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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第6章「にべもないアイテムを焼き捨てる幻想へ」
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第43話 「クリムゾン」



「と、トラ……なにを……」

「うるせーんだよ、クソガキ」


 突然(とつぜん)、ニニコを突きとばしたトラ。

 心配するどころか、(しり)もちをついて固まる彼女に……信じられない言葉を言い放った。

 

「さっさと失せろ、厄病(やくびょう)神が。いいや、疫病(えきびょう)神か?」

「なにを……なにを言うの? トラ……」


「気安く呼ぶな! 消、え、やがれ。オラ消えろ!! 一緒にいるだけで災難がうつりそうだぜ」 


「あ……あ……」

 耳を(うたが)うニニコ。


「チッ。もういいや、勝手に死んじまえ」

 トラの舌打ち。

 ニニコに背を向け、視線はシーカへ。いや、彼の左肩を(おお)う “ 煙羅煙羅(えんらえんら) ” へ。

「お前もそう思うだろ、炊飯器炊飯器(・・・・・・)?」



『別に思わんな、グロッキーグロッキー(・・・・・・・・・・)。ネジを返せ』

 しゅう、しゅう。


「イヤなこった。おいシーカ、交換だ。お前がパクったパーツ2枚とな」

 ネジを見せつけるトラ。



 しかしシーカは、ネジなんかに目もくれない。


「だ、だ、だ……だまれ」

 し殺さんばかりの視線を向けくる。

 怒って、いる?

「ニ、ニ、ニニコに、よ、よ、よくも」


「朝までかかりそうか?」

 再度、挑発(ちょうはつ)するトラ。


「し、し、し、死ね……」

「いきなり(くち)が達者になったな、男前(おとこまえ)。ンなこた聞いてねぇよボケ!」

 

 叫びたてるその後ろから、ニニコが近づく。

「トラ……」

 

 とうとう、トラの怒りが絶頂に達する。

「失せろってんだろ! 小汚(こぎた)ねぇガキめ、洗濯槽(せんたくそう)に放りこむぞ!」


 天井が割れるほどの大絶叫に、少女は……(ひる)まない。

 ひるまない。




「私を逃がすために必死なのね、トラ」


 


 ビクリ!

 今度はトラがたじろぐ。

「!!! な、なに言ってんだ! そんなわけあるか! ちゃうわ!」


 図星。

 冷静に見透(みす)かす、大人なニニコ。


 一方、テンパる大馬鹿野郎。

「ちがうぞ! 本当にお前が邪魔なんだぞ! なぜなら……」

 取り乱す。


 ニニコはそれを無視し、トラに歩み寄ると……


「あぐ」

 パク。

 トラの手を(つか)むや、ネジを指ごと(くわ)えてしまった。

 

「い! ニニ……なにしやがッ」

「ん……くぷふ」

 小さく息を()らして、ニニコの(くち)はようやく指から離れた。


 トラの指に、ネジが……



 無い。



挿絵(By みてみん)



「かちゃかちゃ、むぐむぐ。ンー、ン……ごく。ネ、ネ、ネジ、うまいぃ……」


 ……喰いやがった、このバカ娘。

 なぜか()()のマネをしている。

 


「ア――――――ッ! このバカ!!」

「!」

『な……』

 トラが叫ぶ。

 シーカが目を見開く。

 煙羅煙羅の驚いた声……



「ひ……あ……!」

 急に顔をしかめ、お腹を押さえてニニコが(ふる)えはじめた。


 パニックになる大人の男2人。

「おいおいおい! どうした、腹が痛いのか!?」

「ま、ま、ま、ま! か、か、か、か……」


 トラとシーカが駆け寄ろうとした、瞬間!



 ぶわああ!!

 スカートからかたびら(・・・・)がぶわり、目一杯(めいっぱい)に伸びた。


「みゃ」

 小さな(くち)をいっぱいに広げて、天井を(あお)ぐニニコ。

「みゃああ!」


 ズズズズ……

 かたびらが赤く、血のように赤く()まっていく。


 “ ()白闇(しろやみ) ” の、6色目……



挿絵(By みてみん)



「あ……赤だわ、すごい」

 はあ、はあと息を切らす。

「パパ、ママ……」

 真っ赤な触手が、ユラユラとなびく。

「すごい……」


「こっちがすごいと言いたいわ! びっくりすんじゃねえかよ!」

「あ、は、あああは、はは、は、は、は……」

 怒るトラ。

 笑うシーカ。


 しゅう、しゅう、しゅぴ―――ッ! 

 煙羅煙羅が、ヤカンのごとく大量の煙を吐き出した。


『シーカ……娘を取り押さえろ。こ、この娘を……』


 煙羅煙羅も困っているのか、呂律(ろれつ)が回っていない。

 だがニニコは、正真のバカだった。


「もっと食わせろ、シーカ~」

 まだモノマネを続けている……


「正真のバカかお前は!」

「おかわり」

「あ、あは、はははは、ははは……!」

 (いか)るトラ。

 徹底的にふざけるニニコ。

 けたたましく笑うシーカ。

 

   

   そこへ――――――


   ドォオオオオオオオオオオオオン!!



「今度はなに……ゲッ!」

「わあ!」



挿絵(By みてみん)



 ガラス壁をブチ破り、トレーラーが飛びこんできた。

 散乱する破片(はへん)、破片、破片――――――



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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