。それに “ 煙羅煙羅(えんらえんら) ” 』



挿絵(By みてみん)



 再会を喜んでいるらしい、仮面のアイテム。

 しかし―――


『おい、朽ち灯! 聞いているのか!』

    

 仮面のアイテム。

 以下、「穢卑面(エヒメ)」と記載する。


 問いかける穢卑面に、朽ち灯はなにも答えない。


『……朽ち灯? おい、朽ち灯……眠っているのか?』



 代わりに、シーカの左肩で煙羅煙羅(えんらえんら)が答えた。


『そうなのだ穢卑面(エヒメ)よ。傑作(けっさく)な事情でな』 

 


※ ※



 ……なんという、異様な会合だろう。

 シーカもドクロ仮面も、一切しゃべらない。


 シーカはいつもの無表情で、ドクロ仮面を(なが)めるばかりだ。


 ドクロ仮面もシーカを見おろしてはいるが、実際にその表情をうかがうことはできない。代わりに、アイテムの(しゃべ)ること、喋ること……


 仮面の穢卑面(エヒメ)が本題を切り出す。

   

『では早速(さっそく)、その……シーカだったか? 死ね』

『そして朽ち灯、煙羅煙羅よ。 “ ルディ ” に憑依(ひょうい)せよ』

『再びひとつに……』


 恐ろしいことを言い出した。



「ムス……」

 ムッとするシーカ。

 死ねと言われて、さすがのこいつもカチンときたらしい。

 


 と―――



「ふざけるな穢卑面。すまないシーカ君、気を悪くしないでくれ」


 穢卑面(エヒメ)をかぶる男が、初めて口を開いた。落ち着いた口調……中年をすぎたくらいの、高齢の男の声だ。



「あ、あ、ふ、ふ」

 シーカは、にっこりと笑顔を向けた。

「き、き、気に、して、な、な、ない」

 左頬(ひだりほお)()いあとが、ぐにゃりと曲がる。


 ……アイテムも含めて、コイツがいちばん人間味がない。

 困ったもんだよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


終身刑の魔女より

 ↑

いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ